タイムフライヤー本命で固まったと思えば翻意して、ワグネリアンを探っても落ち着かず、エポカドーロに決めたのが土曜の日中。
「一番Specialな馬はなんだったろう?」
「キタノコマンドールの機動力は凄い」
「オウケンムーンの配合は非常にレベルが高い」
「ジャンダルムは軽薄ながらも実績優位」
「一番Haloな馬はなんだったろう?」
「タイムフライヤーに違いない」
「けれど外回りの方が光る」
「サンリヴァルが一番身軽なHaloだ」
「けれどBold Rulerの色が強い」
最後の最後に「エポカドーロってなんなのだろう」にたどり着いた。結果的に、最もSpecialな馬だった。
Specialとオルフェーヴル
予想文から抜粋すると「非Specialにあって最もSpecialな馬」「『Specialをオルフェーヴルに表現してやろう』という意図」である。それがエポカドーロ。しかしオルフェーヴルにはMieuxceの血脈がない。なので円滑にこの血を導入することが重要で、NureyevやSadler's Wellsによるエレクトロアートへのニアリークロスが最もインスタントで効果的。
だがこれらの血脈からVaguely NobleやBold Rulerを得ることは難しい。プリンセスオリビアはかなりの例外である。
自由なるノーザンテースト血脈
ステイゴールドはNorthern Dancerクロスで成功した種牡馬で、特にノーザンテーストとのニアリークロスで大きな成果をあげた。ダイワメジャーも同様の傾向が見られるが、ステイゴールドの許容したニアリークロスはダイワメジャーの比ではない。Danzig、The Minstrel、Dixieland Band、Vice Regent、Nijinsky、そしてKelley's Day。
これは俗に言うニアリークロスというものではないが、ノーザンテースト×Kelley's Dayの配合において相似配合だと見るくらいの考えだ。配合の方向性は同じだよね?くらいの感覚。それを許容するくらいにステイゴールドの受け幅は広く、ノーザンテーストの行いに対して放任を貫く。
ステイゴールドはノーザンテーストの全てを表現し得る種牡馬である。
オルフェーヴルの庭
そのステイゴールドの筆頭産駒は、面白いことにステイゴールドそのものを踏襲した。その上でノーザンテーストを独自の色として伝える。「ノーザンテーストで遊ぼう」という奔放な父に対して、息子は「俺のノーザンテーストに何か用があるの?」というやや喧嘩腰の態度である。これは4×3というクロスによって独自色を伝えるからだ。
「はじめの一歩」における幕之内一歩がステイゴールドで、鷹村守がオルフェーヴルだろう。
一歩はノーザンテーストへのニアリーでしか活路がないけれど、そのニアリー判定は非常に広い。それは素直な感性による自由度の高さだ。正しいものを詰め込むほどに産駒は充実する。
鷹村はオリジナルの強さがある。そのオリジナルの元であるノーザンテーストを弄っても「俺様に文句があるのか」と一蹴されるだけだ。周辺に青木村などを置いてパフォーマンスの供給を期待するしかない。しかしそのパフォーマンスが圧巻。
鷹村オルフェーヴルは孤高の道を行く。近い代のニックスなどは発生しないし、主張する繁殖牝馬は蹴って返す。己の主張を害さず、己を信頼する存在・・・そればかりを求めるだろう。
要求は激しく、相手の要求には蹴りを入れる。信頼を寄せてこない相手には何も返さない。生産者たちもまさか池添謙一と同じ苦悩と快楽を強いられるとは思わなかったろう。
オルフェーヴルの要求
1,Northern Dancerの4分の1アウト2,Flambetteの4分の1アウト
3,Crepello≒DulcimerによるMieuxceの導入
4,Umidwar(中距離馬向き)
5,Honora(PettionなどのFair Trial絡みがベター)
6,あらゆるSceptre血脈
7,Pompey=Laughing Queen
8,SpecialによるMieuxceの導入
9,Gold Bridge
全てを満たす必要はないのだが、エポカドーロとラッキーライラックの配合を見比べると強硬な要求かと思われる。
俺が口うるさく言うBlue Larkspurには全く頓着しない。オルフェーヴルが薄っすらと「4分の2Blue Larkspur」を構成するので、ラッキーライラックの様に詰め込んだ方が得かもしれない。もちろん、エポカドーロの様に薄いまんまなのも一つ。
理屈としてはローズキングダムと同じよ。Hyperionの薄い薔薇一族へキンカメサンデーによるHyperionづくしを提供してローズキングダムが出た、という。なのでBlue Larkspurの薄いオルフェーヴルへBlue Larkspurづくしを提供して悪いことはない。これが「4分の4」の基本だ。
それでもスマートであるに越したことはないのだが、Northern Dancerの本数が限られた好配合繁殖ってのはBlue Larkspurの本数も同様に限られるものだ。その点でラッキーライラックの配合ってのはかなりイレギュラーなのよねぇ・・・。母父が「4分の3Northern Dancer」を下地としたMr. Prospector3×3だから。
うーん、一つ記事を書けるネタだなぁ。
オルフェーヴルの求める信頼
1,「Nasrullah×Count Fleet」2,「Nasrullah×Hyperion」
いずれもNasrullah絡みで、オルフェーヴルに足りないNasrullah血脈を上手に補完する試みだ。
既にFlambette弄りの制限については書いた。要は「俺様」に触れずしてグランマスティーヴンスを弄ることが大事で、この二つが今の所考えられるその手法である。
