砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

リアルシャダイ Robertoステイヤー論

大体のことはWikipediaに書いてあるが、そこから二つ三つ抜粋する。

「本馬は繋が硬く、極端に立った形をしており、逆に寝た形が多く、ときに柔らかすぎる繋を持つ馬も出していたノーザンテーストの欠点を中和すると考えられた」

「母親に似た仔を出す傾向があったが、自身からも発達した後躯を伝える特徴があり、産駒が備えた鋭い種発力の源になっていたともされる」

「硬く立った繋が強く遺伝した場合には大きな故障が増え~ライスシャワーなど」

一つ目は実際にそういった産駒がある。昨年の中距離王者ラブリーデイが3代母にその配合を取っており、自身もそれに引きずられるかのようなピッチ走法で宝塚記念秋天を制覇した。現代までその傾向が遺伝する様な優れたニックスだった。

二つ目はアウトブリードの種牡馬として当然というべき傾向。Lady Angelaの強いクロスを持つノーザンテーストとニックスであったのはそういう側面もあったことだろう。また当時はNasrullah全盛であったころで、母にNasrullahがあればRobertoのRoyal Chager≒Nasrullahが反応する。In Realityというゴツゴツした血統が表に出ることは少なかったかも。

ところが三つ目でそれを覆している。そういえばライスシャワーは母が非Nasrullahであり、母父マルゼンスキーからは強靭なスピードが供給されている。Roberto✕Nijinskyはダート的な組み合わせでもあり、またそこにBuckpasserを経由したWar Admiralが加わる。力っぽさは否めない。

ライスシャワーの偉大さは、マルゼンスキーの芝適性へも繋がるだろう。ゴールドアリュールとの組み合わせもそうであるが、この血統のスピード&パワーがしっかりと芝へ向く理由を説明するのは難しい。

リアルシャダイブライアンズタイムもそうであるが、日本にとってのRobertoは想像よりもずっと芝的である。北米では砂の血統として確立していて、しかも鬼のまくり血統として、だ。もちろん日本でもダート血統として活躍しているが、それを覆すほどに華々しい芝の戦績が光る。

北米血統の中でもずば抜けたスタミナ血統が二つある。一つは俺の大好きはChief's Crownで、これは母の父に最強ベルモントS勝ち馬Secretariatが控える「スピード✕スタミナ」の最高級配合。Danzig直系としては馬鹿げた芝中距離~中長距離を備え、孫っ子には20世紀最後のダービー馬Sinndarがある名血統。

そしてもう一つがRobertoである。南半球はオーストラリア、そのフレミントン競馬場にて行われる世界有数の大レースがメルボルンカップで、Robertoという血統はここでも通用するものだ。淀だけの専売特許ではない。

フレミントンでも通用するRoberto。これを「万全のスタミナを供給する」と読むべきか、それとも「フレミントンと京都に共通点がある」と読むべきか。それがなかなかに悩ましい。

まだ動画を見てどうこうという段階ではなく、ただ頭のなかで妄想を働かせているだけだ。

Robertoのステイヤーとは機動力とニアリーの関係にあるスタミナで走っている・・・語弊はありそうではあるが、この認識でいいだろう。またそのスタミナは一本調子な脚とニアリーの関係にあり、末脚的な機動力とは無縁であることが多い。

エピファネイアがそうであったが、小回り脚も兼備したナスキロ柔さこそが超超高度の「一本調子」で、これはRobertoとSeattle SlewとSadler's Wellsをそれぞれ経由して脈絡するHail to Reasonの影響が大。

皐月賞ではロゴタイプに敗れ、ダービーではキズナに敗れた。しかし中長距離馬としての格だけで勝負してみれば菊花賞ジャパンカップを容易く勝ってしまうスタミナを持っていた。内でも外でも切れ負けスピード負けしたこの馬には、類まれな中長距離場としてのスタミナが眠っていた。

普通はジリジリと脚を使うものだが、エピファネイアはまるで自らを燃え尽くすかの様に脚を使い切る性質だった。中長距離馬としてはかなり異端なもので、それが一層ことをややこしくしたのだろう。これはまぁ・・・福永騎手の教え方が悪い方向に出てしまったのかもしれない。

ヴィブロスの騎乗を見ての通り、脚をジワジワと使ってから一気に差し込むのが福永流。ストライドの大きいタイプをぶん回すことは少なく、小脚の利くタイプでスルリと抜けてくる。

と、エピファネイアを語る上では福永祐一騎手は欠かせない存在だろう。一番好きな騎手だというわけではないが、日本競馬界随一の愛され系キャラであることに違いはない。上下関係の激しい競馬村で生き抜いてきたことをコネの一言で済ませられるはずもなく、実際に交流があった場合においてはプロのジョッキーとしてそんなことは考えられない。尊敬の対象である。あくまでも画面の向こう側、それも非現実性中年としてのキャラが愛され系であると。

現代においても中長距離馬の血統表にはこれだけのパワー&スタミナが見られる。ステイヤーというのは思っているより力っぽい血統で構成され、思っているよりスマートな体形をしている。

その2へ続く。

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