砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

予定調和の「4分の1サンデー」 オークス回顧

エンジェルフェイスとゲッカコウについてはちょいとよろしくない取り上げ方をしたかなぁと。

フルキチが覚悟を決めて行くことは予想通りだったが馬なりのスローに落として公式ラップでは13秒を刻んでいない。もう向こう正面に行ったら上手に落としてくるんじゃないかと思っていただけに1000mを1分切ってこられてびっくり仰天。

本格的にペースダウンしたのは1000m通過後で、フルキチは尻を高く上げて馬なりのまま3角へ侵入していった。シンハライトは馬群の中、それも後方であったから周りのジョッキーも動くことを良しとせず。いの一番に、最高のタイミングで動き出したのはミルコの駆るビッシュだった。

武豊ヒットザターゲットアンカツウインバリアシオン、東京2400mのスローを壊しに行くジョッキーは必ずいるものだ。彼らは自分の馬より強い馬に利する行為だと分かっていてもそれをやってのける。騎乗する馬の着順を上げるために絶好のタイミングでスローを壊しにゆく。

しかしミルコはシンハライトのフタをしていたわけで、そのフタを最高のタイミングで外したわけだな。シンハライトは馬群に揉まれて、自分は呼応した馬を引き連れて馬群の外側へ出た。結果論ではある。だがこれによってシンハライトの差し場所はなくなったわけだねぇ・・・。あれだけ横に広がっているのに200mまで前が開かなかったというのはすごいことだわ。結局は悪質な斜行でこじ開けたからな。

けれど池添目線でみたらひどいレースだよ。すぐ外の後輩がフラフラしながら右ムチ連打してるでしょ。スペース開いているけれど突っ込む気にはなれなくて、仕方なく前のオッサンが動いた時に突っ込んでやろうと息を潜めた。して、いい具合に開いた内へ切れ込もうと思えばアットザシーサイド福永が外へヨレてくる始末。

内側も外側も前も、ぜーんぶヨレヨレしてぶつかりにくるんだぜ。右の後輩も左の先輩もムチ振るいながらサンドイッチしようとしてくるんだから恐ろしい世界だわ。バラエティ番組の中ではあんなに仲良くしているのに、レースにおいては親の敵と言わんばかりに殺しに来るからね。

池添もすごいわ。あんな寄られ方してよく接触しないもんだ。最後はフランス仕込みの体当たり決めたけど。

おそらくビッシュの位置が本来の逃げポジションで、これより後ろの馬は普通のスローペースを追走している感じだと思う。前半3F35.1秒というのはレースレコードの年と同じ速さで、これより速いのはカワカミプリンセスが勝った06年の34.7秒があるくらい。

この速さになると前残りは絶望的だろう。なぜならペースを落とせば落とすほどに後方の脚は溜まるし、かといって速くしてしまう手はありえない。最序盤に筋肉中の酸素を使い果たしてしまえば・・・手詰まりだわな。

ミルコの「抜け出し」たタイミングがバッチリなのが全てだわ。

二頭のポツンが吉田豊と松岡で、この二頭もまた外から交わしに行くタイミングを図っていたんだ。後方を殺せるタイミングで抜けださなきゃならないから結構溜めてた。

普段ならもう吉田豊のタイミングが完璧に決まるんだがミルコがいた分だけ想定が狂った。ミルコ(オレンジ)はおおよそL750mの時点で動き出し、L600mの時点で先行集団を飲み込んでしまった。

黒丸集団は綺麗に内に固まって、例外はアドマイヤリード(赤帽子)とフロンテアクイーン(緑帽子)だけ。それぞれ岩田と蛯名が騎乗しているわけだからイメージ通りの騎乗だな。

それ以外はミルコの動きに呼応しながら赤丸シンハライトの外を専有している・・・のだが、福永アットザシーサイド(黒帽子)が内側の前にいるんだよね。これが400m切ったあたりで外へスーッと動く。大体ビッシュのすぐ外くらいまで。

その外にシンハライトは構えるのだから大外だよね。13年のダービーにおけるエピファネイアや昨年のジャパンカップにおけるショウナンパンドラくらいの位置だろう。

これらの映像を見る限り、こんだけ外に馬が集まった例は少なそうだね。ぱっと思いつくのは12年の秋天エイシンフラッシュが最内強襲で勝ち切ったあの年くらい。

今年も松岡が内をついたんだけれどもまるで伸びなかったな。実際問題、今年の展開で内を突くのは難しい。それを可能とするのはチェッキーノくらいで、コスモネモシンっぽく競馬をしていたら勝ち切りまであったかも・・・いや内馬場もちょいちょい荒れているからどうだろうな。

この調子だとダービーは外差し天国になる可能性がある。ディーマジェスティが内に入れば面白そうだがな。

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