砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

なにはともあれAffirmed ファーストナイト雑感

ファーストナイトが単なるSadler's Wells肌であったならなんにも困ることはないのである。ミスプロ入れるなりすりゃいいのだ。ヌレサドニアリー噛ますなり、なんでもいい。

だがAffirmedWar AdmiralがFrancis S.へ流れ込み、増幅されたBlue Eyed MomoがLalunへまた流れ込み、LalunのパワーでAffirmedが幅を利かす、という増幅のトライアングルでぐるぐる回っちゃうことがえげつないのである。

4分の1サンデーの世界でならば日本芝の適応範囲に留まるのだが、これから始まる8分の1サンデー及びサンデークロスの世界においては厳しいものがある。かといってAffirmedの対極にある柔らかさ・・・例えばサンデーサイレンスクロスで対抗しようとしても、「超硬×超柔」という図では本格化の際にスピードを損なう残念な配合なのだ。

なのでこの増幅されたAffirmedの硬さ・・・米国の超三冠馬の血から靭やかさを抽出するべきであり、ファーストナイトの配合における主題とはこれにほかならない。更に展開すると、よりえげつない話になる。その靭やかさをサンデーへ流れ込ませることが要求される。

Affirmedとサンデーの出会いにおいて最大の成功例とは有馬記念勝ちのマツリダゴッホであるが、これが種牡馬として曖昧なままであるから成功例として手放しで褒めることは出来ない。ロードクエストは強い馬であるが結局は中山外回りでしか勝ち切れない適性の壁に阻まれている。

続く成功例にレッドファルクスがある。そしてショウナンマイティ。なんとなくAffirmedのキャラクターがつかめるのではないかと思う。ビュッと加速するし登坂でもガッツリ粘るけれど、外回りでも内回りでもなんだか曖昧なストライドで走る馬だ。

レッドファルクスロードクエストもベストパフォーマンスは中山外回りに求められて、それより距離が伸びたショウナンマイティ阪神内回りでオルフェーヴルウインバリアシオンと対等に争ったのがベスト。安田記念ロードカナロアと接戦であったが、この類の負けっぷりはメイショウドトウテイエムオペラオーの秋古馬三冠に似ている。どんなに頑張っても最強馬には一歩及ばない。もっとも対等に争ったのは阪神内回り。

ショウナンマイティレッドファルクスロードクエスト横綱相撲が光るAffirmedであるが、念願の歌劇王殺しをやってのけた宝塚においてメイショウドトウは距離ロスを最低限に抑えた騎乗であった。これはマツリダゴッホのイン差しと被るものがある。また往年のショウナンマイティは泥んこ安田記念で内に突っ込んで3着を拾っていた。

気性的な悪さを伝えないために内へ突っ込んだほうが旨味がある・・・という北米の典型的な血統なのだろう。競馬が巧くなきゃ北米では生きていけないから。逆に英愛では気性が悪くてスタミナモリモリじゃなきゃ生きていけないし。

抜かさない、ただし競り落とす。競り合わない、ただし伸び続ける。そんな血統ばっかりよ英愛は。

なのでおかしな柔らかさを増幅させてはならぬ。競馬達者のメリットが消えるために。マツリダゴッホが英愛のスタミナを要さないのは理に適っている。

だがSadler's Wellsはその競り落とす競り合わないの世界でリーディングサイアーに輝いた血統だ。馬群を嫌わないし競り落とす、良い意味でハイブリッドである。だが日本競馬においては欧州的ハイブリッド故にスピードもスタミナも悪い意味で伝えない。

ファーストナイトは「鈍足だけれどロスなく運んで競り落としたい」というおかしさを持つのだ。これを血統的にサンデーへ脈絡させて「俊敏にロスなく運んで押し切りたい」という風にしなければならない。エイシンサンディ×オペラハウスの共同通信杯2着馬っぽいものを作り上げなければならない。

わりと無理難題である。

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