砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ジャスタウェイ仮説 ヴェロックスよりの

ヴェロックスが勝ち上がって話題となっている。

これはもうダノンプレミアム級は間違いないってくらいの動き方で、ジャスタウェイのトップ産駒が早々と出てしまったか。

新馬戦を勝っただけなので評価が定まるわけではない。それこそ死ぬまで分からないし、死後何十年後にようやく、って話。ディープインパクトくらいになるとそこまでかからないけれど、メジロマックイーンの様なこともある。

ただ競争能力から言えばダノンプレミアム級は最低限。あとはキタサンブラックへたどり着けるかどうか。

とまれ、実馬はよくわからん。血統から語る。

Northern Dancerより

ジャスタウェイは母シビルが非Northern Dancerの血統なのでNorthern Dancerの緊張に頓着しない。「4分の3Northern Dancer、4分の1Icecapade」でも十分に戦える配合だ。「4分の4Nearctic」と考えると、G1の舞台ではやや不足を感じるか。

その点ヴェロックスは「母母Northern Dancer4×4、父父Northern Dancer4代目」でNorthern Dancer6×6・6。次世代配合におけるNorthern Dancerの構成としては満点だ。

クロス→アウト→1本供給の流れというのはポピュラーな流れで、4×4への対処としては本当にポピュラーである。うーん、ポピュラー。

これは4×4としての表現を強調するものだ。ジャスタウェイWild Againの表現が強い構成なのでNorthern Dancerへの寄せは必要だろう。上記の様な「4分の3Northern Dancer、4分の1Icecapade」はWild Againの強調に近く、少し力っぽいところがあるかも。

Monsunより

サンデーサイレンスは「弄り甲斐」のある血統。なので8分の1まで遠のくと弄られすぎている。

それだけに8分の1サンデーの配合では異系があるに越したことがない。Monsunは異系として弩級の血統であり、不足はまったくない。過不足はある。つまり異系過ぎるところは、ある。

それをカバーするためにはHyperionを主軸とした配合を取るべきだ。そしてヴェロックスの配合はまさしくそれなので、問題はなくなる。過ぎるを通り越して突き抜ける。

しかし安定剤がない。母父Monsunはむしろ表現の安定こそ武器なのだが、それを逆噴射させたかの様な累代である。セルキスという繁殖牝馬は突き抜けすぎている。

抑えるくらいでほとんど追いも入れていない快勝であったが、この突き抜けた気性と表現ならば騎手の檄を要さない。

Hyperionより

現代競馬の底力を担う名血統、それこそがHyperionである。

これはAlmahmoud最強時代だからこその采配。この名繁殖がいなければ・・・という仮定はあんまり意味のないことだが、そうでなければもてはやされる様なことはなかったろう。それはそれで直系の血がもう少し繁栄していたかもしれないが。自身の血で自身の直系を排他した様な歴史を持つので。

英愛の血らしく気性難があり、Nasrullahに見られる様な短距離の表現がある。最たるものがTudor Minstrelを筆頭とするOwen Tudor系であり、他にStardust系がある。ヴェロックスは母系にあるAureoleハイハットAlycidonの他に短距離Hyperion系もまた見られる。

実馬はよく分からない・・・が。小倉1800mであんな弾け方をする表現はTudor Minstrelにしか覚えがない。ましてや後続を突き放してなお一生懸命に走る気性である。檄を要さない自前のふんばりだ。

アンビシャスなんかに見られる様な危うさである。末脚の強度に優れるイメージはあまりない。

Princequilloより

ジャスタウェイが持たない血統で最も著名なものと言えばPrincequilloカンパラにPrince BioとPrince Chavalierがあるのだが、母シビルは完全な非Prince Roseであり、Native DancerからPrince Palatineを引くに留まる。

そのためジャスタウェイは産駒にPrince Rose系に関しては極端だろう。現在の活躍している産駒の殆どがPrincequilloの血を持つが、Prince Roseの血を持たない産駒も出てくるに違いない。産駒の代ではカンパラは5代目に位置しており、この系統を弄る必要は少ないのだ。

ただ現代競馬の傾向からすればPrincequilloを持つパターンが圧倒的に多い。

ヴェロックスはその観点から非常に優れた表現を持っている。「8分の1Somethingroyal4×4」で、母系にPrincequilloが一本ある。父は完全な「非Princequillo」だ。ディープインパクトほど表現されづらいものではないが、優秀である。

いや、ディープインパクトは「神引き」の類なので比較対象としては破格にすぎる。ディープインパクトがいなければディープインパクトの血統表はさほど評価されるものじゃない。キタサンブラックの輩出によって見直されたろうが、ディープ不在の世界でブラックタイド種牡馬として生活出来たかどうかは分からない。

まとめ

ヴェロックスを大した配合とは思わない。それはPOGで血統表を掘り掘りしていた時期と変わらない評価だ。

しかしあれほどの勝ち方をしたのだから2歳戦では多大な信頼を置くべきだろう。

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