砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ソールオリエンス雑感

脚元の問題があった馬ですが、指名後にも一頓挫さらにありました。昨年はレッドアヴァンティとディーンズリスターが絶望を提供してきたもんですから、軽くトラウマになってます。

幸いにして新馬戦までこぎつけ、立派に勝ってくれました。前評判がやたらと高く、まぁ手塚師の好きそうな表現だしなぁと。そこらへんは話半分で。

 

そうですね。指名の理由は手塚師も大きい。サクラバクシンオーの非力さ・・・というと意味が伝わらないと思うのですが、そういうのがよく表現されているなぁと思います。つまるところ、Princely Gift×ノーザンテーストですよね。

ロードカナロアもそうですが、日本的怪物スプリンターというのはゴリゴリしてなくて、ピッチを上げる瞬間は「THE 筋肉」でも、ストライドが伸びるとなんとも言えず靭やかで、ステイヤーが12秒後半~13秒前半で追走しているかのような緩み方をします。

キタサンブラックはその緩みを受け継いだ馬であり、これはDanzigなりMr. Prospectorなり、例に困ることはありません。我々にも身近なチーフベアハート(父父Danzig)という例が最も良く、この観点においてはキタサンブラックの理解を大きく助けてくれる名馬です。

それならキタサンブラックからマイネルキッツもビービーガルダンも出るのですかな?って話になると辛いんですが、まぁ、出たとしても不思議はありません。

 

イクイノックスの配合は超一流に相応しいものですが、キタサンブラック産駒のコンセプトモデルとは言いづらいところ。ソールオリエンスの方が再現性は高く、王道というべきでしょう。

イクイノックスは本当に良い配合馬で、彼にダービーで○を打ったのは血統マニアとしては敗北であったかもしれません。ただただ臨戦の問題だったわけで、皐月賞の武豊騎手が素晴らしい運びをした差だったんですよねぇ。今年の皐月賞とダービーは血統を大して語らず、ただただ競馬の質を書いていた気がします。あの皐月賞は福永祐一騎手が最高の騎乗をしていましたし。

やっぱり福永騎手というのは皐月賞的で、コントレイルもシャフリヤールもダービーの勝ち方だったかといえば、なんとも言えません。それをダービーに落とし込んで、勝ち切るまで研ぎ澄ました騎乗が称賛の対象でして、アプローチの仕方が本当に若いですよねぇ。

青臭いというべきでしょう。武豊騎手のような鮮烈さもなく、横山典弘騎手のような泥臭さもなく、青臭さでダービーを突き通してしまう。これは教科書的でありまして、若い騎手からよく名前が出るのもわかります。

でも、それが出来るのは福永祐一騎手だけでしょう。当然ではありますが、彼は一種の天才ですもの。天才を導く天才でなくとも、天才に乗る天才ですよ。「武豊の騎乗馬に乗れるなら同じくらい勝てる」をホントにやった変態。

 

話を戻しますと、イクイノックスは「ニックス」的なもので成り立つ配合馬ではありません。ソールオリエンスは「ニックス」的な馬でして、キーが揃えば似たような馬がポンポン出るでしょう。

ひと目見て「あぁ、これは良い配合だな」と思えるのがソールオリエンス。「これは成り立つんかな?」と悩ませるのがイクイノックスです。キタサンブラック×Motivatorの延長線上に立つのがソールオリエンスで、キタサンブラック×キングヘイローの常識から逸脱しているのがイクイノックス。

王道と邪道に分けてしまうのも違いますが、ソールオリエンスの配合は王道としか言えません。叶うならば、王道のままに素直な表現であれば良いのですが。

 

新馬戦はちょっと、ひねくれていますね。2着以下が未勝利を取りこぼすような質の馬であればいいのですが、ポンポン勝ってくるとソールオリエンスが分からなくなります。

キタサンブラック×スキアというのは、もっと、追走能力に突き抜けたタイプの配合ですから。スローで折り合いが難しくなるのは順当。ドスローの瞬発戦を質の高い馬を相手に競り勝ったともなると、師の言葉を真に受けたくなります。

クラシックに乗るのかなぁ。血統派というよりかは血統マニアなので、こういうマニアックじゃない指名馬が走ると寂しいですね。

マラマがね、良い配合なんですよ。今年のイチオシ配合馬です。シリアルノヴェルとかブラストウェーヴとかルクルスとかソールオリエンスは直球なので、充足感ないんですよね。マラマがいい。

 

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