兄にドラゴンウォー(父ウォーエンブレム・1勝)とコルサーレ(父ハーツクライ・2勝)がある血統。本馬の父はアサクサキングス。
落ち目ゆえの?
母アロングザシーはフリゼットS(G1)を2着した北米の競争馬で、その母Russian Flightも重賞入着の実績がある。牝系を遡るとBarely Evenに突き当たる。この一家からはスティルインラブ(三冠馬)やキョウワアリシバ(ゴールドアクターの母父)、ローブデコルテ(オークス馬)が出る。日本にも馴染みのある血統だ。
上記の要素を買われて社台入りしたアロングザシーだが繁殖実績は案外。ディープこそつけられなかったが一線級種牡馬を相手にしていたが、とうとうアサクサキングスなんぞをつけられるハメに。
しかし2017の産駒はハーツクライに返り咲いている。これをどう見るか。
咲き誇る社台
社台系列とてディープばかりで成功していたわけではない。一軍半の扱いだったステイゴールドからドリームジャーニー=オルフェーヴルを輩出したのは周知のこと。単純に「好配合を作りやすいかどうか」が重要で、作りづらくともハマると見れば試してみるフロンティアスピリットが馬産界の最前線たる所以だ。
「今日はハーツ駄目だわ」と断りを入れられた可能性もあるが、一定の狙いを以ってアサクサキングスをチョイスしたことに間違いはない。その通りに好配合である。
お手本の好配合
配合の基本は「緊張と緩和」で間違いなく、そればかりを重視した配合だ。Native Dancerのアウトをきちんと行っていて、そのアウト部分とHail to Reasonクロスを構成している。Nasrullahを満遍なく引く弱点を持つが、「4分の3Bold Ruler」を構成することで影響力を調整している。そのアウトを担うAneesは「Raise a Native4×3」で、これも間違いのないパターン。(Buckpasser込み)
その上で手付かずを許さない姿勢を守る。Mr. Prospector内への牝馬クロスがアロングザシーの楽しみであるが、本馬の代ではAlydarへのクロスを忘れない。またRaise a NativeーMr. Prospectorが好みそうな牝馬血統を組み込んだ。(Lea LarkからはMiswakiが出ている)
Wild Riskが放置されている点は気になるが、それ以外のほとんどにクロスが入っている。
補助機能なし
牝馬クロスを含む緊張と緩和には褒め言葉しか浮かばないが、際立たせる機能には不足ばかり。Wild RiskであればPrince Bioといった血があるだけ違う。またアロングザシーのHyperion的脆弱さを思えば、アサクサキングスのHyperionは雑多である。整頓されて順当に伝わる形である方がいいだろう。
表現を整えるというか、強調する様な配合ではないのよね。Seattle Slewを使った方が配合に説得力が出ると思うけれど・・・。Robertoがいるのよねぇ。
きょうだいの中では一番の配合だけれど、サンデーを迎え入れるにしてもワンクッションが欲しい。「4分の1サンデー」の種牡馬であるアサクサキングスを選択したのは正解だとは思う。
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