ハービンジャーで最も成功しているのはLe Fabuleux弄りだろう。フジキセキやステイゴールドを相手にするのが手っ取り早い。
しかし重賞勝ち馬は
とニックスだとかの要素をほとんど無視していて、キンカメと成功した繁殖を近親に持つのが鉄板。けれど最も成功したのがベルーフであるからニックスを否定するとあまり良くないのも事実。
キンカメに近い関係にあるのはNDを3本以上引くことやShareef Dancer≒ラストタイクーン(NDとナスキロとTom Fool)、The Dancer≒Kayasi(NijinskyとAimee)などの相似が認められることが理由かと。ここらへんはサンデーサイレンスとのニックスに関わる要素。
ただしKingmamboの凶悪な対サンデー性能には敵わない。だからキンカメと成功した繁殖を相手にしてもそれ以上を望むことは難しいのである。それだけに非サンデーで成功したロードカナロアやホッコータルマエの弟妹ならば話は違ってくると思うが、それはそれで唯一無二の好配合である可能性の方が高くなる。
またハービンジャーの配合を考えるにおいて最も重要なのは4分の4NDであることだ。日本において4分の4NDと言えばピークが早く3歳頃から活躍し始めるというイメージなのだが、本馬は3歳の4月にデビューして10月までG3勝ちを含む5戦3勝という微妙な成績である。
古馬になってからは4戦4勝・・・そのうちの一つがラストレースとなったKGⅥ&QESである。11馬身という凄まじい着差はもちろん、その年のダービーS勝ち馬であり凱旋門賞勝ち馬ともなるワークフォース、そしてアイリッシュダービー馬にして唯一ワークフォースに土をつけていたケープブランコを相手に勝ったことも大きな評価に繋がった。ただし、ケープブランコもワークフォースも完全無欠の最強馬ということでもなかったことが後々に明かされる。
そして脚部不良によって引退。これはキングカメハメハと似ている。
日本における4分の4NDの成功例と言えばラブリーデイ。これも活躍し始めたのは古馬になってからで、それでも4歳まで重賞を2着する程度。全盛期を迎えた5歳時は宝塚記念と秋天を含む重賞6勝を記録し、複勝圏を逃したのは2500m以上の条件である有馬記念、阪神大賞典、春天の3戦だけ。2200mと2000mでは完全に敵なしだった。
この晩成型4分の4NDを支えているもの。それがハービンジャーとラブリーデイを結びつけるかもしれない。
・ノーザンテーストやDanzigなどのLady Angela弄り系ND
・Roberto
・ND+ナスキロ+Tom Fool
・Nashua≒Nantallah
・Graustark=His Majesty
・NDに対してのNative Dancer尊重
単純にナスキロを噛まして、単純に中距離~中長距離馬を出すのがキンカメである。ただそれで超一流のものが産まれたかというと怪しくて、最高品質がローズキングダムだと考えるとやや物足りない。
何故そうなっているのかと言うとラストタイクーンを使い切っていないからだと言わざるを得ないし、Mill Reefへニアリーとしてのナスキロラトロをクロスするのではなく、そのものをクロスしてようやくローズキングダムが誕生した。そしてまた、それがナスキロで切れているのかと単純なものなのかと言うと全く別なわけで、Mill Reefはナスペリオンでもあるのだよね。
面白いのは最も周到にSecretariatを噛ました配合馬がロードカナロアであることで、これはラストタイクーン≒Storm Cat3×2という強いニアリークロスを持つ。Secretariat=Syrian Seaで母ちゃんがクロスしているレベルのナスキロっぷり。
これでアジアの短距離王が誕生したことによってSecretariatという血の不思議っぷりがまた一つ提示されたのだよね。同時にキンカメの不思議っぷりにも色々思うことがあった。けれど例が少なすぎて仮定&仮定にしかならない面倒な奴。だから産駒の性質を見ないことにはなんとも。
一つだけ可能性を示すのであれば、ナスキロそのものが中距離~中長距離の性質に触らないことだ。日本競馬においてはあくまでもサンデーサイレンスという強烈な中距離血統があるためにナスキロが中距離で有効に働く。
だからこそND+ナスキロという血統が欧州に蔓延し、その代表にダンシングブレーヴなどがある。それとまた別に短距離系のND+ナスキロも存在し、それこそがStorm Catなのだと。
キンカメサンデーは万能ではあるがキンカメサンデーナスキロではその万能の延長線上に超一流を描けない。それはハービンジャーにも同じことが言えるのではないか。
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