Unbridled's Songという血統は基本的に前受け的、まくり的な血統です。ギュッと溜めてズバンっ!というものを伝えたサンデーサイレンスとは異なります。
それを父父や母父という位置からでも伝えてきたのがすごいところなのですが、Robertoと同じ様に差しへ構える手段も着実に蓄えています。コントレイルにスワーヴリチャード、スワーヴリチャードの娘にしてウインドインハーヘアの一族であるレガレイラもそういった血統です。
差しという脚質は「構える」ことが肝要であり、巡ってきたチャンスを決して逃さない馬を差し馬と言います。レガレイラは間違いなく差し馬です。ピラミマの気性を受け継いだ牝馬ですから。
ハービンジャーの美点を受け継いだアーバンシックとの大きな違いはここにあるのですが、それでもアーバンシックとて相当に反応する馬ですからね。この配合形だからこその部分もあるでしょう。
サリオスやシルバーステートに見る部分ですね。ランズエッジはNijinskyとPocahontasなので素軽く動くことを伝えられます。ステレンボッシュの早め抜け出しもペースや騎手の判断といった要素はありますが、そこで動く準備が出来ているのも重要な要素。レッツゴードンキ(Kingmambo≒ジェイドロバリー)もそうでした。
また、Unbridled's Songとウインドインハーヘアの怪演はコントレイルに見られる部分でもあります。かつての皐月賞ワンツーを飾った表現が相容れるのかどうかも注目に値するでしょう。
◎レガレイラ
◯ミスタージーティー
▲ルカランフィースト
今年の3歳世代の激アツ対決が続くランスエッジVSリッスンの関係は意外と馬鹿話でもなさそうで、少なくとも皐月賞ならこの決着はありかと。
◯ミスタージーティーは日本ダービーが大本命という表現と配合ですが、ゆっくりと脚を溜めて末脚をひねり出せば、中山2000m向きでなくとも皐月賞向きではあります。この配合でここまで駒を進められたなら戴冠があっても。
▲ルカランフィーストは母母が非Almahmoudの皐月賞ど真ん中配合で、これならサンデーサイレンス3×3も評価可能。母母シーキングマイラブがSeeking the Gold直仔のスプリンターで、母ゴージャスランチは1600m~2200mで4勝したOP馬。更に言うと母はマンハッタンカフェ直仔のドイツ母系で、父イスラボニータはCaro持ち馬。この評価を覆すだけのものがあってもいいでしょう。
ついでに、ですが。
Prunus(ドイツ血統)の近親にはToroやGood Goods、Brown Bed、Carusoなどがあります。これらの起点となるEglentyneはPeter Pan(北米血統)の母Cinderella(1888)と4分の3同血の叔母姪の関係。
Prunusはドイツ血統ならほぼ100%で見られる血統であり、フォルティノの母系にも見られます。ToroはPromised Land、Good GoodsはSeattle Slew、Brown BedとCarusoはSomethingroyalで。Peter Panはどこでも。
この脈絡は今年のクラシックを賑わせる馬においては当たり前に脈絡している部分。しかし、この牝系のインブリードからニアリークロスっぽいものはなく、それぞれがそれぞれの在り方を見つけています。
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