砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

龍王×驀進王 2024年スプリンターズS予想

サトノレーヴをどうするのか、というお話に終始しそうな今年のスプリンターズS予想です。

この配合の主張は「実はロードカナロアというのはNasrullahとMan o' Warなんですよ」ってことなんですね。サクラユタカオーの理念でロードカナロアを語ろうとしています。

でもそれって東京を踏破する理屈です。サトノレーヴくんからすると「外を回って差せばいいんだろ、ストレイトガールみたいに」という話らしいですが、そんなに格の違いある?ストレイトガールじゃなくてサクラゴスペルだったりしない?どうでしょうか。

 

またもうちょっと違う見方をしますと、まぁ、父ハーツの弟であるルクルスをPOG指名したくらいには、Lyphardとして正しい配合をした母だと思っています。チリエージェという繁殖牝馬がですね。

そのチリエージェにロードカナロアですから、ローズキングダムとかに近い考え方なんですね。Lyphardを軸にしてMill Reefでしなやかに、という。やっぱり東京っぽいんですけれども。チリエージェがそういう表現に落ち着くなら私のルクルス指名は成功したはずなんですよねぇ。

この頑固すぎるチリエージェの短距離パワーはMill ReefとBuckpasser、モガミを結ぶLa Troienneのインブリードが根拠として挙げられます。更にいえばサクラバクシンオーはこの類のパワーにものすごーく素直なんですね。それで実績をあげた種牡馬です。

LyphardとSolarioを利する表現といえばキタサンブラックですが、こちらは非La Troreinne。そしてその産駒の代ではLa Troienneのパワーをよく活用しています。

そう言うと「イクイノックス的パワー&スピードで走るスプリンター」的な解釈が出来ますが、Pretty Pollyに絡む部分での蓄積量がまるで異なりますのでね。血統の文法が異なるというべき。

 

ざっくりまとめますと、サトノレーヴはサクラユタカオーの文法でロードカナロアを語る部分が多いわけですが、一方で、マルゼンスキー・モガミ・サクラハゴロモによるStorm Catの掌握も行われています。

サトノレーヴをStorm Catとして語れば「巡航能力」という話で、アーモンドアイとかと同じ強さで走っていることとなります。けれども、それは違う。

どちらかと言えばサトノレーヴのStorm Catはアーモンドアイではなくキズナで、キズナ産駒は巡航能力で語ることが出来ますが、キズナ自体をそう語ることは少ない。凱旋門賞や春天の夢を見たキズナというダービー馬と同じベクトルにあるStorm Catと言えます。

春雷Sでは接戦となる1着。中山適性に疑問符がつく形となりましたが、あのぴったりきっかり間に合わせる感じがサトノレーヴの本質と言えましょう。

 

それじゃやっぱり東京ベターじゃん、という話。サトノレーヴが間に合わない可能性はありますね。

しかしそれは1400m巡航型のナムラクレアも同じですから、人気どころはだいたい同じような弱点がありますね。どちらかと言えばナムラクレアよりサトノレーヴの方が間に合いやすいでしょう。枠的にも。

それではどんな馬に間に合わないのか・・・。ママコチャやマッドクールですか。マッドクールはAhonooraの権化ですからトウカイパラダイスとかに近い表現ですね。ハイラップになって前が薄くなると嬉しいタイプ。ママコチャはRobertoパワーのクロフネ牝馬ですから外に自由が欲しいタイプ。いずれも前受けからマイペースでベストパフォですね。

ママコチャと川田騎手はすぐ外のマッドクールと坂井騎手を疎ましく思うでしょうけれど、外壁していつも嫌がらせしているのは川田騎手ですのでね。因果応報です。因果応報のはずなのにリバティアイランドとかはかっ飛んできますから、ずるいですよね。

おそらくこの2頭は前で喧嘩しているはずですから、これだけでも差し届く可能性は高まります。

 

トウシンマカオは配合理念は中距離的ですが、父の遺伝とNijinskyの在り方が短距離なので短距離馬になった感じ。父ほど純度の高いスプリンターではありませんし、またWoodmanらしい馬なんですよね。Woodmanはスピードを要求されると辛い・・・。

スプリンターとしてこれだけ実績をあげている馬にスピード不足を指摘するのも変な話ですが、G1を勝ち切るだけのスピードというのはやはり別枠で、近親に特定の血統を持つだけでもやり玉に挙げてどうのこうのという話となります。

