砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

リオンディーズ雑感

朝日杯は見事にリオンディーズが差し切り。シーザリオはもう立派な名繁殖だな。

エピファネイアより重厚な差し脚を持っていて、キングカメハメハSir Gaylordがこれだけ重厚に切れるというのは少し想像しがたいところがある。ましてやNureyev≒Sadler's Wellsであるもんだから外回りできっかし差し切れる血統表には見えない。

キングカメハメハBuckpasserクロスはパワーに寄ってしまうからキンカメ×スペというはニックスではない。登録は35頭(未出走馬含む)あり9頭が勝ち上がりでオープンはタガノグランパとクラリティシチー、クリノヒマラヤオー、そしてリオンディーズの4頭だけ。2勝しているのもこの4頭だけである。

キンカメのMr. Prospectorクロスは基本的にダートへ向いてしまう。クリノヒマラヤオーはダート馬だ。しかし同馬は若いころに皐月賞へ挑戦したくらいで、同じMr. Prospectorクロスのクラリティシチーは芝馬である。また、二頭ともWoodmanMiswakiを経由したクロスであるから母は「サンデーミスプロバックパサー」のA級中距離配合であったことが分かり、Buckpasserを3本引いているのだ。

キングカメハメハミスプロクロス」ではなく「サンデーミスプロバックパサのミスプロクロス」とするのが大事なのだろう。Tom Foolは力っぽい見た目の血統だが靭やかな馬体と合わせることで4WD的な動きをするのが特徴。Buckpasserだとその傾向が顕著になる。

だから距離不問・・・とまではいかなくともそれ相応の競馬が出来る。ルーラーシップの様に大きなストライドを広げられる。柔軟な馬体に対して優れたアプローチが出来る血統だ。だからこその中距離配合「サンデーミスプロバックパサー」。

まとめるとキンカメ×スペの配合形は靭やかマッチョで成功する配合なのだ。そしてスペシャルウィークはPretty Polly的なスタミナも伝えるからそちらの方向を攻めることで緩慢なスタミナを得ることが出来る。実はドゥラメンテとやっていることはほとんど差がないのだ。

二年続けてキンカメの大物が現れたのは世相を表しているとも言える。マイルだったから後ろからとなったがダービーでは好位につけられるだろう。

芝が全体的に荒れるために差しが届かず「ダービーポジション」という確言が生まれた。そして芝の保全技術も進み外の馬場が荒れなくなり芝読みとサンデー差しの達人である武豊が「ダービーだけは勝てない」という評価を覆した。そして今、技術はさらに進歩して全体的に荒れない馬場を日本は手に入れつつある。

「ダービーポジション」の復活・・・強い馬は好位から突き抜けるようになった。溜めれば伸びるという時代は終わるのだ。「中距離馬の電撃戦」である朝日杯FSを差し切った内容には大きな価値があるだろう。

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