砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2021年優駿牝馬予想

近年は桜花賞路線とオークスの関係性が薄くなっている感もあるんですが、実際問題として三冠牝馬2頭やソウルスターリング、シンハライトなどがきちんと勝っているんですよね。

確実に桜花賞はマイルのガチンコ戦へシフトしているんですが、それでもやっぱり差し込んでくる圧倒的な牝馬がいまして、ディープ亡きあともこの路線を行く牝馬は出てくるのでしょう。

大体は父が名繁殖(候補)の仔でして、シーザリオとかウインドインハーヘアとかKindとかですよね。その中で異彩を放つのがレディブロッサムで、ロードカナロアの一発屋とも言えないんですが、格落ちではあります。(アイリッシュダンスも格落ちの部類)

4分の1で名繁殖(候補)が入って、オークスで人気を背負う。こういう馬はやっぱりその影響を受けていると読むべきでしょうし、抗う手は血統論の見地からもあんまありません。

 

多少なりあるとすれば、シーザリオもウインドインハーヘアもAloeの影響があるわけで、そのために距離延長をプラスと見るわけですが、ロスも視野に入ると。

逆にロードカナロアやハーツクライの産駒はそれが見込めず、おおよそ、素質通りに走っているイメージですね。それでもねじ伏せられるのがオークスとも言えるし、ハープスターの様に後方の決め打ちが届かないこともあります。

あの勝敗については様々の考え方はありますが、ヌーヴォレコルトが抜け出す際に不利があれば届いたかもしれませんし、秋天エイシンフラッシュ的にスローの最内をビュッと差し切っても届いたかもしれません。

かといって、あのレベルのハーツ中距離馬にオークスで更にロスを得なさいって方が難しいかもしれません。よほどやらかさないと覆らない差でしょうね。

 

さて、なんでオークスと桜花賞の適性に似通ったところがあり、逆に、ハマらないところがあるのか。

それはスローで脚が溜まるかどうかでしょう。以前は中距離馬のラップで差しきれた桜花賞ですが、今はそれが難しい。三冠牝馬級じゃないと桜花賞とオークスの二冠を勝ち獲れないのは結果通りの話だと思うのですよね~。

その点でソダシを相手に踏ん張り続けたサトノレイナスはオークスじゃ格上だったと思いますし、逆を言えば、三冠牝馬級ではないのかもしれません。ジェンティル以降の三冠牝馬はガチの化け物揃いですから、比肩しろって方が厳しい話なんですが。

そしてやっぱり逆を言えば、ソダシは中距離馬じゃないんでしょう。これでオークスをゴリ押し切ったら、次はコントレイルとデアリングタクトが相手ですな。化け物を計ることが出来るのは化け物だけですし。

 

さて、今年は桜花賞のトップ勢で争うオークスにゃなっていません。こうなると面倒くさいっすね。

ユーバーレーベンは今年をオークス路線で走っているんですが、桜花賞路線に比べるとやっぱりレベルは落ちる相手。それでも2着をもぎ取れなかったってことを思うと、やっぱりなんか足りないところはあるんでしょう。

 

母マイネテレジアはロージズインメイ×ブライアンズタイム×Zabeelでして、マイネプリテンダーから続く中距離の母系です。

表現によっては短距離に出ても全然不思議のない配合形で、Raise a Native・Graustark・Sir Gaylord・Nureyevの短距離馬なんてゴロゴロいますな。

それを押しのけて中距離に表現されたのはMill Reefを軸とした欧州血統の広がりが理由と考えられ、その点でゴールドシップと重なるところはあるのでしょう。

表現的にはちょっとサドラーっぽいところもあるんですが、サドラーにしては脚の回転が遅く、Haloのインクロスというかゴールドシップの靭やかさ恐るべしと。

そう考えると阪神外でも中山外でも東京でもそこそこ走るのはイメージ通りで、新潟外とか京都外とか阪神内なら楽に突き抜けるかもしれません。

 

ステゴ産駒は長い脚を使うことに関するスタミナが化け物で、オルフェーヴルやゴールドシップがヘロヘロに疲れ切って負けたレースはなかったと思います。

ユーバーレーベンもその類で、力負けという内容の3着じゃないんですよね。ゴールドシップが切れ負けした様なもんでしょう。

かといってゴールドシップのようにねじ伏せる手法を持つわけじゃありません。ゴルシはHaloじゃありません。やつはミスターシービーの系譜、古き良きPrincely Giftです。

Haloで東京を攻略した馬というのもあんまり例がなくて、ロゴタイプとかマカヒキとかが一応の例に挙がるわけなんですが、あれらはBold Rulerも混じってよくわからんタイプで、どっちかと言えばBold Rulerです。

対してレーベンちゃんは割りとマジなピュアピュアHaloで、メイショウサムソン×サンデーはこういうタイプが多かったような。牝馬路線ならどこでも好走するけれど、ドハマリするとこはないよ、っていう。

