砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

エリザベス女王杯予想

1週空いて、またG1が連続して開催されます。G1がないほうが血統掘りに没頭できる・・・とはいえども、やっぱりG1は楽しみです。

無敗のオークス馬ラヴズオンリーユー。未だ健在の「ディープインパクト×Storm Cat」ニックス配合馬で、ドバイターフ勝ち馬リアルスティールの全妹にあたります。ラキシス=サトノアラジンと同じ様に兄妹(姉弟)でのG1勝ちを果たしました。

牝馬三冠オール好走の秋華賞馬クロノジェネシス。この春、レーンの手綱によってヴィクトリアマイルを制したノームコアの妹で、母クロノロジストは異なる種牡馬からG1勝ち馬を輩出したことになります。親孝行の一戦となるか。

アーモンドアイの後塵を拝し続けた2歳王者ラッキーライラック。空振りの続くオルフェーヴルの初年度産駒で、徹底した先行脚質には定評あり。今春の中山記念ではG1勝ちの牡馬に強い競馬で先着を果たしました。

 

3頭のSpecial

人気勢は全てSpecialの血を引く配合馬です。言わずと知れた名繁殖でして、それ故に多彩な表現を持ちます。

 

外回りベストのストライド

ラヴズオンリーユーは「Nasrullah×Hyperion」の趣が強い表現。広くストライドを伸ばして東京2400mを差し込む姿にはドゥラメンテが彷彿とさせられました。

「ディープインパクト×Storm Cat」の配合馬はEight Thirtyへのニアリークロスが肝で、これを行わずにG1を勝った例はリアルスティール=ラヴズオンリーユーのみ。ニアリークロスを組んだ馬が本格化すると内回り小回りに適性を示すのに対し、リアルスティールは古馬となっても外回りの大舞台を制してみせました。

その傾向は妹にも受け継がれていると考えるべきでしょうし、長い休養によって本格化を果たしても外回りを得意とすることでしょう。馬齢からしても上積みがあることは間違いなく。

 

充実一路の機動力

クロノジェネシスはLady Jurorの表現が濃厚。混戦模様であった秋華賞をシャットアウトした好位からの流れ込みは小回り適性の高さを示してもいます。

父のバゴにとっては久々のG1ウィナー。従来のイメージを払拭するように娘は2歳時より淡々と好走を続け、この秋に本格化を果たしました。ビッグウィークを顕著な例としてピークアウトの速やかさに難がありましたから。

ここに来て最高傑作を送り込んできた感もありますし、「バゴ産駒だし・・・」と難色を示すのはナンセンスではないかと血統マニアは愚考いたします。何よりも、クロノロジストという名繁殖候補がそれを許さないでしょう。

東京2400mでは大きな差を見せられましたが、血統的にも上積みはこちらの方が大きそうです。姉も早くからその素質が話題となっていましたが、大舞台を制したのは古馬となってから。満を持してNashwanによるディープインパクト破りへ。

 

乾坤一擲の粘り腰

オルフェーヴル×Specialは最初期より期待されていたニックスで、それを体現した馬がラッキーライラックです。

先行からの粘り込みは早い段階から評価され、特にチューリップ賞は後続を寄せ付けない完勝。本番となる桜花賞では1.8倍のオッズを背負って走りました。(結果はあえて書かない)

勝利から随分遠ざかっていますが、馬体重は増加傾向。前走は522kgでの出走でして、デビュー時より42kgを増やしています。いくらか絞ってくるでしょうが、父も本格化に時間を要した三冠馬です。高い素質と能力へ更に上積みがあっても驚けません。

馬体重=能力値と言えるわけはありませんし、母系はダート傾向。芝でのスピードを阻害する可能性ももちろん視野に入りましょう。前走と前前走の時計を見れば杞憂というべきかもしれませんが。

ノーザンテーストとSpecialの組み合わせは多く見られますが、Sadler's Wellsを経由したSpecialの場合は意外と例が少なく。個人的にはカンパニーを代表的な例としたいところ。まだまだ先のある馬です。

 

予想

◎ラヴズオンリーユー

◯フロンテアクイーン

△ミスマンマミーア

 

逆らい難きはオークス馬

今年のオークスは東京2400mには珍しい前傾ペースの展開でした。これを後傾ペースにまとめられなかったことを勝ち馬の弱さと見ることも出来ますが、3歳牝馬にとっては間違いなく厳しい展開であります。

故にこのレースの上位陣は同世代におけるトップクラスと認められます。オークス馬と秋華賞馬が出走する今年のエリ女は、この世代にとっては試金石の一戦。

しかしリスグラシューやアーモンドアイといったトップクラスの中距離馬は出てきておりません。それに次ぐ馬がいるかというと怪しいところですし、ここは素直にオークス馬を本命に。

ここはちょっと折れづらい筋ですね。

 

響き渡るダンシングブレーヴ

良くも悪くもなんでも出来てしまうメイショウサムソン産駒がフロンテアクイーン。中山の急坂も登れますし、東京を粘り強く走ることも出来ますし、洋芝もきちんとこなします。関西圏は少し怪しい?

しかし昨年は着順ほど能力が足りていない感じでもありません。内容の悪さは大変なものですが、最後にはまた伸びていました。血統からしても京都2200mはむしろ得意なのではないかと。

外枠を引くと競馬になりませんが、現状の京都馬場で10番ならば悪い話ではありません。Lyphardの傾向が強い馬ですので、前走と同じ様に中団前目からの展開が好ましく。そこからどれだけ伸びるか、です。

カレンブーケドールと同じ津村×国枝コンビで挑む一戦。夢を見るならば、ラヴズオンリーユーとクロノジェネシスを破って欲しくあります。

 

あの日の二刀流

3着予想にはミスマンマミーア。地方ダートでは頭打ちとなり中央へ移籍して芝へ舞台を移しました。2200mでは2勝し、2400mでは3着が2つ。典型的な「非根幹距離マスター」です。

長い脚を使うことも可能であり、ドスロー戦でも展開なりの速い脚を使えます。このくらい走ることが出来るならば、全く通用しないということもなさそう。

ダートからの挑戦といえば、古くはサンドピアリス。フーラブライドも一応はそうですね。更にドバイワールドカップから直行したトゥザヴィクトリーも。

Hyperionに絡んだ強いインブリードを持つ牝馬がダートを走ることはよくあることです。上記の馬のようにして両方をこなす馬も一定数はいます。Swapsの京都外の外差しというのも割と常道です。

少しひねり過ぎな気もしますが、差し競馬となったときには大外からの強襲もケアしなければなりません。ラヴズオンリーユーの勝つ流れで、クロノジェネシスが3着内に入らないというパターンならば、ある程度の長いスパートでしょう。

 

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