砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2020年秋華賞展望

デアリングタクトの三冠がかかるレース。

如何にしてデアリングタクトを蹴っ飛ばしてやろうか、というレースでもあります。秋華賞においてそれは逃げ先行から完封する一手で、三冠に王手をかけた馬が逃げ馬を追い立てることはありません。

小回り(内回り)2000mは逃げ先行の舞台。3角を過ぎれば追い抜け追い越せ追いすがれの世界です。こういうことに特化した馬ならば無敗の二冠馬相手にもチャンスはありそう。

 

・・・それがいない。うーん。

ここ秋華賞で全盛期を迎える様な馬があれば別です。メイショウマンボのような馬ならば勝ちの目もありましょう。

この時期に全盛期を迎えるともなると、アウトブリードじゃ厳しい。母系が北米系の強い緊張を持ち、それを伝え続けているならば別でしょうが。

ミスニューヨークは正しくソレなんですが、Flower Bowlの一家だけに晩成傾向。キングズベスト×マンハッタンカフェですから、分かりやすくGraustarkとかSwapsとかDetermineですね。

逆にリアアメリアなんかは5代アウトでして、父・母・父父・父母・母父・母母が4×4以上の父母間インブリードを持ちません。もう1代進んでもHaloがBlue Larkspur4×4、Mr. GreeleyがBold Ruler4×3とNative Dancer4×4を持つ程度。夏を過ぎてから本格化傾向にあるのは伊達じゃありません。

 

人気馬なのでもう少しリアアメリアをピックアップします。

この馬、Numbered Account持ちなんですよね。Polish Numbersというちょっと珍しい枝なんですが、近親にはPrivate Account(兄)・アサティス(甥)・リズム(甥)・Woodman(母が同血の従兄弟)があります。

分かりやすく晩成の血筋でして、この一族からはニューイングランドが出ており、この産駒として最も著名なのがネコパンチです。6歳時に大逃げで勝ちきった日経賞はあまりにも有名。

ちょっと本格化の仕方が特殊な血統でもあります。馬場の悪いところを走られるように本格化するみたいで、洋芝とか外差し馬場のイン差しとか、メジャーなタイプには完成しないっすね。

またトーホウジャッカルやスワーヴリチャードに見られるUnbridled's Songのイメージも重なります。血統の上では3角先頭の可能性を感じられますが、そういう競馬はたくさんの試行錯誤の末にあるべきでしょう。あるいはリカバリーの先にある結果論。

あんまり秋華賞向きの血統ではないかと。これからどんどん良くなるでしょう。

ただ・・・うーん、牝馬ですからね。例に挙げた馬はみんな牡馬で、その半姉半妹は結構距離が短いところを走りがち。2000mはギリギリのラインかも。

 

 

 

晩成なのはサンクテュエールも同様。どうもDamascusってのは晩成に向かわせる様で、その一族である本馬も晩成っぽい。Yoshidaも古馬になってからG1を勝っていますし、親族のルックトゥワイスも晩成です。他にTwice Overも晩成。

流石のノーザンファーム。母系に素直な繁殖牝馬ばっかりです。

 

対して社台ファーム。由緒正しきドイツ牝系のディープ牝馬オーマイダーリンをここへ進めてきました。中1週やら中2週やら連闘やらの強行軍でローズSへなんとか進み、更に優先出走権をもぎ取るという・・・。

Friar's Dauterの一家ですから、北米との脈絡が強い血統です。マイケイティーズの一族に近い本格化過程でしょう。母父Monsunですけれど完全な晩成一家じゃございません。

更に距離延長もばっちりこなしました。マイルで厳しい流れも経験していますし、初のG1でも対応は可能でしょう。

けれどばっちり本格化したわけでもありませんし、長期の放牧にも出ちゃいません。この状態でG1を勝ち負けする目があるのかは怪しいっすね。

 

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