砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ディープインパクト×Mr. Greeleyの隠れたスタミナ

マウントロブソンは母がNasrullahまみれで、それはMr. GreeleyのBold Rulerクロスに集約される。ディープは非NasrullahだがTurn-toクロス。ディープとGone WestだとBurghclere≒Mixed Marriageが発生し、これは牡馬においてかなりスピード的なニアリークロスだろう。

Nasrullah系においてBold Rulerとは、割りかしサンデーへ似た特性を持つ血統である。高速のダート世界においてBold Rulerが無双し、高速の芝においてサンデーサイレンスが無双しているのは、血統からしてもおかしい共通ではない。

これはNasrullah系において最もPretty Pollyと親和性を持つのがBold Rulerであり、またRoyal Chager系において最もPretty Pollyと親和性を持つのがサンデーサイレンス、という血統的共通点から導き出されたものだ。二頭はともにPretty Pollyの母Admirationを持つ。

Pretty Pollyほどの血統もない。「名繁殖の父」として未だ最高峰に位置するGallinuleの最高傑作である。同期の二冠馬を三冠目で破り牝馬三冠を勝ち取った上に4000mのアスコットゴールドカップまで15連勝を達成。そんな牝馬が最強フィリーサイアーの娘として繁殖能力を発揮したのだから洒落にならない。

更に言えばGallinuleはSt. Simonへ唯一抵抗した非St. Simonの血統であり、そしてPretty Pollyを筆頭とした彼の愛娘達は非St. Simonの上に成立した。そりゃ繁栄するよ。

逆を言えばSt. Simonありきであり、Gallinuleの娘達はみな英国血統の過渡期を象徴する様な構成となっている。GallinuleもSt. Simonも奇跡のようなタイミングで登場した血統だろう。そして、その奇跡を体現したのがPretty Pollyなのだろう。

なので当時の英国血統を現代で語るならばGallinuleをメインとした方が話の通りは良い。St. Simonが血統にあるのは当然なのだから、そこにGallinuleがあるかどうかが重要だ。またその娘が名繁殖であればなお良く、北米血統を抱えていれば素晴らしい。

そしてそれが、Pretty Pollyなく、Admirationを有して行われていれば一層良い。世はすでにPretty Pollyの飽和にあるのだから。

なのでサンデーサイレンスBold Rulerは素晴らしい。この2血統はPretty Pollyを活かす。(サンデーはもはやPretty Pollyを活かすためにあるスピード血統にしか見えなくなる。この観点では。)

ではこの二血統はPretty Pollyと共にある状況下において、何を表現するのか。JBISでAdmiration見てくだせぇ。こいつ、Agnesさんちの娘っ子をクロスしてっしょ。Roman的なのと親和性高いんすわ。だからディープとMr. GreeleyはRomanを絡めてる。

そんでIn Realityという裏道もあるんです。これはBull Lea的な部分・・・Voterを使ったスタミナの発現で、Promised LandがBull Leaを得てUnderstandingを輩出したのもやぱり伊達じゃありません。サンデー×RobertoがニックスなのもBull Leaを強調するのが理由。ただこれはBlue Larkspurを交える分だけPretty Pollyの存在が曖昧になってしまう。この観点からIn RealityのスタミナとRobertoのスタミナは根っこを同じくしていると見ていいでしょう。

もっとこの観点を突き詰めるとThe Tetrarchのスタミナ化という部分に当たりまする。つまりRoi HerodeというClemence×Rouge RoseのSt. Simon以前の良き英国血統を使った名配合を「The Tetrarchの靭やかさの根本かつその速さの下支え」と見るわけです。とことんやるとNasrullahMr. Prospector(ナスフリート)へ繋がる実に面倒な話です。

結論からそれを言うと、RobertoはCount Fleetを持たないがためにスタミナ的である、ということになる。なのでこれへCount Fleet血脈を当てると鋭く力っぽく飛んでいくんですわ。キンカメロベルトのまくり体質はこれから説明できるだろう。でもナスフリートばかりを突き詰めていってもスタミナへ傾くんだから困り物。

さて、話が逸れている様で逸れていない。全部マウントロブソンの話。ディープインパクト×Mr. GreeleyのCount FleetはRobertoへかかっている。配合の良し悪しはあるにせよ、この馬が2000m以上で成果を挙げないのはBurghclereを弄っていないからではなくて、ナスフリートを完結させずにRobertoを取り入れてしまったことが原因だろう。間にキンカメが入ったグリュイエールは立派に中長距離の上がり馬としてオープン入りしたものね。

これはマウントロブソンの血統における傷だろう。だから前走の様に千八でざっくり勝つのがベターである。だが今年の札幌記念において問題とするほど深い問題なのだろうか?G1じゃ論外だしG2の定量戦では掲示板を争うに留まる。だがG3程度の相手関係であれば構わんのではないのか。

そのくらいディープ×Mr. Greeleyは理に適った配合であるし、クロフネ牝系のパワーは夏に輝く。ベスト条件より1F長いけれども好手の助けで足りるだろう。

ディサイファがクソ格好いい勝ち方をするレースなのだ。札幌2000mは決して正常な2000m戦ではなく、マイラーじみた速さと頑強が輝く舞台ではなかったか。またモレイラはアジア圏における平坦小回り業界の名手。もう全部噛み合ってるじゃん?(本音)

もう少し補足する。

今レースにおいて特徴的なのは・・・ナスフリートが完結している配合馬が多いことだ。ミスプロクロスのロブロイ産駒や、あとジュエラーを思い出して欲しい。これらは溜めを要する。

現在の俺は新車狂いの穴党であるから、配当が大きい方をチョイスする。

キンカメは基本的に溜める種牡馬であろう。その傾向故にロードカナロアはスプリンターでもマイラーでもなく千四馬であり、ホッコータルマエドゥラメンテといった化物は中距離馬である。行って、行って、行き切るようなキンカメを俺は見たことがない。

サウンズオブアースが、世界トップクラスの折り合い狂いの横ノリが行くと崩壊する予想である。だがサウンズオブアースは目標がないと不味いタイプだろう。ジャパンカップも有馬も馬群割ってきたし。

また横ノリはゴールドアクターで宝塚の馬群を割った。あの類の騎乗を求められるとすればサウンズオブアースはピタリとハマるはず。ハナを切るよりもずっと良識ある常識的な予想だろう。それに4角においてまくり組が行くだろうから長い間壁を使える。

そのまくり組において最も持続力とスピードを有するのがマウントロブソンであるはず。あからさまに斬れ味はなくなっていてジリジリと迫るだけが能の馬になっている。

前走はバイアスの恩恵があったけれども、内で粘ったのが道悪達者のダノンメジャーとマイネルハニーなのだから計算式は複雑だろう。生半可な戦力では粘られる相手であるし、外追走&外差しで差すのだから持続力を求められる。

バイアスの分だけ差し切ったという内容であるのは間違いない。だが休養明け初戦でバイアス差の勝負に持ち込んだことは評価すべきだ。スロー&ロンスパの展開で同程度の脚を使ったと見ていい。

これを前提として俺がマウントロブソンに望むのは、ブラックタイド×サクラバクシンオーBold Ruler怪物的な・・・総合した持続力である。同じ「サンデー×ウインドインハーヘア種牡馬の父を持ち、また母父にスプリンターを置かれた配合。溜めのないミドルペースから先行まくりを決めるなら過度の期待ではない。

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