砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

Nashuaの解明

Gallinuleに関して色々と漁った際にNashuaに目が止まったことがある。Donatelloの3代母にしてPretty Pollyの娘Dutch MaryとNashuaの血統内に見られるWillonyxが「William the Third×Gallinule」の観点から相似であったのだ。

だがDonatelloとNashuaの間に何があろうとも、Pretty PollyがGallinule産駒として特別である以上はそこに何かを見出すことは出来なかった。この2血統が近い代にあってニアリークロスとして作用した歴史もないのである。与太話であった。

だが一本の線で繋げる要素があったのである。俺はとても嬉しい。

初めは「ナスフリートって何なんだ。Count Fleetは確かに名馬であったけれど血統としての繁栄はイマイチじゃないか。HonoraとBlue Larkspurの出会いによる相乗効果ってのがもっともっとそこには関係しているはずなんだ。」とケチをつける気満々でMr. ProspectorやPrince Johnの血統を掘り下げていた。

(その後は「トニービンの素晴らしさを認めた上で、その上を行くPrincely Gift絡みのスタミナこそより褒められるべきなんだ。先生はなぜそれを見出してくれないのだ。先生がやらないなら俺がやる。」と意気込む予定だった)

さてNashuaと言えばNantallahであるが、そこで思考停止してしまった自分がいる。改めて問いかけたい。「St. Jamesとは何なのか」と。

ぶっちゃけた話、こんな血統を見たところで思考停止のほったらかしが関の山である。セントサイモンやらベンドアやらBlair Atholやらのクロスとか意味わかんねぇ!ハンプトン直系ってことがわかれば十分だくそったれ!と。

ところがだ。俺だからこそ気づいたんじゃねぇかって思うくらい。なんかもう自尊心が文章から溢れかえっても仕方がないってくらいに俺はハイになっている。ちなみにQueen's Hussarの母の名はJojoだぁ。クイーンズハザーの代表産駒にはRobertoに連勝を止められたブリガディアジェラードがある。荒木飛呂彦先生はガチの競馬ファンじゃないかと疑っている。

して話が長くなりそうなのでさっさと結論を言うと、St. Jamesの3代母はLadasの母である。Ladasの父がHamptonなのでメールラインとボトムラインが同一。つまりNashuaの母Segulaは「Sardanapale×Ladas」の血統と深い繋がりがある。

Robertoの4代母Forteresseが「Sardanapale×Ladas」の血統であるのでRobertoはこの組み合わせのニアリークロスであると言える。

そしてきちんと伏線は回収する。ブリガディアジェラードはPretty Polly牝系で母父がPrince Chavalierであるから「Sardanapale×Ladas」(以下サルダス)を持つPretty Pollyである。またFair Trialのクロスを父クイーンズハザーは持ち、母がPrince Rose×Papyrus×White EagleであるのでPrincequillo的な組み合わせだ。あるいはGolden Bridgeなどの兼ね合いからSpecial的でもある、

この2頭が激しく争ったことを考えると適性が似通っている・・・あるいはRobertoがニアリークロスで増幅した分だけサルダス的な適性で中距離の持続戦を凌いだか。ともあれNashuaがSpecialを求める理屈が「ライバルの血」の理論において証明される

ここで注目したのはブリガディアジェラードをモノサシとして考えた時のRivermanMill Reefである。この「ナスフリート」2頭に対しては負け無しであった。これらはサルダスを持たない血統であるために当時の欧州芝で劣ったのではないか。

すると適性を外においた血統論においては「Mill Reef・Rverman」「Roberto」「Special」の三組が綺麗に重なれば名馬が産まれるはずである。モーリスがそれに当たると考えられるわけであるが、それを破ったネオリアリズムがNothirdchance≒Blue GailでHail to Reasonの増幅を図った馬であることがまた興味深く映る。Robertoから逸脱したその直系馬モーリスが、Hail to Reason的スタミナのネオリアリズムを差しきれなかった。

この観点から種牡馬モーリスが求めるものはHail to Reason的なスタミナであって、ブリガディアジェラード的なスピードを元手にそれを受け入れるのではないか。そこにはNothirdchanceからのスタミナではなくサルダス的なものも含まれる・・・であればRibot含みのRobertoであるブライアンズタイムとのクロスが成功することも考えられないだろうか。

そしてここからが本題。

DonatelloとNashuaを結びつける手段は少ないどころかあり得ないレベルである。しかし裏街道が存在した。それこそFlower Bowlであり、これはWillonyxの母Tribonyxを6代母に仰ぐ血統なのだ。

ClarissimusというWilliam the Thirdとは違うところからDonatelloを弄るこの血統はNashuaと同じサルダス血統のRibotを抱えることがほとんどだ。このNashuaとFlower Bowlの強い繋がり・・・増幅関係によって近い代においてDonatelloと巡り合わずとも、遠い代においてそのめぐり逢いを見出すことが出来る。

そういうことなので、Donatelloの名血統を絡めてブライアンズタイムグラスワンダーをぶちかます意義は少なからずあるんじゃないかと思う次第にて候。

大抵の場合はサンデーサイレンスが邪魔になるけれど。

[追記]

ディープインパクト×Flower Bowlの中距離G1勝ち馬にはアルアイン皐月賞)、ディーマジェスティ皐月賞)、エイシンヒカリ香港カップ)、リアルスティールドバイターフ)があるけれど、エイシンヒカリ以外はNashua持ちである。

エイシンヒカリの8代母ArenaがSt. Jamesの娘であるから全頭が「ディープインパクト×Flower Bowl(His Majesty=Graustark)×St. James」。

さらに言えばArenaとJamestownは「St. James×Fair Play×Rock Sand」を同じくする8分の7同血の関係である。

[さらに追記]

Fair Play×Rock SandはMan o'Warと同配合。そしてArenaとJamestownは後にSir Gallahadを取り込む点においても同じなので「Sir Gallahad×Man o'War」の組み合わせと相似の関係となる。

この組み合わせにBlue Larkspurが加わることでNothirdchance的な配合形となるのだが、この点からエイシンヒカリは逸脱を始めている。このポピュラーの血統にして薄っすらと4本しか引かない始末だ。(Haloから2本、Storm Birdから1本、Key to the Mintから1本)

ただこれはディープ嵐猫によく見られる傾向であるから、気にするほどでもないのかもしれない。実際、エイシンヒカリだけでなくリアルスティールもそうであるし。

これはBalladierがBlue Larkspurと「Peter Pan×North Star」の配合から近い関係にあることが理由かと思う。強引に言えばBalladier≒Blue Larkspurだ。これは力っぽいところだけ増幅して別の切り口を生じさせる組み合わせなのでBlue Larkspurを弄ることが必要なくなるのだろう。

これはBalladierだけではなくNorth Star絡みの超パワー血統であれば何でもかんでも同じ効果が期待される様で、Intentを持つアルアインも同じ様な状態にある。Seattle SlewA.P. Indy-PulpitとBlue Larkspurの名血統ばかりを積み上げたアホな父系であるが、そこから出た北米のリーディングサイアーTapitはIn Reality(Intent父系のBalladier持ち)のクロスを持つ母から輩出された。

この仕組みはジャスタウェイにも言えるので、想像よりずっと優秀な関係である。だが、Nasrullahまみれの血統に対してBalladier≒Blue Larkspurが効果を発揮する理屈ってのはさっぱり分からんのよねぇ。

[fin]