砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

Hail to Reasonを変態にする方法

HtRとは普通、割りかし、スタミナ的な役割を果たすことが多い。

これはAdmiral DrakeとSt. Gemansを通じるHamoazeクロスを無視したNothirdchanceとRoyal Chager≒Nasrullah(あるいはSun Princess≒Mahmoud)弄りが行われるためだ。突進力無視で靭やかさと頑強だけをオンにする仕組みをHtRには導入される。

秀逸なのは突進力に反した様々な要素をオンにした経由が多くあることで、Halo-サンデーサイレンス・Sadler's Wells・Roberto・Seattle Slew、実に多彩なキャラクターが揃っている。そのために突進力を再現させる組み合わせを共にしたHail to Reasonが世界各地で見られるのが現状。

ただブライアンズタイムを代表に外回り脚へ持っていくのが難儀である。CearleonとSeattle Slewは外回り傾向ではあるが、今回においてはさほど有力な血でもない。ブエナビスタエルコンドルパサーシンボリクリスエスのイメージで中距離では二千四に落ち着きやすい。Seattle Slewで二千ぴったしというのは本当に少なく、マイル寄りの千八やマイラー、あるいはダートという風。

なのでTurn-to-Sir Gaylordの芝突進をオンにしつつ、サンデーサイレンスを「Nasrullah×Princequillo」斬れに転化するのがまず一つ。ただSir Galord基調だと千八マイルまっしぐらなので、累代で英愛的なスタミナを取り入れる必要がある。

その英愛には「Nasrullah×Hyperion」を導入し、Nasrullahスピードへの切り口とする。それがSpecialであると理想であり、ここからFair Trialへ発展させてDanzigLyphardを使っていく。そんで、DanzigならばLa Troienne、LyphardならばTourbillonなどへ。

これが大体ディープインパクト産駒の王道的な配合の骨格で、ここまで来たら何が何でも「Sir Gallahad(=Bull Dog)×Blue Larkspur」は導入されている。これでHail to Reason弄りが完結されるのだな。

そして末脚の持続性を高めるにはRaise a NativeBold Rulerの助けがマスト。これはNative DancerBold Ruler間にDiscoveryとPompeyのクロスが入るだけでなく、Raise a NativeはBlue Larskspurとその父Blue Servantの親族で、Bold RulerはWoodbine-Feroniaの牝系であることが大きい。Bold RulerNasrullah直仔において最上級のスタミナを伝える。それは世界統一大種牡馬Northern Dancerと絡むことを望まない程度に。

「4分の3ND、4分の1SS」の配合においては方向性が定まりすぎるところがあり、そのためレースの展開が固まりがちだ。秀でることにBold Rulerは必要ではないが、逸することにBold Rulerはは必要である。ただし好形とすることがなかなかに難しい。

このケースの配合はディープインパクト牡馬が非常に得手である。牝馬も悪くはないが北米の持続斬れを求めるならば牡馬が圧倒的に優勢だ。ウインドインハーヘアの斬れを強く受け継ぐ牝馬は瞬発力に秀でることが多い。ジャパンカップはそれで勝ち切れるのだが、秋天ではそうも行かない。

牡馬のディープ産駒はまずBurghclereニアリーによってウインドインハーヘアのスタミナを配合の尻に敷くことがまず求められる。この配合形において牡馬の産駒は3歳時にウインドインハーヘアの要素がオンになるわけだが、一年後には母方の表現が上回る。元より牡馬の本格化形態とは母親の影響が大きいものだ。

「ディープの速さ×母の頑強スタミナ」となるわけなので、在りし日の靭やかさは鳴りを潜める。牝馬に対して自然に伝わるほどに強烈な「8分の1」を刺激するわけであるから、その変化は強大である。それだけ強大な物を背景に3歳時に無双するのがディープ牡馬とも言えて、イメージはタール状の粘りだよねぇ。これが表現の場へ上がったら、弾けるなんて夢のまた夢カード。

しかし晩成傾向に仕上げたディープ牡馬とは、そのタールをBold Rulerによってコントロールする。靭やかには動かないがスタミナ的に持続的に末脚を伸ばす。最後の最後の最後に差し切る様な脚を英愛血統を背景に実現するのである。

牝馬でコレは出来ないべ~、と思っていたらスマートレイアーがやらかしたのもいい思い出。あれがディープ×Bold Ruler。気性良しのギリギリ到達斬れ。長い刃渡りを活かし、ゆったりと削ぎ切るが如し。柳の斬れと呼ぼう。(提案)

柳刃包丁に例えた理由は他にもある。他の包丁に比べて専門的であること。スピルバーグを見ての通りに東京以外だと活躍の場がないのである。気性のわりには脚質もかなり極端であり、逃げるか追い込むかの二択。上級はやはり追い込んでくる。

阪神千四マイスターみたいなのが東京二千にも起こり得る・・・という話。

[fin]