Woodmanはパワーに偏り過ぎるので芝の場合だと馬場が渋ったときにチャンスのように思えるわけですが、意外とアドバンテージをとりません。ラストインパクトとかシャケトラとか、馬場が渋ったときにめちゃくちゃ走りそうな血統してますけどね。トウシンマカオも高松宮記念は案外でした。

むしろパンパンの良馬場であった方がラストインパクトもシャケトラも怪物的パフォーマンスを見せております。そしてトウシンマカオも持ち時計は優秀なのですよね。やっぱりこれで「スピード不足」「Woodmanはスピードの担保として足りない」という論調は変ですが・・・。

スピード不足というか・・・前で受けられないハーツクライやイクイノックスみたいな表現なんですよね。脚を小出しにできない感じ。Lyphardはパッと行ってスッと収まるんですけど、Woodmanはなんか上手いこと収まってくれないんですよね。

なのでしっかり貯めてしっかり脚を使うというスタンスになりがちで、勝ち切るときは鮮やかでも、勝ちきれる相手関係はシビア。ハーツクライが後方競馬でどれだけ差しきれなかったか、という話ですね。差せる相手は大勢いるけど、1頭や2頭は差し逃してしまうという。

 

個人的にはオオバンブルマイがキーンランドでしっかり差し込んできたのが驚きでした。1着のサトノレーヴとは差が開いていますが、1200m戦にきっちり順応してきました。

もちろんしっかりと脚を貯めた競馬ですし、前半35秒フラットはマイルに毛が生えた程度。サトノレーヴをキズナ的と言うならば、こっちもキズナ的ですが・・・、キズナというよりかはコントレイルに近いかもしれない、という。

Unbridled's Song全妹という背景がオオバンブルマイにはありますが、正味、軟すぎるんではないか・・・と思わなくも。だからこそ初の1200m戦、それも札幌でしっかり3着まで間に合わせてきたのが驚きなんですが。

更に差し込みづらくなる中山で上積みも何もないんですが、ちょっと侮れないのかなぁと。

 

久しぶりのG1予想で舌がよくまわりますが・・・。

結局のところ、スプリンターズSを踏破するのにサクラバクシンオーというのは軟すぎるんじゃないかなぁ、と。2分の1サンデーとか4分の1サンデーと切磋琢磨していた血統です。

名スプリンターのくせに頑強を取り入れる必要があり、それに素直というね。君は名スプリンター、驀進王の名に思うところはないのかい、と少しうざ絡みしたくなるくらいに。ちょっと自分で主張したいスプリンターらしいマッスルはないのか。

本当に、まぁ、ロードカナロア×サクラバクシンオーという累代であのヌメッとした馬体に出ちゃったサトノレーヴくんには、思うところたくさんあります。君の表現もそれでいいのか。なんでゴツゴツしてないのだ。ヘビみたいな肉の表情してるぞ。

まぁ、サクラバクシンオーはMr. Prospector系の頑強で走るところありますしね。そりゃヌメッと滑らかにスピーディマッソーでしょう。ビッグアーサーがちょっと変なやつだったんです。でも走らせたら一番ヌメってて、関節部に潤滑油が入ってそうな・・・工業機械的な柔らかさで走っていましたねぇ。躍動というには、あまりにも固い。されど滑らか。

 

◎ビクターザウィナー

◯マッドクール

△サトノレーヴ

 

ビクターザウィナーの競争寿命が足りてるのか、という観点はありますが・・・高松宮記念を見る限り、限界勝負の経験値はすごく高そうな馬でした。もちろん、そういう走りを続けた逃げ馬は精神的にも身体的にも摩耗するんで、線を引いて走らせたり、すぐにレースで足りなくなったりしますが。

少なくともサドラーとDanzigと、それぞれが美味しく食べるサイドメニュー。それらによる父母相似配合ですから中山で走らないわけがありませんね。中京1200mから上向く可能性は大。

マッドクールはもう少し内枠が欲しかったでしょうけれど、内に番手を主張する馬がいません。ママコチャだって外に行きたい馬でしょうからどこかで引くでしょう。そこでロスはあるにせよ、内を回ればAhonooraは走りますな。

サトノレーヴが◎と◯をまとめて差し切る可能性はありますし、それをやっておくれよ、という枠でもありますね。しかしビクターザウィナーの二の足は相当速いのでポジション取りに難が。彼の素質が高いほどに、ここのロスが痛いでしょう。

 

[fin]