砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2021年安田記念回顧

グランアレグリアはよくぞ追い込んだという2着で、外を蓋されて前もほぼほぼ綺麗な一線を描いたスロー戦。落ちてきたラウダシオンが作った道を通れた上に、ミルコが進路を融通してくれたのは大きかったでしょう。

ラウダシオンにとってとことん向かない展開だったためにグランアレグリアは2着まで行けたし、それを壁にしていたインディチャンプには辛い展開となってしまった。

ドスローとなって1800mの領域となったのはトーラスジェミニの踏ん張りやカデナの猛追からしてもはっきりしていて、それに呼応したのはダノンキングリー。1800m戦、例えば毎日王冠や中山記念ならばコントレイルだって倒せてしまいそうな素質馬でした。

これでCaressingは異なる父から3頭のG1ウィナー(息子と直孫)を出したことになりますから、名繁殖に数えても良いでしょうね。

 

 

1800m巧者がスローのマイル戦を差し切りました!と言えば単純な話なんですが、このくらいの平坦なスローであれば安田記念は1400m馬がしっかり差しきれるんですよね。

ダノンキングリーは58.6-33.1の91.7秒で踏破しており、ショウナンマイティが58.7-32.8の91.5ですから、おおよそ似たような形で勝ったと言えます。少なくともこういった世界においてはグランアレグリア≒ロードカナロアですから、勝敗は展開としか言いようがない。

 

しかしこれはサンデー所持不所持における明確な差とも言えて、やっぱりサンデーの血を引く大物が短距離でチャンピオンであろうとするとPretty PollyとBold Rulerの脈絡からは逃れられません。

その観点から言えばグランアレグリアはラウダシオンやケイデンスコールと同門で、ロードカナロアという純然たるスーパースプリンターとは血統的なスタートラインが違いました。

血統的な価値を言えば、サンデー全盛の世においては、やはり明確にロードカナロア>グランアレグリアです。この敗北は展開のアヤでは済ませられないものではないかと思います。

 

ラウダシオンはNHKマイルC勝利時のイメージで成長していればここでも善戦したでしょうが、あれこそフロックというか、グランプリボスが泥んこ安田を爆走したイメージなんですよね。

特たる休養を得ずに富士Sから6戦目。いいリズムを作られていたかもしれませんが、この春に築き上げてきたものとは全く違った適性のレースとなってしまいました。流石に11秒半ばでラップしてしまうと厳しかった。

実直さがポイントだと思っているので、競馬は先行がベターでも、展開や天候次第では差しに回って味があるかもしれませんね~。

 

ケイデンスコールは地力の差とも言えますが、フェイムゲームを見ても、一気の末脚を炸裂させる様な展開だと走らない母系ではあります。

はっきり言ってステイゴールドとゴールデンサッシュは違う血統です。ステイゴールドはこのジリっぽいゴールデンサッシュの仔ながらもあらゆる展開でシルバーコレクトする速さがありました。ゴールデンサッシュにゃそれがありません。

ジリっぽさ突き詰めた上でロードカナロアをドーンッと叩きつけたのがケイデンスコールの配合ですから、G1で見せ場を作る機会はあるでしょうけれど、こういう「ビューッと行ってバーンっと弾ける」みたいなレースじゃ後方でジリジリ伸び続ける内容となるのは自然と言えるでしょう。

だからと言ってハイペースからジリジリ伸びる展開で戦えるかというと、やっぱりまた別の話で、ここから伸びしろがあるかが焦点となるでしょうね~。

 

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