砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2022年秋華賞予想

ここをアートハウスが勝つならば、ジャパンカップにおける有力候補となるだろう・・・という読みがまず一つ。しかしそれは、おそらく1年後の話で、今年ではないでしょうね。(1年後に秋華賞は走れない)

1年後なら秋天でもジャパンカップでも有馬でも印を回すことが出来ます。これだけの素質を示すスクリーンヒーローの4分の1異系ですから、古馬になって更なる上積みを見せるでしょう。まだポテンシャルで走ってるなぁと思います。

 

スターズオンアースもジャパンカップが良い馬で、アートハウスとの全盛期対決が実現するならば楽しいレースになりそうですね。1年後のジャパンカップ。

スターズオンアースにおいて考えるべきは、スタセリタがFrankelと一定のフィットを見せたという点です。つまりソウルスターリングですが、Frankelの巡航能力とスタセリタのMonsunが噛み合うパターンがあるという。

Frankelの巡航というのはMiswaki由来ですから、それを曲げに曲げて伝えるドゥラメンテ×Smart Strikeはスタセリタにとって「あり」だったようです。どちらかと言えばソウルスターリングよりもスターズオンアースの方がスタセリタの正統に思えます。

難しくさせるのは、ソウルスターリングの異変が3歳秋より始まったことです。ピークアウトというよりかは、表現の難しさが生じた時期です。今年の凱旋門賞で見られたFrankelの高速巡航に特化した遺伝と、スタセリタの驚くべき靭やかさが喧嘩を初めた時期と言えましょう。

私はこの破綻について心配をしていません。バロクサイドとスタセリタは同じ方向に進むことが出来る関係であるためです。スターズオンアースはバロクサイドの素晴らしさを語ることが出来る配合であり、ドゥラメンテの娘と表現したい馬なのです。

 

ドゥラメンテの娘に死角があるとすれば、差し馬であることです。阪神2000mにおける純正の差し馬というのは、紛れのある話。サイレントハンターをやられたら勝負のしようがありません。

そういう競馬をする逃げ馬はおりませんが、秋山真一郎騎手が逃げ馬に乗ります。馬は1400mからの延長となりますが、コーナーを利した嫌らしい逃げを打つ余地はあるでしょう。

ドゥラメンテは良くも悪くもストライドの広い一本調子な馬で、スターズオンアースも差しの具合はジャスタウェイとかに近いものがあります。ペースを選ぶ余地のあるポジションが必要であり、割合、マイペースです。

G1を勝ちまくる先行の本質は横綱相撲であり、その点において自身のペースで圧倒する逃げ馬と一線を画します。相手のペースに付き合う・・・というのにも限度はあり、突っつくなりしてペースを誘導する手も多いのですが、他者に依存しながらレースメイクへ積極的に参加するという在り方に絶対的なものはありません。

そのためにシンボリルドルフ最強論は否定しづらいのです。「ハマったら強い馬」が最強故にハマり続けることは多く、オルフェーヴルやディープインパクトもその類。余力が違いますから。

最強の先行馬は「ハマってなくてもハマるよう努める」わけで、蹴飛ばしてきた逆境の量が違うし、活用できるレース経験値の量も違います。その難しさはエピファネイアの菊花賞とジャパンカップからも伺えましょう。(逆境に屈しやすく、経験の活用もしづらい)

真摯な気性を持ち、ペースへの柔軟性に富んだ先行馬。秋華賞に出走した馬においてはヴィルシーナくらいしか思い浮かびませんが・・・。彼女も歴代最強先行の一角を占める名牝に差されたんですよねぇ。

 

コーナー4つのレースにおけるスタニングローズの器用さには目を見張るものがあります。フラワーCも紫苑Sも登坂後にグイッと伸びて勝利。オークス2着を含めて、競争能力の高さを伺わせる内容です。

しかし中山ほど競争能力的スタミナを要求されるかと言えば、阪神2000mは相対的にスピーディな世界と言わざるをえず。レイデオロに近い馬ですから、平坦的なコースはかなり苦手で、登坂で差し切っちゃうタイプです。

レイデオロはガチンコジャパンカップでシュヴァルグランに屈し、有馬記念ではブラストワンピースに屈しました。Lyphard的な能力ではハーツクライに負けるし、スピード能力の引き出しにおいてはハービンジャーに劣るという、キングカメハメハの難しさを痛感しますね。

キンカメはNHKマイルCと日本ダービーを勝った馬ですから、究極的に、自身からスタミナを供給するにしても、母方からスピードを抽出するにしても、スペシャリストには劣ってしまいます。望田先生が一部のキンカメ産駒へ送る「玉虫色」という言葉、あれがキンカメの本領というべきでしょう。

 

そう考えるとハービンジャー産駒にチャンスがありそうで、母が短距離馬のナミュールとプレサージュリフトがドンピシャですね。

ナミュールは外回り型のHaloタイプなので、やっぱりこれもジャパンカップ・・・いや、秋天でしょうかね。ダイワメジャーのマッスルを本格化させて、どれだけ前の位置を取れるようになるかが焦点です。現状の差しはG1級と評価するのが難しい。

今回の秋華賞においてはプレサージュリフトの方が評価を高くします。これはもうバリバリのSir Gaylordですから、東京から阪神へ変わるのは好材料。しかし、京都の方が評価は高かったかな。G1のスローを差しに行く分でも、スターズオンアースが上手です。

Sir Gaylordの差しってのも東京でハマりやすい傾向はありますし、一概には阪神変わりが良いとも言いづらい。東京マイルの方がスターズオンアースは差しやすいかもしれませんね。

 

総じて・・・今年の3歳牝馬はレベルが高いとも言えません。ポテンシャルは例年より上だと思うのですが、良い経験を積んだ馬は少ないでしょうね。順当な結果であるかはともかく、順当なレースばかりでした。

それだけに秋華賞へ出走する逃げ馬の暴れん坊っぷりには閉口せざるをえず、桜花賞とオークスの順当さを懐かしく思う様な秋華賞になりそうです。

直行組を全滅と読む大冒険馬券もありですが・・・さて、どうしましょうか。

 

◎ライラック

○アートハウス

△タガノフィナーレ

 

ちょっとこれはエポカドーロの皐月賞っぽいレースになるかもしれず、2番手からスロー&スパートを決め込むタガノフィナーレを凌げる馬はアートハウスくらいではないかと。

凌ぐでもなしに差し込めるのがスターズオンアースと言いたいところですが、人気が前にあることから、ルメール騎手は前気味に位置を獲りそう。アートハウスの領域で勝負するスターズオンアースは脆いはず。

ライラックはステゴ×キンカメの靭やかさで追い込む馬で、オルフェーヴルの強靭さを表に出さないタイプです。サンデー3×4らしい極端な競馬を好み、前走はスローからのスパート戦となって前残りでしたが、それでも接戦の3着まで持ってきました。

アートハウスのハマる形とは言え、完全ではないでしょう。自身の型に執着出来る馬が上を行くのではないかと。

 

 

[fin]