俺が競馬を始めたのは2013年のヴィクトリアマイルで、馬券デビューは同年の日本ダービー。
VMでは「昨年の覇者がこの人気とか美味しいじゃん!」と分かりやすいビギナーズラックを迎えるはずだったが、車を修理に出していて馬券を買えなかった。満を持して迎えたダービーはペプチドアマゾンの複勝500円を握りしめて熱狂。
「キズナが強そうだ。ディープインパクト産駒だしあの武豊だし。」
「それならその2着馬のペプチドアマゾンが複勝圏に滑り込んでもおかしくない。」
そんな素人考えとて長々と考えた結果。あのワクワク、あのドキドキ、試験のときのように平静を装う必要もない、鼓動に身を任せる2分24秒。この非日常が日本ダービー・・・。
競馬の醍醐味のひとかけらを寄こしたのが日本ダービーだ。だが馬券としての競馬を熱狂させたのは同年の京都大賞典、ヒットザターゲットが勝ったあの京都大賞典に違いない。
そのヒットザターゲットも引退へ向かう。現在進行系の思想が、思い出へと変わる、ラストラン。
さて、その血統について少々書いておこうかと思う。
今まで「Rustom Pashaは内ラチ好きなんだよー、Son-in-Lawが基本的に内ラチ好きなんだよー。」ということを書いてきたが、アレは半分当たりで半分当たりで半分アタリで、とりあえず半分外れだ。
「内ラチ好きだからこそ突き抜けてしまう」というパターンが間違いなくあるわけで、それこそAureoleが絡んだ場合の「内ラチ逃げ」&「大外一気」の極端。これはメジロライアン×ニホンピロウィナーとタマモクロス×ニホンピロウィナーのデータからも伺える。
なのでこの場合のRustom Pashaとは表現の母体に過ぎず、別の所から表現が飛んできていると見るべきだ。
この先は全くの推測となるが・・・おそらくHyperionという血統は3F瞬発なのである。本質として。
例えばジャスタウェイとて4Fで弾けることが大の得意というわけではなく、いやWild Againの傾向から無きにしろあらずだが、それでもハーツクライの本領とは3Fの瞬発戦なのだ。その上で終いを12秒に突入させたいのだ。
一方でデニムアンドルビーといった例もある。基本的にディープ牝馬はジェンティルドンナを基本として3F瞬発戦を位置取りで制する様な勝ち方が多い。だが後方から3F瞬発するという例外もあり、それはNureyevといった軽快なHyperion血統を表現したタイプだ。
そしてそれはKrisといった血統にも当てはまる。だからネオユニヴァース-ヴィクトワールピサにもそのたぐいの傾向がある。
少なくとも日本競馬では、サンデー全盛の今においては、そうである。なればこそHyperionは前受けベターなのだ。重厚であるほどに前受けで3Fを弾けたい。軽快であれば脚は瞬く間に失われ、消耗してしまうような繊細の血統なのだ。
内ラチを頼らなきゃならない、サウスポー、といった傾向はこの観点から説明できない。ただ、繊細であればこそ外を回るリスクは避けたいはずだ。ハーツクライVSディープインパクトやレイデオロVSスワーヴリチャードの様に、内を回って繊細に脚を溜めきったHyperionが勝ち切る例に暇はない。
逆を言えば、ストライドロスを少なくして走ったHyperionも脅威だ。じっくりと脚を溜めてから飛んできたダイワキャグニーやジャスタウェイがその例にあたるだろう。
だからヒットザターゲットは脚を余し気味に突っ込むイメージで良いのだと思う。展開なりに脚を展開して、感慨深く差し切ってしまうのがHyperionの競馬なのではないかな。脚を余しちゃならない、という競馬はディープインパクトすら負けへ追い込む。
武豊がサラサラと追い出して他馬を千切ってしまう・・・あの姿がHyperionなのではないか。実のところディープインパクトとは、最も繊細で最も素早いHyperionなのではないか。
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