砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

スワーブリチャードをちょっとだけ

この馬の成長曲線は予想以上に急激であり、5代アウトのハーツクライが3歳でこれだけ走るのは例外的。東京二千五でポンッと出して後手を踏まないどころか抑え気味に好位のインを取れたのは驚愕するしかない。東京二千五ってスタート&登坂なので内枠は行き足がつかずに抑え込まれるのが常なのだわ。中京二千と同じ。

これはもう基礎スピードが違うというべきかな。同格相手にハーツクライ産駒がやるレースじゃない。ラップだけで比較するならジャパンカップ組に引けを取らない内容で、むしろ全体的な負荷はこっちの方が強そう。

そうなると臨戦過程の差も大きく出そうで、シュヴァルやレイデオロが得たアドバンテージをそのまま得る可能性が高い。

ただ有馬記念がAR共やJCほどの負荷を得るかといえばちょいと違うだろう。古馬三冠へ挑んだ名馬は多くあったが、キタサンブラックほど負荷を得た馬もいない。ここでも負荷をかけた逃げを打つとは考えづらくて、例年並みに留まることだろう。ていうか負荷のかけどころがない。

・・・先頭からゴールドシップするなら話が違うし、Danzig殺しばかりを焦点とするならばベストチョイス。Danzigという血統へPrincely Giftを真っ向からぶつけるならばダイワスカーレットすべきだろう。そういう逃げを打つならここで内枠を得ても依怙贔屓とは思わない。

向正面入り口の下りで後続を追突させて、3角入り口手前からスパートってのが本命の展開だろうか。人気が内を捌いている間に突き抜けようという。

ジャパンカップみたいな真っ向勝負をしづらい舞台なのだから、ここは取り回しの易さを活かしてスローに落とした方が勝ち味は強いよな。そうなると別路線の千八が突き抜けてきそうだが・・・そんなのが来るかな。ジェンティルドンナくらいのが出てくると簡単なのだけれど。


スワーヴリチャードは基本的に母ちゃんがUnbridled's Song産駒として優秀なのが基本で、父母間OlympiaクロスでPrince Johnを絡めるパターンはアロゲイトと同じ。

米血的な回転をNijinskyでオンにしたことでアロゲイトとは全くの別路線。La Troienne絡みの速さをオンにしていて、これはハーツクライに対して有用。だがFair Trialをここまでコケにしたハーツクライ産駒も珍しく、サンデーサイレンスをここまで尊重したハーツクライ産駒も珍しい。

Fair Trialを使わないってことはSon-in-Lawを無視するのに等しい。「ハーツクライの段階でSon-in-Lawは完結している」という姿勢は配合論として・・・是か非か迷うところ。ジャスタウェイも2本しか引かないのだが、Tudor Minstrel直系とSon-in-Law直系のRustom Pashaで引いている。Round Tableからしか引かないスワーヴリチャードとはかなり趣がことなる。

キタサンブラックも似たようなものなのだがLyphardクロス+一本だからね。こっちはメリハリを感じるだけに「少ないからこそ」と言える配合。

これだけの名血統なのだから「1本であるからこそ表現するのだ」と言えなくはない。Aloeはウインドインハーヘアなどを見ての通りに影響力の強い経由だ。

Hyperion×Son-in-Law」と縁遠い経由を褒めるべきだろうか・・・ってのは考えるよな。Princequilloに絡んでそれをメインとするわけだから新要素としての絡みとして評価する手もあるのだが。


この馬を語る一つの方向性として「ハーツクライにおけるSon-in-Lawの完結」というのはあると思うのだわ。

[追記]

あとブエナビスタとの比較も面白そう。


[fin]