砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

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ダイワリベラル  ダイワメジャー×トニービンであるからコパノリチャードと同配合。ただノーザンテーストの柔らかさが出てしまったのか前へは動けない千八馬に出ている。トニービンアイルランドっぷりが表現されているのかもしれず、普通のダイワメジャーよりもずっと切れ勝負に適性がないのかもしれない。  馬齢と配合を思えばこのズブさは納得出来る。それなら福島記念でもう少し走っても良さそうなものだが、それでもやはり見直すなら距離延長だろう。 ブラックスピネル  キャサリーンパー一家であるがエルコンドルパサーを持たない。Rivermanをエルコンで処理したためにクリソプレーズ=アロンダイトがあるのだから、これが全くの未処理である枝葉は重賞クラスでは評価したくない。  本馬はタニノギムレットが仏血統を多く抱えていてRivermanとは相性がよく、またブライアンズタイムBold ReasonNever Bendが大好きな血統。Rivermanではレインボーダリアフリオーソなどを輩出していて、似た構成をしているRiverman直系の名馬にもナリタタイシンがある。劇的な処理はなくとも正当で確実な試みが見られる配合だ。というかタニノギムレット×ルションでウオッカがいるし。  全体としてかなりの好配合である。ただ決め手をあえて封じた繁殖牝馬狙いの配合にも見えて、高いレベルで様々な要素を引き出せる面白い配合だろう。それだけにこの代では重賞勝ちは難しそうで、せめてもう少し本命が弱いレースで狙いたい。ヒモまでだろう。 マイネルアウラート  オルフェーヴルメジロマックイーンの類まれなるスタミナで走った中長距離馬だとすれば、こちらはトウカイテイオーの類まれなるスピードで走っているマイラー。配合に劣るのはトウカイテイオーNorthern Dancerを持ちの血統であるからで、この類の配合においては母父に完全な零細であることが求められる。NDなくしてトウカイテイオーはなかっただろうが、ステイゴールドのNTクロス配合においてはそのイフを求めてしまう。  なので配合はそこまででもなく、むしろ半端な脈絡を見せてしまった分だけ微妙である。前のめりの競馬から俊敏に突き放した2連勝の内容は立派だが、そのレベルでまとまってしまった感がある。Princely Giftクロスのステゴならば東京は鬼門だろうが、スローの先行なら競馬のしようはある。 ストーミーシー  馬としての質は低くないが馬群嫌いと大鉈ストライドが厄介。開き直って後方から大外一気に構える手がベターだが、そんな馬場になんてそうなりはしない。またストライドが大きいからスローでは切れ負けする。馬場悪外回りの持続戦というアホな条件でしか走らない悲しい馬だ。  エダテルの千四馬がガチガチの本命差し馬のいる東京マイルに挑むってのはどこかで聞いた話で、また芝が速くてフラットである点も同じ。本馬はストライドが大きいわりにはスタートが下手な馬ではなく、千四では二の脚がつかないがマイルなら対応が可能。10頭立てであれば・・・大箱マイルを逃げるのもありではないかと。1分32秒6で逃げりゃ十分馬券圏内だから!イケるよ! プロディガルサン  兄弟たちの中でも最も菊花賞に適性があると考えていただけに前走は意外な結果。嵐猫やSecretariat的に前傾した姿勢で、腹回りはスッキリしている。靭やかに動くから中距離以上のスタミナに優れているもんだと考えていた。  ディープは結構な頻度で脚長高回転を輩出する血統で、姿と距離適性がマッチしないことがよくある。ミッキーアイルやアンビシャスが最たる例で、これらはもっと距離が長くて良さそうな体型をしているのに、それで結果を出してしまった。アンビシャスは本当に菊花賞向きだとばかり考えていたもの。秋天出走にボロクソ言ってたもん。  なので本馬がマイル挑戦というのも不思議な話ではない。歴史的名マイラーの娘にしてKingmamboの全妹にあたるMonevassiaの孫なのだからマイルに寄るのも不思議ではない。ただそれにしたってマイルベストではなく千八に落ち着くと思うが。東京向きだとは思うが今の馬場だと靭やか過ぎるかも。 ブラックムーン  アドマイヤムーンは極端に言うとSir Gallahad=Bull Dog×HImyar系のスピードと、それに必ず付随するMan o'War系の頑強≒スタミナで走っている。であるからNorthern Dancerを持ってくるならNijinskyがベストで、そこからニックス血統繋がりでBuckpasserTom Foolを持ってくる。Tom FoolからBold Rulerを繋ぎ、Princequilloを持ってくる、というあらすじ。このお手本がアルキメデスだ。  Tom Rolfeは直接的ではあるが中距離スイッチだ。よく走るマンハッタンカフェ阪神千四型)の千八バージョンみたいな馬に仕上がったのは順当かと。マイルも悪くないが千八でも2-1-1-0なのだからそちらで勝負したい。この春はエプソムカップが最大の目標だろう。  前走はテンの速い展開であるのに出脚では全く負けていないから先行することも出来るのだろう。鞍上がウチパクさんであるならここは追い込んでくるだろうけど、いつかはそういったレースもあるのではないか。あるいは差し競馬のまま千四へ挑むのもありかと。ただ阪神千四をガーッとぶっこ抜く骨太はないので東京がベターかな。マイルの方が適性は広い。 エアスピネル  キンカメサンデーにしてBold Rulerを表現した珍しいタイプ。菊花賞できちんと拾ったことが昨年一番の思い出だが、それだけに京都金杯では軽視してしまった。  Discoveryが絡んだスタミナは距離に融通が効きすぎるきらいがあり、長所として捉えるならば大崩れしないし格下にはまず負けないと言える。逆に短所として格上への弱さがある。安定した負けっぷり!  京都金杯では立派な走りを見せており、マイルでこれだけ走るのであれば格は決して低いものではないだろう。ハマったら勝てる、という程度の馬が集うG3戦なら負けはしない。 タガノブルグ  ヨハネスブルグはスピードが身上だから母系には可能な限りスタミナを組み込みたいし、その上でMr. Prospectorの脈絡を持つのであるとよろしい。本馬はそれを満たしているからそんなにめちゃくちゃ言うほどではないが、ヨハネスブルグという血からは早熟馬しか引き出せない雰囲気がある。  この2年で新潟千四というニッチな条件に適性を見出したのだから、それを軸にレースを選べばいいと思う。マイルで狙うにしても京都マイルの方が適切だろう。嵐猫的に。 イカバード  トライマイベスト的な骨太とLorenzaccioのスロー追走能力が両立した難しいディープ。スロー限定で2500mまでこなすだろうから、ペースの速いマイル~千八では想像以上に走らない。紅葉Sの負け方がまさにそれであり、出来ればスローの中長距離戦で本命を打ちたい。   ヤングマンパワー  スニッツェルの出世頭。スローの番手を取れる競馬ぶりが最大のストロングポイントで、富士Sではイスラボニータを相手に勝利を収めた。スローのマイル戦ならば勝ち癖がついている印象で、鞍上も戸崎圭太ならば実績通りにドンピシャリ。大外枠といってもこの馬場で10頭立ての10番ならメリットの方が目につく。抜け出す時には周りに馬がいない方がいいタイプであるからだ。 [fin]