砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ブリックスアンドモルタルの配合について

来期のPOGではブリックスアンドモルタルを狙いたく思い、長期的にあれこれ考えます。

 

3代母Broadway Lullabyが異系の扱いが可能な血統です。Prince Rose直系なのでNasrullahを迎える準備が整った形。この母の父がOlympiaなので、ここでややこしさはありそう。

Nasrullah×Hyperion×Princequilloの組み合わせは活躍馬の母系にも見られますし、そもそもからしてNorthern Dancer×Secretariatとかの組み合わせがそれ。ということでExcellerが配されてExcedent(ブリックスアンドモルタルの母母)が出ました。

Pretty Polly血脈のAureole直系。Excellerの母がToo Baldで、これがNasrullah2×3。Exceller自身はNearco3×4・5。Excedentでは4分の3Nearco・4分の1リツトルブレツシングとなりました。

Nearcoが濃厚なのでPretty Polly頼みの感があります。Northern Dancerを迎えるのがベターということですが、それでも代の遠いOcean Crestが配されてBeyond the Waves(ブリックスアンドモルタルの母)が誕生しました。3代父がNorthern Dancer。

Ocean CrestはStorm Bird×Seattle Slew×Prince John。Hyperionの色は薄い形ですが、Olympia≒Lady Angela≒Aureole4×5×5となります。これにGiant's Causewayが配されてブリックスアンドモルタルという芝の中距離チャンピオンが誕生したのですから、この観点においてはシビアでありながらもきっちりと作用していると考えてよいでしょう。

 

母系自体は優秀であり、日本ではリツトルブレツシングがシャダイオリンピアを生んでいます。国外に残してきた枝からはPioneerof the Nileが出ており、彼はAmerican Pharoahの父として著名。

Blessed Againから枝分かれした近親にケイムホームがあり、その母Clonasleeから分かれた枝にはIn RealityやDr. Carterがあります。どちらかと言えばこのWe Hailが主流と言えて、Al Kazeemもここに属します。

牝系自体はバリバリの中距離血統でありますから、ここの遺伝が強固であるというべきでしょう。Clonasleeの仔にはバイグレーシアスがあり、日本に輸入されてオークス2着のミスメイヂを輩出。バイグレーシアスはその後も3代母としてダービー3着のホースメンテディを輩出しました。シャダイオリンピアの仔であるダイナオリンピアもまた中距離馬です。

 

強固な中距離的資質は遺伝しやすいと見るべきでしょう。そのためドレフォンやロードカナロアとの棲み分けはされると思います。それ故に、スピードの引き込みに苦労するはずです。

ブリックスアンドモルタルは父母共に中距離~中長距離の馬で、その相似配合で中距離~中長距離を走りました。配合の方向性としてはルージュバックに近いものです。

相似配合の種牡馬というのは割合少ない・・・というか、父母相似は流行血統同士でやる意義がないために、ケースそのものが少ないのです。流行血統で構成されているなら世の中にある好形を見習った方が正道でしょう。

かといって零細や異系の類でも、それが4分の1程度ならばそれはそれでよし。根本から異系であることがポイントで、同じ道程を歩んだ異系の父と母がたどり着くところが父母相似であります。

 

ブリックスアンドモルタルを父母相似と見るべきか・・・というのは個々人の考え方によるでしょう。私はネオリアリズムを父母相似としますんで、ブリックスアンドモルタルも父母相似ですね。

この観点は、「緊張と緩和のリズム」と「父母相似配合」の明確であるべき境界線が崩れているためです。だって走る父母相似の馬って緊張と緩和もしっかりしてんだもん。

異系的な馬が成功するのに緊張と緩和は重要な理屈であります。そんでもって父母相似ってのは、父母それぞれが競走実績を持つことが成功の鍵とされています。異系的な父や母が成功するならば、緊張と緩和がしっかりしていることは重要です。

その緊張と緩和を仔の世代まで引き継いでいることは、これもまた見方次第なのですが、やっぱりありえるわけなんですね。ブリックスアンドモルタルは正しくそれであって、強固に遺伝するだろうという予想はこれが理由なのです。

 

