さて大きく脱線したが、何だったかな、リアルシャダイか。
その代表産駒3頭の決着となったのが95年の春天で、3頭ともピッチ走法なのにトコトコと靭やかな動きをしている。力っぽさは感じるものの前脚の蹴りは荒々しさに欠ける。美しいというわけでもなく平凡に、テコテコと駆けていく。
テコテコと走る様子には力みを感じられない。体つきも無駄な肉が見られない細マッチョで、マッチョなのは関節周りだけという徹底ぶり。胴体をしならせるサンデーサイレンス系とは違い、関節周りの筋肉だけで鋭く動く仕組み。
だからRobertoのステイヤーには北米の筋肉が不可欠なのだろう。しなりの利かない分だけ関節周りの筋肉が必要なのだ。つまりスプリンターと同じ理屈で作られているとも言える。全体のしなりを使って大きなストライドを伸ばそうという中距離馬とは根本から異なる発想だ。
だが柔らかさと無縁でいられるわけがない。むしろ積極的に引き入れていくべきである。
理想はステイヤー血統。日本に即したものともなるとPrincequilloくらいしかないだろう。ライスシャワーのマルゼンスキーを経由するのはベターで、これはよく出来たニックスだと思う。
Nijinskyを絡ませるとRobertoの急所であるBull Leaがクロスされるのはもちろん、OmahaがNashuaに絡む。ピッチ走法と靭やかさを両立させるには重要なところなので特注だろう。
Mr. ProspectorもRobertoには好相性だが、近い代で組み込むと短距離化する。Mr. Prospectorのスピードを頼りとした芝の中距離血統であるとよく、その点ではエルコンドルパサーはベストだろう。キングカメハメハはモチジュン先生のおっしゃる「配合に素直」な血統なので微妙。素直にまくっちゃう可能性が大。
エルコンはNashua弄りに化け物じみた影響力を持ち、その影響によってソングオブウインドなどを輩出した菊花賞血統でもある。特にトウカイトリック翁を輩出しただけに、軽視は出来ない。エピファネイアの「Roberto✕Seattle Slew✕Sadler's Wells」の仕組みはトウカイトリックと同じものだ。
ナスキロ血脈によって全体をしならせる仕組みはちょいと微妙なものだが、Somethingroyalの息子2頭はちょいと除外しておきたい。特にSecretariatの持つスタミナは現役時代もそうであるが、血統としても未知のところが大きい。リアルスティールが突っ込んできたことや、キズナの春天好走実績は侮れない。春天でもマイネルキッツがよく絡んできた。
ステージチャンプのノーザンテーストも侮れない。キタサンブラックのピッチはVictoria Parkの影響が感じられるし、サッカーボーイ=ゴールデンサッシュは菊花賞や春天でよく見られる血統でもある。ダイナアクトレスがステージチャンプを輩出し、サクラバクシンオーがキタサンブラックを輩出したのだから、配合によっては怪しむべき。
といっても「よっては」が最大の謎なんだからねぇ。ハギノリアルキングはリアルシャダイ✕Danzigで春天3着まで突っ込んできているおかしな馬で、この例から考えられることは、Alibhai≒Lady Angelaの暗躍だろうなぁ。
このニアリークロスはHyperionとTraceryの共通を根拠としていて、これにPrincequilloが絡むと強いスタミナを産むのだよね。特にDanzigがこの組み合わせで現代まで繁栄を続けていたのだから、これもまた良形と言うべき配合。
これもやっぱりサトノダイヤモンドの話で触れることになるわな。Danzig大好きな俺には垂涎モノだぜ。
95年の春天ワンツースリーはみなリアルシャダイ産駒で、みな母父ND系で、みなWar Admiral持ちで、みなTom Foolもち。3着がTurn-toとNasrullahクロス、2着がNasrullahクロス、1着はNasrullahもTurn-toもクロスしていない。1着と2着はLa Troiennne持ちで、3着は非La Troienne。
そして、1着が7歳、2着が6歳、3着も6歳。現代でいうなら6歳5歳5歳ということになるが、Pretty Pollyはそれぞれ1本2本2本と最高齢のライスシャワーが一番少ない。その代わりにライスシャワーはプリメロという世界最高級のスタミナを持っていた。このあたりの話ではメジロマックイーンが良き教材。
菊花賞の好走歴はハギノリアルキングだけ持っていない。これはWikipediaによると体質に問題があったらしく、素質馬を仕上げきれなかったという話らしい。
みなTom Fool持ちというのも面白い。Nijinskyとのニックスを以ってRobertoへ連鎖させたライスシャワーが上手で、2番手にダイナアクトレスという最高の経由を持ったステージチャンプ、ナスキロTom FoolのDroneが3番手のハギノリアルキングということになる。
スローで展開したレースなだけにTom Foolの前脚捌きが重要になった、とも読み解ける。Robertoステイヤーが下るならナスキロはいらない、とも。
そもそもの話をすると、IntentがCherokee Roseの牝系であり、ここにMenow-Tom Foolを絡めるというのは定石である。更に定石を言えばBold Rulerも悪くないが、それならStorm Catを引っ張ってきた方が中長距離馬として格好いい。
Cherokee Roseの話をするとオルフェーヴルについても書くべきだが、この血統はちょっと色々と段違いで。グランマスティーヴンス自体は別に名血統の感はないけれども、そこにノーザンテーストとメジロマックイーンが重ねられたことでピースが整う。まるでグランマスティーヴンスに生き方を教えるがごとく。
オルフェーヴルを褒めようとすると、どうしてもグランマスティーヴンス→エレクトロアート→オリエンタルアートの素晴らしい紡がれ方に話になる。尽くがニックスの関係に積み込まれていく様子にはスッキリさせられるわ。暇な血統家には是非やってみて欲しい、「グランマスティーヴンスから三冠馬を作ろうゲーム」。安易な発想を跳ね除ける名配合があなたを待っているっ!
・・・カードゲームにしたら面白いかも。お題の繁殖牝馬を開いて、置かれた札から適切な種牡馬札を選んで重ねていくというゲーム。最後に出来上がった馬の名前を答えるわけだな。
「次のお題はFijiでーす。」
「クソ問題来たぞこれ」
「はい、やっぱりNorthern Dancerはありませーん」
「DamascusはあるからPacificc Princessは規定路線」
「嵐猫あるしなんとかなるんじゃね」
「まさかのフォーティナイナー。」
「ディープもブライアンズタイムもないとか」
「あいつなんだっけ。サンデーピクニックじゃなくて・・・」
「なんか北米で走ってた奴いたよなぁ」
「知らんがな。」
「したら次はCherokee Roseな」
「よっしゃAck Ack作れんじゃん!」
「なんだこいつ。空気読めよ」
「札があまりにも恣意的過ぎる」
「Turn-toはともかくBattle Joinedは」
「Humburgがないのか・・・」
「Crimson Saintコースっぽい」
「それなら難易度緩いな」
「・・・」
「Storm BirdもNijinskyもない」
「だから意味不明なはめ方すんなや」
「ほら、司会役、さっさとどっちかの札出せよ」
「お前、netkeibaにあるからって北米のG2勝ち馬を答えにされても困るわ」
「空気読め」
面白そう!
その3へ続く
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