「1」は特に難しいことがない。Princely Giftとは「Nasrullah×Stefan the Great」が共通し、Promised Landとは「Mahmoud≒Mumtaz Begum×Sun Briar」、グランマスティーヴンスとは「Nasrullah×Sun Briar」が共通する。
Princely Giftに対するStefan the Great攻めはメイショウサムソンがやっていることだ。欧州で発達したPrincely Giftによくある手法で、エポカドーロの母ダイワパッションにもPrincely GiftへのBlue Peterクロスが見られる。その辺りはデンコウアンジュの方がくどいかな。
そもそもShirley Heights×Princely Giftという配合が鉄板も鉄板で、Umidwar≒Sparkleの累進を行いながらもBlue Peterクロスと「Nasrullah×Stefan the Great」を重ねるという筋の通った組み合わせ。スタミナ色の強いMill Reefを日本の中距離で切れさせるにはこういった配合がベターかと。
また「Nasrullah×Sun Briar」という意味ではBold Rulerにも同一の効果がある。これは「Nasrullah×Pompey」だ。
「2」がやや厄介。対オルフェーヴルに関してはMill Reefを「1」の見方に統一したいところ。
これはCourtesy(フォーティナイナー)・Sweet Tooth(Alydar)に見られる「Nasrullah×Hyperion×Buchan(+Raise a Native)」が高い効果を見せている。
オルフェーヴルはBuchanを筆頭としたSceptre血脈が豊富な配合で、メジロマックイーンすら巻き込んで突進力を磨いた。よって先行能力の担保はオルフェーヴルが既に用意しており、ここから如何に先行力をオンにするかが重要だろう。
そしてもう一つ。Bold Ladの存在が非常に重い。「Nasrullah×Hyperion×Gold Bridge×Fair Trial×Pompey」からグランマスティーヴンスとの強い相似が見られる。
Gold Bridgeを巻き込んだ「Nasrullah×Hyperion」はかなり珍しい。トニービンの父カンパラに近い組み合わせであるが・・・最も近いのはSpecialだろう。オルフェーヴルへGold Bridgeを供給する仕組みとしては抜群に良い。
最後に
一記事にまとめるような内容ではなかった。補足というか蛇足というか、すると。Gold BridgeというのはOrby3×3なのでアウトの強いオルフェーヴル配合においては7代以降のクロスでも効果がある。イスラボニータの様にアウトの色が強い配合で3×3の血統をクロスするというのは、想像を遥かに超えて強烈だ。
あとこれはSanta Brigida持ち血統なのよね。Olympiaの格好良さを支える名繁殖!
この母BridgetはMeltonの妹で、Woodbine血脈においても影響力の大きい枝葉だ。Gulf StreamやHeliopolisもこの一家にあたり、Mountain Flowerにとっても無縁ではない。
もう少し続けると、Donatelloの母母父がBridge of Earnで、これの母ちゃんがSanta Brigidaなのよね。BlenheimのRoberto le Diableを含めるとDonatelloに暗躍する面白楽しいWoodbineの輪も見えようもの。
してFlaresの母父WrackがRoberto le Diableでしょ?多少薄かろうともGold Bridgeのクロスは結構重要だと思うのだわ。表現に関わっている要所要所で繋がるから。愉快なDonatelloよねぇ。
そんでね、ここでようやくCrepelloの話に来るわけよ。長いよねぇ、話。書ききれないよねぇ。
とりあえず前情報は書き終わったので、ようやっとエポカドーロの配合に話を移せるのよ。そのくらいにCairn Rougeという血は異系として良く出来ていて、話は第六オーグメントまで及んだりするのだわ。
ガロンとStratfordを通じるLesbia=Flairの全姉妹クロスなんてちょっと興奮するよね。忘れないように書いておくが、StratfordはPetingoの母母母母父。
シアンモアはBuchan×Orbyの配合形でSceptre一家とGold Bridgeの橋渡しとして期待される存在。
あとCrepelloとディクタスの関係だけれどもサンデーサイレンスの母系にあるFox CubがDorinaの息子でFoxhunter産駒。つまりMountain Flowerを媒介としてディクタス・Crepello・Specialを結ぶことが出来る。Flambette血脈やHyperionも関わるので楽しいなぁ。
それとサンデー×Mill ReefにはBlack Rayが関わってくるわけだけれども、Cairn Rougeもここに一枚噛んでいるのよねぇ。しかもBridge of Earnを絡めて。しかもBlack Rayの全姉であるBlack Gemの枝から。
Brig o'Deeは・・・なんかもうやりたい放題の血統になっている。St. Simonに対してこんな形を取った英国血統は初めて見たかも。Candy Caneは本当にWoodbineが好きだなぁ。
あと、La Troienneを弄っていないなんてことはないよ。Candy CaneとShirley Heightsの間でHard Sauceがクロスされている。この父ArdanはDoxa牝系でLa Troienneの4分の3妹のAdargatisの息子なので。
そもそもNever Bendでいじっているか。失敬。
[fin]