種牡馬としての難しさはモーリスと同じところにあるでしょう。モーリスはマイルチャンピオンの割には上質なスピードを伝えません。

「お前、そんなスピードどっから持ってきたのさ!」という馬ほどスピードを伝えません。エイシンフラッシュだってそうでしたし、モーリスだってそうです。ブリックスアンドモルタルだってそうでしょうね。

母方から優秀なスピードの遺伝があることを祈るばかりで、そう考えるとハービンジャーに対するツルマルワンピースは大変に優秀です。こういう関係を築くことが出来る繁殖牝馬がいるかどうかでしょう。

そういえばエイシンフラッシュもヴェラアズールの輩出に成功しています。ヴェラアズールの母ヴェラブランカはハービンジャーとタートルボウルで短距離馬を出しました。本格化後に短距離へ固まる傾向がありますから、ヴェラブランカも短距離を走っていたかもしれません。(ヴェラブランカ自身は3歳で引退し、ダート1800mと1700mで2勝をあげた)

やはりブリックスアンドモルタルも母が短距離である方が成功しやすいと見るべきでしょう。実際にそういう配合馬が多いですね。

 

考えられる産駒の傾向ですが・・・まぁ、色々な方が仰るように、身体は硬くなるでしょう。これはStorm Bird×サンデーの傾向に近くて、Sun AgainとHail to Reasonの関わりに厄介さがあります。

これを解決した例こそがウインバリアシオンやキズナ、アーモンドアイらの名馬たちです。彼ら彼女らはこう仰っています。「硬いことに悩むならば、めちゃくそ硬い血統を引っ張ってこい」と。

サンデー×Storm Bird×Damascusやサンデー×Storm Bird×Sex Appealってのは、極上の硬さです。これらの組み合わせを「東京2400mG1を踏破するのに相応しい靭やかさである」と評価する血統マニアはおらんでしょう。明確な硬さです。

明確であるがゆえに、それに反する靭やかさもセットで供給しているのがポイントです。あるいは、一握りの靭やかさを一流のラインから引っ張ってくるしかないのです。

 

Storm Catを引いてるんだからブリックスアンドモルタルも大丈夫じゃないの?と私も考えます。しかし、Promised Landの靭やかさを3代父のポジションからサンデーサイレンスが伝えたことが果たしてあったでしょうか?

それをブリックスアンドモルタルにおける強固な遺伝に数えられるならば別です。Secretariatの素晴らしさをきっと産駒へ伝えるでしょう。しかし、そうではありません。(ロードカナロアにはなれない)(意地でも伝えるSecretariat=Syrian Sea)

ブリックスアンドモルタルの競争生活を支えた靭やかさは産駒へ遺伝せず、むしろ、その靭やかさを支えた硬さが遺伝するでしょう。その硬さの根幹にあるものこそが、Princequilloなのです。

つまるところ、ブリックスアンドモルタルにSir Gaylordとかぶち込みましても、柔らかさに直結してくれません。スタミナ的になる方が優勢でしょうね。

 

ブリックスアンドモルタルに見る硬さというのは、Prince JohnやRound Table、Pocahontasに由来するでしょう。これを御するのにディープインパクトという血統は有用なのですが、ディープ自身はそれで食ってたわけじゃありません。ワグネリアンといった例こそありますが、どちらかと言えばハーツクライの領分です。

これは大事件です。ハーツ肌を好むということともなれば、エピファネイアとロードカナロアを相手取らなくてはならないわけですよ。仮にそうなれば、大惨事の大誤算でしょうねぇ・・・。

 

もう一つの可能性・・・あえて上の例には挙げませんでした、ショウナンマイティがいるんですよ。彼はAllegedをインブリードしたマンハッタンカフェ×Storm Catの配合馬です。

これを前例とするならば、Prince Johnを丸々取り込んでしまえばいいというわけです。Stage Door JohnnyにSpeak Johnをニアリーさせればいいのでは?フレンチデピュティならブリックスアンドモルタルの重要血統を網羅しますし、悪くはない選択でしょう。

フレンチデピュティならばStorm Cat≒Ocean Crestの流れを引き継ぎます。あとは母父に何が据えられた方がいいのか・・・。

 

文字数も相当なものとなりましたし、ここらで一旦止めます。

 

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