砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

クロフネ×サンデーの不安

クロフネ×サンデーサイレンスで馬券となったのはインパルスヒーローのみ。

対してクロフネ×スペシャルウィークではクラリティスカイが、クロフネ×ネオユニヴァースではアエロリットが勝ち馬になっている。「4分の1サンデー」より「8分の1サンデー」が上手のマイル戦、NHKマイルCもその流れを受けているようだ。

サンデーとNative Dancer

「サンデーの靭やかが遠のくから中距離適性から揺れ動く」という考え方で、それは先生の理論を踏襲。では何故そうなるのか。

サンデーの靭やかさとは「Haloの柔さとHyperionの厳しさの調和」に依り、やっていることはおおよそNorthern Dancerと同じ。であるからサンデーサイレンスNorthern Dancerの名血を尽く喰らいつくした。

しかし新要素として明確なNative Danncerが紛れて重くなる。この馬の姿を観ても実にヌラリとした重さを感じさせて、パワフルではないけれど力強くズルズルと走りそうな血統である。

この重さへPrince Palatineを重ねるのがミソで、ディープインパクトLyphard×Princequillo)・ハーツクライLyphard×Prince Bio)・ステイゴールドノーザンテースト×Prince Chevalier)・ダイワメジャーノーザンテースト×Kampala)・ダンスインザダークNijinsky×Kampala×Princequillo)・スペシャルウィークNIjinsky×Princequillo)・・・楽しくなるくらいにはベターな形。

もちろんキンカメサンデーも同じで、ゼンノロブロイネオユニヴァースもみんな同じ。Pompey=Laughing Queenの導入と同じ様に「Native Dancerと、それへのPrince Palatineクロス」はベッタベタな手法である。

ただこれの例外は多い。Bold Ruler組のマンハッタンカフェアグネスタキオンに至っては前提が異なる。

サンデーとBold Ruler

マンハッタンカフェアグネスタキオンも母系にTudor Minstrelを引くのが同じで、前者はドイツ血脈から、後者は北米&仏血脈から引く。フジキセキTudor Minstrelを引かず、北米血脈の塊であるIn Reality、仏の名血統Le Fabuleuxを母父に引く。

Northern Dancerを担当することが多く、父父としても母父としても有用かつ優秀。特に日本ではBold Rulerを活かした配合が少ないので適性に違いがある。伏兵騎手とへんてこな展開から一発を表現することも。

どれもG1ウィナーを輩出し、後継種牡馬も出ている。しかし本領が発揮されたかは分からない。

そのくらいに日本競馬にとってBold Rulerってのは不思議なもので、これを持った最強馬はなんだかよく分からない内に強くなって、想像を遥かに超えてきて、高をくくったら馬券を外してしまう、というシッチャカメッチャカを提供してくる。

もしもBold Rulerを真に理解することがあれば、G1での回収率は跳ね上がるだろう。いつだってBold Rulerは変な強さを持った馬をG1へ持ってくる。いや、ホントに、最強馬から上がり馬まで何でもかんでも持ってくる嫌な血統よ。

好配合は成長曲線に乗っかったら一気に強くなるのよ。そのくせオールラウンダーなところがあるから本領をなかなか見せてこない。かといって本領発揮せずとも展開利を食ってG1も勝ってしまう。なんなの?

クロフネの特徴

競走馬として3歳マイル王に輝き、ダービーは5着。神戸新聞杯を3着してさぁ菊花賞はどうだろう・・・と思えばダート路線へ。武蔵野Sを1分33秒3で踏破して大楽勝し、JCDも同様の大楽勝。引退して種牡馬入り。

RobertoからNasrullahやRoyal Chagerによるスピードの抽出を行い、それに成功した例は、割合、少ない。それらのアウトを担っているのがIcecapadeNorthern DancerHyperion血脈で、これを増幅するのが一つの黄金配合パターン。

逆を言えばこれらのHyperionNative Dancerによるコントロールを受けているわけで、ここの調和を如何に誘導するかが一つの鍵だろう。つまり「Northern Dancer≒Icecapade4×3」としての考え方が重要。

Sundridge過多配合として

クロフネはその抱える血統の特性上、Sundridgeを非常に多く抱える。冗談でないくらい抱える。

Northern DancerIcecapadeはその役割を集約させているとも言える。これを軸として如何にこれをアウトとするのか・・・というのが一つ、大きなポイントだろう。

