過去に春天と宝塚記念の両レースを制した馬は多いようで少ないようで、結局多い。
マヤノトップガン タマモクロス メジロマックイーン テイエムオペラオー ヒシミラクル ゴールドシップ イナリワン などなど(調べるのが面倒になった)
年代が非常に広いことが面倒臭さの一因と言えるが重要であるのはそこではない。重要なのは・・・阪神2200mと京都3200mを両方制したサンデーサイレンス持ちがゴールドシップという規格外の変な馬しかいないことなのだ。
これの意味することとはなんだろう。
サンデーサイレンスが中距離の名血統であることが挙げられよう。この血を春天向きに作り変えることは大きな変質を引き起こす。サンデーサイレンスではない何かで走る馬こそ春天を勝ち得る。そもそも春天自体がブライアンズタイムなどの血統に押され気味であった。
そしてサンデーサイレンスの土俵である阪神2200mはサンデーサイレンスの中距離力を目一杯活かした馬が勝ってしまうのだ・・・とは言わない。
なぜならばサンデーサイレンス産駒が宝塚記念を勝利したのはマーベラスサンデーが初だ。それに続いてサイレンススズカが楽勝する。そしてそれ以降はグラスワンダー、テイエムオペラオー、メイショウドトウ、ダンツフレーム、ヒシミラクル、タップダンスシチー、スイープトウショウと統一性のない奴らがサンデーサイレンス組を圧倒し続けたのである。
強いて言えばRoberto系が強い。だがサッカーボーイやオペラハウス、Plesant Tap、エンドスウィープ、終いにはBigstoneとか言う謎種牡馬である。それを言えばSilver Hawkも十分に謎種牡馬であるが、現代においてその血は広まり、今なおその直系馬が最強マイラーだの中距離の新星だの言われているのだ。ポピュラーとすら言える。
「宝塚記念」においてその終止符を打ったのはディープインパクトであった。だがこれは京都2200m、外回りでの開催である。春天との親和性は高いといえる。まぁ馬場は悪くあっただろうが、ディープさんなら圧倒してしかるべき条件だから・・・。
そしてそれがサンデーサイレンス直仔の勝った宝塚記念、その最後となった。翌年に勝利したのは二頭目のエンドスウィープ産駒アドマイヤムーンだったのである。母父サンデーサイレンス。
そしてドリームジャーニー以降はステイゴールド産駒の天下となる。09年から宝塚記念は7回開催されているわけだが、ステイゴールド産駒はその間に5勝を上げている。取り逃がしたのはアーネストリーとラブリーデイの年である。アーネストリーは非サンデーで、ラブリーデイは8分の1サンデー。
となれば、気になるのはステイゴールド産駒の2着馬だろう。
ドリームジャーニー~2着サクラメガワンダー(グラワン✕サンデー)
ナカヤマフェスタ~2着ブエナビスタ(スペ✕Caerleon)
ゴールドシップ~2着ダノンバラード(ディープ✕Unblideld's Song)
ゴールドシップ~2着カレンミロティック(ハーツクライ✕A. P. Indy)
非サンデーが2着であったのはオルフェの時だけか。思いの外どうでもいいデータを集めてしまった。てっきり非サンデーが盛りだくさんかと。
これはうーん、ステイゴールドが一つ頭抜け出ていることに違いはないとしても、4分の1サンデー時代というべきかな。また並べてみると、実にサンデーサイレンスの臭いがしないメンツが2着に入っているわけであるし、ラブリーデイもまたサンデーというよりキンカメな馬。
そうなると、だ。疑問が二つ産まれるよな。
一つ目。サンデーサイレンスの血は遠く、表現されない方が良いのか。
二つ目。サンデーサイレンス的ではない中距離力とは何であるのか。
一つ目に関しては判断が難しい。4分の1サンデーが強いのか、8分の1サンデーが強いのか・・・謎&謎である。この点において阪神内2200mというのは尽く考えづらいことばかりだ。ましてやラブリーデイという8分の1サンデーの中距離チャンピオンがいるのだ。
まぁ、ラブリーデイがサンデーサイレンスの血を全く受け継いでいないかと言えばそうではないからね。この馬はわりとサンデーサイレンス的だろうし・・・そう考えればラブリーデイの配合から「サンデーサイレンスらしさ」というものが見えてくるのかもしれない。
二つ目に関しては簡単だろう。ステイゴールドが強いのである。つまり米仏の組み合わせが強く影響していると考えられる。まぁ、それがつまりサンデーサイレンスの中距離力とイコールの関係にあるのかもしれないが・・・。
ただゴールドシップがサンデーサイレンス的かと言われれば難しい話である。即答するならば「らしくない」となるのだが、あのスロー耐性と気性難は「らしい」ものである。
そもそもステイゴールドが種牡馬として成功し、その黄金配合がサンデーサイレンスを活かしたものではない以上、ステイゴールドとは限りなく日本的なサンデーサイレンスらしさを伝える種牡馬と言える。「らしい」からこそ「らしからぬ」配合を取るのだ。
またナカヤマフェスタという凱旋門賞2着馬の配合を見る限り・・・ホント頭おかしい。
なんでこんな配合で中長距離を爆走するのかって話。ディープスカイ種のサトノセレスティの仕組みはまぁ理解できるとしても、ナカヤマフェスタが凱旋門賞で爆走する理屈がまるで分からん。母ちゃんのディアウィンクはダートの短距離を走っていたのに。
ディアウィンクの持つ短距離力とパワーをステイゴールドが弄らなかったということだろう。Danzigにノーザンテーストぶち込んで何を言うかって話なんだが、Danehillにゃそこまで強烈な短距離力はないからね。ましてや16分の1まで遠のいたDanzigが強烈な短距離力を伝えるなんてこともない。
Northern Dancerを増幅することでDanzigは繁栄し、Northern Dancerクロスによって現代競馬は成り立っている。ここまで来たらDanzigの短距離馬など珍奇な存在とすら言えよう。しばらーく見たことないぞ。
もし「4分の3非Northern Dancer」のDanzig直系スプリンターがいたなら、とっても使い勝手の良い種牡馬だろう。それがもしDanzigのスプリントを受け継いだスプリンターであればだな。使い勝手の悪い異系スプリントを受け継いでしまうと手がつけられない。あくまでもNorthern Dancerの中距離力を増幅させられることが前提だから。
これはHaloにも適用される話だよねぇ。そしてサンデーサイレンスが遠のくほどにNorthern Dancerの本数は多くなる。サンデーサイレンスはよりNorthern Dancer的に傾いてゆくのだね。
ラブリーデイやアドマイヤムーン、スイープトウショウなどのMr. Prospector直系馬の躍進もあるのだが、キングカメハメハやエンドスウィープがMr. Prospector的であるかと言えば・・・やはりそうではないだろう。HaloほどではないにしてもNorthern Dancerの影響を受けて中距離を走っている。
Northern Dancer直系馬もやはりNorthern Dancerらしい。流石にSadler's Wells直仔であればその影響を強く受けるが、オペラハウス産駒がSadler's Wells的であるとも思えない。代を経る毎にNothern Dancer的になっていくだろう。
それにはやはりDanzigと同様に短距離タイプが好ましい。Vice Regentやノーザンテーストを相手にクロスを入れたほうが恰好が決まる。サドラーみたいな奴だともうちょっと違う感じに突っ込まざるを得ないだろうな・・・テイエムオペラオーほどずば抜けた存在なら違うんだろうが。
駄目ね。この類の話を進めると収集がつかない。指針にはなるかなぁと思うが。
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