砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ミッキークイーンのVM巧者説

根拠その一 ハイペースの秋華賞をジワジワと差し切った

根拠そのニ パンドラが差し切ったジャパンカップで案外な結果

根拠その三 阪神牝馬Sではドンピシャの末脚

おそらくこの馬は12秒台での溜めがあまり効かないのだろう。それでもオークスを勝ち得たのはノットフォーマル黛の変態ラップのおかげと言える。前半1400mを1分26秒4のドスローに押さえ込み、残り1000mを11.9-11.9-11.3-11.6-11.9の58.7秒としたのは秀逸。ノットフォーマルに適した流れとはいえなかったが牝馬のトップクラスには上等な流れだったのだろう。

昨年の牝馬三冠はレッツゴードンキのドドドスロー桜花賞に始まった。牝馬G1のなんとつまらんことか、と誰もが思っていた矢先、黛弘人が一皮むけたのが面白い。当たりが強いので牝馬を走らせるには不安ではあるのだが、彼の刻むラップには人の知性を感じさせられる。いや、当たりの強さと合わせたらあんまり褒められたものではないのだけれども、酒井学なんかの頭空っぽ騎乗よりよっぽど好みなのだわ。これを柔らかく実現できれば一線級ジョッキーなんだけれど、難しいよなぁ。

ともあれこのインテリジェンスな騎乗でオークス秋華賞は非常に面白いレースとなった。ステイゴールドネオユニヴァースの孫世代に有力牡馬が出てきたら是非乗せてあげたいジョッキーだな。

トウケイヘイローに対するジャスタウェイ、というのがノットフォーマルミッキークイーンの関係。この一本調子な末脚はIcecapade的で、ディープ牝馬からこんなのを表現した馬が出るとは誰が予想しただろう。フツーにディープの黄金配合に見えるのにな。

3代母Gazeliaの配合が強烈で、これにGold Awayの持つGold River✕スイートリベンジのナスキロクロスが異様な雰囲気を伴って脈絡する。そして母ミュージカルウェイ自身は「4分の3Nasrullah、4分の1非Nasrullah」でGazeliaを異系としているのが素晴らしい。

なので「Nasrullahを母体としてGazeliaが表現される」のと「Gazeliaの異系を生かしてナスキロ柔さが表現される」のと2パターンの産駒が予想されるのがミュージカルウェイという繁殖。ディープの仔だとほとんどが上手にGazelia的な本格化を遂げているな。

これはおそらくディープのLady RebeccaSir Ivor✕Pocahontasであることが原因。Gold River✕スイートリベンジ✕Lady Rebeccaのナスキロ群が持続性の高い一本調子な末脚を支えていると考えられる。

全兄がトーセンの馬であることからもそれは伺えて、牡馬に出るとスタミナへ誘導されるほどに靭やかでしぶとく動く配合なのだろう。トーセンジョーダントーセンホマレボシのイメージだ。あるいはノーザンテーストのイメージとも。Gazelia≒ノーザンテーストって表現ができるので。

他に比較対象があるとすればオルフェーヴルか。直接の比較は難しいけれども、オルフェ産駒の牝馬から似た馬を出すことは出来そうではある。

しっかし、こんな経由で超一流馬を出すのだからすごいわ。Gold AwayもProcidaも一線級とは言いがたいし、牝系自体もそこまで良いものではない。けれどこうしてミッキークイーンみたいな馬が出てしまえば・・・とっても良いものに見えるのだから人の目って都合がいい。

近親にはノノアルコがあるのだね。したらアドマイヤムーンをつけても面白いかもしれん。少なくともハクサンルドルフくらいのレベルには出るだろう。

アドマイヤムーン✕ミュージカルウェイ

あるいは次世代で

ハクサンムーン✕ミッキークイーン

とするのも・・・条件戦どまりだな。ダメだこりゃ。父母ともに柔らかすぎて本格化に時間がかかった馬ってのは問題がある配合だし、加えてコンセプトがまるで異なる。サクラユタカオーってクセのある血統であって、ハクサンムーンキタサンブラックサクラユタカオーを使いきった配合馬だろう。

VMの話に戻して最後にするべし。ペースを誰が刻むかが大きな鍵。馬も人も。

ウチパクさんが刻んでくれると嬉しいが有望なのはスマートレイアーだから難しいかねぇ。ミルコの逃げるVMってのは想像しづらいのだが馬なりの逃げになるだろうな。

スマートレイアーのペースなら少し余裕残し気味か。しかしこの馬のダッシュで東京マイルを逃げるってことになると、しかも鞍上がミルコということになると、淀みなく逃げることは難しくなるかな。起伏がありそう。

差し天国になることが予想される。ただ大外一気の旧ダービー馬場というわけじゃないから割り場所に困るかもしれない。馬群を嫌わずに脚を伸ばせるディープ牝馬組の長所が活きそうだ。

中距離ならショウナンパンドラが筆頭だがVMに場所が変わるのならミッキークイーンだろう。阪神牝馬Sの競馬が活きそうである。

ん、武豊なのか。ミルコはクイーンズリングがあるものな。

総じて、メンツがどうも春天みたいな感じなんだよな。「将来があるのだから」な馬たち。

前目に受けて勝負を賭けたいのはシュンドルボンとスマートレイアーくらいかな。他は自分の競馬に徹して次へ繋げようとする意識が強そうだわ。これ内枠に入ったら春天の二の舞いになるぞ。

こりゃ秋華賞好走組による大決戦が行われそうだな。クイーンズリングミッキークイーンスマートレイアーの3頭。

これにメイショウマンボが加わってきたら笑っちまうだろうね。しかしスローの中で幸四郎がストレスをかけずに走らせられれば・・・いや、一昨年のが最後だろう。

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