もちろん必ずアウトを要求するわけではない。これほど繁栄し、古い血統であるから、競争能力へ特大の影響を持つ話ではない。しかしG1勝ちを見込むのであれば、緩和を考えても良いだろう。少なくとも同等の量を持ち込まれると厳しいものがある。

またアウトと言っても「4分の1アウト」とかは無茶よ。可能とする血統に心当たりがない。「非Lady Josephine」かつ「非Native Dancer」かつ「非Blue Larkspur」かつ「非Buchan」かつ「非Balladier」・・・そんなの無茶も無茶、むっちゃむちゃ。

しかし軽減する手法は確立されている。上記のようにHyperionをひたすら引いておけばいいのである。どんなにめちゃくちゃな経由であっても、とにかくHyperionを引いておけばSundridgeの本数は自然と少なくなる。

Pretty Pollyを絡めたLady Angelaニアリーは特注。Hyperion×Swynford×Pretty Pollyの組み合わせは近くの代にSundridgeを引かないことが多く、例えばAureoleは完全な非Sundridge血脈である。

Hyperion系の北米血統なんかが一番拙いだろう。・・・それを両立させた変なのがブルーアヴェニューという血統でもあるが。この類の血統できちんと「Hyperion×Son-in-Law」を引いているのは珍しい。しかも最強ダート馬候補を産んだし。

ホエールキャプチャへ考えること

この配合における最大のメリットとは「4分の3Native Dancer」「4分の1サンデー」を取れること。「4分の1サンデー」の典型パターンと言える。

ところが、それを行使したG1勝ちクロフネ産駒はいない。母母が非Native Dancerホエールキャプチャがあって、母母がRaise a Native2×3のフサイチリシャールがあるだけ。(リシャールをそういうべきかもしれないが、ちょっとジャンルが違う。)

つまりクロフネサンデーにおいてはNative Dancer系の独自色を出すか、あるいはアウトにするのが正道ということである。ホエールキャプチャクロフネによる「2分の1Northern Dancer≒Icecapade4×3」が強そう。

この面倒はHaloによるAlmahmoudクロス(Nearctic×Native Dancerのクロスが入るNorthern Dancerへの穴埋め的なクロス)とHail to Reasonクロスが引き起こしているものと考えられる。

またサンデーサイレンス自身もSundridgeまみれの配合であるから、母母にNative Dancerを引くといったワンクッションを置く暇すらないのだろう。ここでHyperionを充填しないことには、Sundridgeまみれ一直線である。

またその中でHail to Reasonに絡んだところをオンにしないことには話にならず、それがラバージョンによるニアリークロスだと考えられる。

またリマンドが完全なSundridgeアウトなのよね。多分。ここで結構配合が引き締まっているのだと思う。

パクスアメリカーナへ思うこと

配合は完璧。もうどうとでもなれ、という風。ホエールキャプチャの全弟がこれだけ走っているのだから、そんな難しいこと考えなくてもいいじゃん?

だからこそ消しに入りたいし、万全を期して本命を打ちたい。「こんなの買うしかないじゃん」→「いやいやみんな同じこと考えるって」→「したら消した方が馬券的には旨味あるじゃん」→「いやいやこれ本命だわ」というのがG1馬券のルーチンワーク

しかし別の本命候補があるだけに、これを買いたい気持ちってのはそんなんでもないのよね。ミスターメロディのが好き。

ただそれはNHKマイルCの段階における話だ。早熟マル外ってだけに条件がハマるのだわ。

パクスアメリカーナはちょっとまだ完成していない馬だと思うし、ここできっちり走ってくる様ならば、もう少し、伏兵的な立ち位置にいなくてはならない。

なんたってホエールキャプチャでさえ3歳時にはオークスを走ったのだわ。こんなマイル路線でポンポンと賞金を上乗せしてくる様な馬がマイラーであるはずがない。(矛盾)

これは配合どおりの中距離馬であって、配合どおりであるが故に素質が高い。だからスローのマイルや渋い馬場でしっかり走る。NHKマイルCで好走する様なヌルい表現じゃどこかで凡走しているはず。

だから勝ち切りまで見込むのは違うのかなぁと。兄貴のドリームセーリングも中距離馬であったし、ホエールキャプチャだって千八馬だった。

けれど今時期のフレンチデピュティらしいマッスルが備わっているのも事実なのよね。晩成中距離馬が身につける様な後躯じゃないでしょ。困るなぁ。


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