Princely Giftの難しさですよねぇ。エリ女なら本命の打ちようがあると思うんですが。

 

まー、なんともはや、Robertoで中距離の舞台に立つ牝馬が多いこってす。

牝馬でRobertoを信用するって話になると、やっぱりKris S.のラインでしょう。その点でアールドヴィーヴルに期待したいんですが、

しかし母父ディープで小柄な馬です。G1という舞台を考慮するならば、馬体が充実してからがチャンスですよね~。そもそもKris S.ってのは馬格ありきの表現です。馬格なしにここまで到達したんですから、別の表現と見るべきでしょう。キンカメサンデートニービンのイメージですかな。小柄なキンカメ牝馬あるあるですね。

あとはエピハーツキンカメのミヤビハイディ。エフフォーリアと同じエピハーツで、デアリングタクトと同じエピカメサンデーですな。

これもユーバーレーベンやアールドヴィーヴルと同じ芝中距離のボトムラインで、サクラユタカオー×ノーザンテースト×マリーノは渋い配合。

ユーバーレーベンとアールドヴィーヴルの中間くらいに位置する配合で、サンデーのインクロスなので外回り向き。ハーツへのサンデーインクロスは「Nasrullah×Hyperion」をオンにした方が走るし、エピハーツならなおさらでしょうね~。

 

 

話も尽きたんで印をば。

 

◎アカイトリノムスメ

◯ステラリア

△ソダシ

 

アカイトリノムスメは母に似ているとPOGの段階から大評判でした。「アパパネとは・・・???」と悩むのは当然のことで、流石の三冠牝馬はカテゴライズのしづらさが半端ないっす。

Tom Foolなのは間違いなんですが、Nasrullah×Hyperionの面影もあるし、Promised Landの匂いもするし、Nashua≒Nantallahの雰囲気もあるし、Bold Bidderな気もするし、Salt Lakeってこういうもの!って気もするし、どこからでも語ることが出来る馬だと思うんですね。

だからディープ×キンカメで語ることも出来ないし、しかもPromised Landのインクロスだし、将来的にどうなるかなんてPOGの段階じゃ想像も付きませんでした。

クイーンCを勝った段階で「あぁ、しっかりとアパパネなんだな」と感慨深く思いましたが、桜花賞の負け方を見ると「意外とアパパネじゃないな」と。少なくともSalt Lakeじゃなくなっていたんですね~。Salt Lakeはあんな靭やかじゃないっす。

その点でディープ×キンカメの匂いはあるのかとも思ったんですが、あれはPrincequilloの強い靭やかさじゃなくて、スマートレイアーとかコウエイオトメとかウインバリアシオンに見る靭やかさで、サンデーインクロス時代突入のタイミングで出るべくして出たタイプの馬なんではないかと。

モーリスとは、キズナとは、つまるところ、Sun Againとは。その系譜にあるPrimised Landとは、Understandingとは、サンデーサイレンスとは。血統マニアに新しい議題を投じるべく登場したとしか思えない、すごく面白い表現だと思います。

 

今にして思えば、日本競馬の主役には常にSun Againの影があったのではないか・・・。ダイナアクトレスは長い月日を経てメジロラモーヌの父であるモガミの血を得てモーリスを輩出しました。ダイナアクトレスが古馬となって頂上決戦を繰り広げた相手はニッポーテイオーで、これがLyphardとDamascusだったわけですよね~。

LyphardとDamascusと言えばキズナも同様で、そのキズナとモーリスの仔が今まさに種牡馬の頂上を目指して争っています。

血統の組み合わせだけを見ればおおよそ80~90年代と大差ないわけで、距離適性だけがちょっと違うだけで得意な展開だとかも大差ないじゃないでしょうか。

 

そういった中でキズナはまた別の血を取り入れて行くし、モーリスもそうです。それが距離適性だけの話だけなのか、それとも新しく取り入れた血に掌握されてしまうのか、そりゃ分かりっこありません。

しかしゴールドシップがHalo的になって成功する様にして、変化自体は細やかなものでしょう。全く違うものになっても数代を経て再び同じところへ舞い戻ってくるかもわかりません。

何にしても、それはきっと正しい変化でありますから、サンデーインクロス時代全盛の前に「Understandingとは」と問いかける配合は大舞台を勝つべきでしょう。

 

現代は5代内のインクロスなしに意図ある配合をすべき時代だと思うのです。極端を言えば、近い代のニアリークロスを評価するべきじゃぁない。それは強い馬を作る手法でなくて、商売人の手法なのです。

しかし競争馬の生産は商売なので、それから逃れることは難しいんでしょうね・・・。成功例が多々あるニアリークロスを近い代に入れた方が表現自体は安定するでしょうし。

 

神様に願いを叶えてもらえるなら、現代競馬でもトップクラスの実力を持つ血統表がまっさらな種牡馬が欲しいですなぁ。どんな産駒出すんでしょう?

 

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