ステゴクロフネのシュペルミエールは間違いなく中距離馬で、ただズブく動く分と競走馬の格で連勝しているだけ。だが人はこれを中長距離馬と呼ぶのではないか・・・と思わんでもない。
例えばゴールドシップが中長距離馬であるかというと、やはり分からない。あの宝塚記念は中距離馬が勝ったレースにも思えるのだ。須貝調教師がマイラー発言をしたように、一世を風靡した調教師がそう感じる速さがゴールドシップにあったのではないか。
この例外オブ例外を例とするのもどうかと思うが、ともあれシュペルミエールを買えない理由としては弱いだろう。なら配合の不利を突くしかない。
父ステイゴールドは実にユニークな存在。現役時代はともかく前後にもエピソードを欠かさない名血統で、特に引退して種牡馬入りした後はとにかく話題に欠かない存在だった。
種牡馬としては一発屋気質であるが、その一発の大きさが素晴らしい。ステマ配合の3頭はディクタスの気性難が出てレースが下手糞であったが、フェノーメノとナカヤマフェスタは競馬が上手かった。
シュペルミエールも例に漏れず競馬が達者で、テンの遅い中長距離の条件戦では位置を取る競馬が出来ている。しかしフェノーメノとナカヤマフェスタの様にDanehillという強い俊敏を持たないから、G1で位置を取れるかは・・・泥水のように不透明だろう。不安要素その一。
それはそれで「Danehillなんて持っているのか!」と指摘するわけだが、ステイゴールドの牡馬は基本的にトロくさいスタミナ的な柔らかさを持つ。それが綺麗に作用したのが春天2連覇の母父Danehillであろうし・・・そういや春天って母父短距離が好調だね。ビートブラックも父母のノースフライトが短距離馬であるし、父フレンチデピュティのアドマイヤジュピタなんて例もある。強力な「スタミナ✕スピード」の掛け合わせが成功しているのか。
ゴールドシップなんかの例を見てもノーザンテーストの俊敏を使っていて、例えばPostponedも欧州の中長距離馬として不安要素があるのだがRibotのスタミナを綺麗に表現しているのだよね。父も母父もMr. Prospector系で、そのスピードを糧にしてスタミナを重ね続けたような配合形。その根幹にあったのが共にRibotだった、という筋書きだ。
そういった添え置きのスタミナやスピードで走るということになると中庸的な馬に出がちだ。そういう馬が極端な展開になると走りづらいところはあって、今年の凱旋門賞がそういったレースだったのだろう。日本の場合はサンデーサイレンスという幹があるからそうはなりづらい。
あと、この配合形ならば春の重賞で好走して欲しかった。フェノーメノやゴールドシップほどの結果が必要なわけではないが、同配合のアイスフォーリスくらいの好走歴があってもいいだろう。配合だけで語ればアイスフォーリスの方が奥行きがあるくらいなのだ。
秋になって上積みがあったというよりも阪神や福島の遅い馬場にハマった感が強い。ペースが速くなって旨味がある様子もないし、またクロフネというのは思い切りよく配合した方がハマりがよい血統でもあり、War Relicなどの脈絡が弱い北米血統を使っても味がない。
いい馬であることに違いはないが菊花賞で買うには足りないだろう。真っ当な評価をされて人気の下がった函館2600戦で狙いたい。
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