砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ファルコンS展望 その2

中京1400mのレイアウトについては前回書いた。全ての登り下りは緩やかで、前2F登って頂きに至りそれから3Fほど下る。そしてまた登る。これに挑むのが若き短距離馬たちである。

思う。どう考えても若さはデメリットでしかないと。

若いから競馬を理解していない。理解していたとしても18頭のうち5頭ほどウマシカがいらっしゃればついていかざるを得ない。どうあがいても前のめりになってしまう。しかもその中に将来の重賞級スプリンターがいたらどうなっちゃうのさ。14年にネロが刻んだ前3Fのラップは11.9-10.3-10.8。33秒ジャストの好タイムっ!

またスプリンターがウマシカであることは必然。それが良馬であるほどにウマシカである。行って行って行きまくりたいのがスプリンターであろう。そしてきっちりゲートを出さなければ短距離戦は始まらないわけで、そこからきっちり落ち着かせるのが騎手にとって腕の見せ所となる。けれど春の3歳スプリンターはキレッキレに動くから・・・無理筋だよねぇ。

なのでドスロー瞬発というのはどうやってもありえない。むしろハイペースに巻き込まれて前崩れになる可能性を考えるのが自然だろう。狙うなら例年通りに中団から後方ということになるが・・・昨年のようなパターンもある。

タガノアザガルアクティブミノルのワンツーである。この2頭は米血統の影響が強い馬で早熟なところがある。

アザガルはバゴ✕アドマイヤベガでスタミナ豊かな配合に見えるが父母仲良く「4分の3米」の配合であるから自身もやはり「4分の3米」となる。4分の1異系を持たないのでピークがドッカンターボであることは伺えるし、ましてや父バゴでは拍車がかかろうもの。流れ星のようにピークは訪れ、そして去っていく。

アクティブミノルはそれに比べて幾分マシなのだがスタチューオブリバティアグネスタキオンで米血統の感が非常に強い。母母ロイヤルリフも米血統だ。

米血統というのはイギリスの血統を早期に取り込んでいる事が多く、HyperionPrincequilloも短距離血統の波にもまれて短い距離を走っている。そのせいか割合によって容易く中距離血統をもみ消してしまうところがあり、イギリス自慢の「Hyperion✕Swinford✕Pretty Polly」だって気がつけば短距離を走らされていたくらいだ。その影響範囲は絶大である。

(そもそもイギリスさん自身がTudor MinstrelHyperionを短距離化してるし)

アクティブミノルの母ちゃんがそのTudor Minstrel6*6だな。リマンドがあるけれど・・・アグネスタキオン自体が米血統的なスピード馬であるところがあるし、母父としての代表産駒がダートの俊英ノンコノユメだもの。ディープスカイを通じて父父としてもダートの活躍馬が多いし、Tudor Minstrelクロスで活躍馬を大いに輩出している。

・・・そう考えるとエイシンブルズアイというのは良く出来た配合だな。うむ。それと少し関連すると、アクティブミノルもまたUvira牝系クロスが入っている。Missy Baba5*6で「4分の3英、4分の1仏」のMy Babuを巻き込んだクロスだ。

牝系話に関連して、タガノアザガルアクティブミノルBlushing Groomを持つがこれの牝系がサンデーサイレンスの持つHillaryと関連する。このあたりを掘り下げるとかなり楽しい。

Hillary

Aimee(Blushing Groomの母母)

ともあれこういった米血統を基調とした早熟短距離馬がいると少し困る。けれど一本調子なSeattle Slewを狙うという考えで大抵は解決するだろう。最も一本調子に外回りを踏破する血統だものな。

そしてHyperion・・・特にLady Jororを伴うTudor Minstrelを使うと効率が良さそうだ。この辺りのバランスだな。やはりシゲルノコギリザメあたりは有力っぽい。シンザン記念で中距離のトップクラスと接戦を演じたのも高評価だ。Court Martialクロスの一貫性とTudor Minstrel≒Barley Cornのオシャレさが高評価。

トウショウドラフタは好配合だが1400mでは距離が短いように思える。シュウジともども素質の高さでねじ伏せる一戦となりそうだ。

キングハートはオレハマッテルゼ✕マイネルラヴの渋い配合でノーザンテースト弄りとRoman継続の強いゴリ押しスプリンター。Seattle SlewSecretariat=Syrian Seaなどボルキロ血脈の強さも目立つが仕込みの巧妙さに脱帽。スルーザドラゴンが傷になりそうではあるが距離延長はプラスだろう。だが緩さも感じられるし本格化は古馬になってからかな。

あとはレースを見て楽しむべし。道悪限定でファスリエフ≒Moonlight's Boxの4分の3同血ニアリー馬であるミスキララがどうなるのかを見るかね。決して褒められた配合ではないけれどピーク真っ盛りのバゴ持ちには何があっても驚けない。

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