砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

深き社台の魂 桜花賞回顧

ダイワメジャーは「サンデーサイレンス×ノーザンテースト」の配合で、サンデー産駒の多くがこの配合で走った。しかしその弾数の割にはデュランダルエアメサイアアドマイヤマックス、そして本馬しかG1ウィナーは出ておらず、わりかし悪しき配合であったろう。そしてその配合の繁殖も特に成功しているわけではない。

スカーレットインクがなければ社台の配合論はゴミカスの様に伝わったに違いない。しかし実際にはこの名種牡馬の誕生があって、この魂の配合は一定の結果を残した。ノーザンテーストは未だ社台を支えており、ドゥラメンテオルフェーヴルといった化物を輩出した。別口ではキタサンブラックも出たし、この経由も社台のサクラバクシンオーだ。

そんなダイワメジャーも大体は配合を掴んだ感じであり、先生の配合論で王道を把握したに見えた。社台も大体そんな風のダイワメジャー産駒を輩出しているように見える。メジャーエンブレムが良い例だ。

ところがどっこいレーヌミノル。前傾ペースを先行して有力馬を突き放してしまった。この粒ぞろいと評判高い現3歳牝馬勢において・・・これは事件!

道悪巧者として名を馳せるダイワメジャーであるからありといえばありな結果だが、それで片付けるなら血統マニアはいらないわな。世から滅びると良い。でも説明が難しい。褒めるべきところがあまりないんだよね。ダイワメジャーのいたるところをちょこちょこ弄っているから。一貫していない。

いや一貫してはいるのか。結局はHail to Reasonからスピードを抽出するために四苦八苦したもの同士の配合であるから。それが・・・かみ合った。Nijinskyスタミナを携えたHail to ReasonであるCaerleonからスピードを引き出すにはNasrullah攻めにするしかない・・・というのはダンスインザダークを擁する日本においては常識。My BabuなどのTourbillonを使ったのも好手かと。

ダイワメジャーは全く別のアプローチからスピードを抽出した。Royal Chager≒Nasrullahに頼るのではなく、もっと根本的なところを弄っている。

「そも、Nasrullah≒Royal Chagerがスピードを持っているのはなぜか」

「Canterburry Pilgrimのクロスが理由じゃないのか」

「Royal Chager→Lavendula→Cosmah→Gulf Streamの流れをLady Angelaで繋ごう」

(Gulf Streamの戦績からCanterburry Pilgrimがスピードを持っているのではなく、Canterburry PilgrimこそがThe Tetrarchのスピードを支えていたのだ・・・という可能性を感じ取ってしまったが、さておく。)

ともあれ・・・日本ダービー×凱旋門賞の配合馬をマイルで見直そうとした昨日の俺がいるのだしね。それを考えたらマイラー×マイラーが同舞台を勝ってもおかしいことなんてなにもない。

デンコウアンジュメイショウサムソンとマリエンバードの共通したスピード(Marmite)を増幅させているからマイルでオッケーなんだ」という理屈と「レーヌミノルダイワメジャータイキシャトルの共通したスタミナ(Hail to ReasonとUmidwar)を増幅しているからマイルでオッケーなんだ」という理屈・・・同レベルだもの。

つまり・・・デンコウアンジュがG1を勝つ可能性も微レ存・・・?

ということで、ダイワメジャーサンデーサイレンス×ノーザンテーストはまだまだ底を見せていない配合なのではないかという話。仕方ないよね。血統マニアも数十年前の血統がどんなものなのか分からないし。今の血統なんてもっと分からない。血統という概念の寿命は無限であるから、結局それを完全に捉えようとすれば人間の寿命は短すぎるのだ。

ディープが90年間ピークを保ち続け、同時に種付けもこなして産駒も走り続ける。そういうことがあったならば足りるかもしれないな。

[追記]

やっぱりノーザンテーストや、あるいは「サンデー×ノーザンテースト」が頑強であるというよりも、その配合形から頑強を表現することに成功しただけだと思う。オルフェ=ドリジャニが頑強である理由にノーザンテースト4×3を求めることは間違いではないにしても、それだけが理由であるとは考えてはならない。

レインボーラインがあれほど靭やかに動いて菊花賞を2着まで追い込んだのであるから、頑強である理由をメジロマックイーンとグランマスティーヴンスに求めるべきであろうし、その比較対象としてより良きゴールドシップまたはフェデラルホールがあるのだから、それを怠けてはならない。

こう・・・先生が色々と省いてノーザンテーストを頑強であると表現されるのには不満があるのだよねぇ。ノーザンテーストは血統としてそう表現した方が美味いものであることをオルフェ=ドリジャニに証明されているのだが、種牡馬としてはスタミナ的な靭やかさを武器に名牝かつ名繁殖を輩出したことも・・・やはり事実だ。

エアウインザー=エアスピネルノーザンテースト的に靭やかであろうし、レインボーラインステイゴールド的に靭やかであろうし。そしてドゥラメンテはナスペリオン的に靭やかで、あるいはノーザンテースト的に頑強であるかもしれない。

だからこそ「サンデーサイレンス×ノーザンテースト」は失敗傾向にあったのだろうし、そのためにスカーレットインクの強烈なパワーを要したのだろうし、それがためにダイワメジャーを除いた一族らはみなダートを走っているのだろう。ダイワメジャーは頑強であってもノーザンテーストは靭やかであり、種牡馬としてダイワメジャーはわりかし靭やかを伝えているのではないか・・・だからこそカレンブラックヒルの様なノーザンテーストVice Regentを要したのではないか・・・もうシッチャカメッチャカだ。

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