砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2022POG指名漏れ馬

 

 

社台枠

ポルトフィーノの2020 牝

https://db.netkeiba.com/horse/2020103613/

ポルトフィーノの仔はずっと狙いたく思っている

ポルトフィーノの仔も、ラヴズオンリーミーの仔も、大体は貧弱で頓挫が多い。しかし父のリアルスティールは頓挫とはほぼ無縁。クラシック三冠を走り抜き、古馬となってからは海外遠征までこなした。リアルスティールの頑丈は遺伝するのかもしれない。

それだけにディープの素軽さはあんまり遺伝していないと思うのだが、エアグルーヴの一族を相手にする分にはそのくらいが良い。またこの母系で早期入厩はクロフネの気性を感じさせられ、しぶとく前で受けられたなら配合の強みを活かしきれる。

牝馬らしい素軽さは感じられるが、上位とはお世辞にも。晩成傾向だろうし、早期入厩でも王道路線は厳しいか。ダイナカール、エアグルーヴ、アドマイヤグルーヴと名牝によってメインの枝が形成されているが、基本的には牡馬の方が走る母系だ。今年の社台枠にはお気に入りの牝馬が多いので、優先順位は低くなる。入厩済のメリットは考慮したい。

 

ファイナルスコアの2020 牡

https://db.netkeiba.com/horse/2020103557/

ダービーまでこぎつけられるのかは微妙。本格化は間違いなく古馬となってからだ。

馬体も血統も好き。指名したい。しかしこの類を指名するともなると、POG期間は素質だけで走ることになる。ディープインパクトやオルフェーヴルのように。

そのレベルはともかく、古馬になってG1を勝つくらいのイメージを抱かなければ指名は出来ない。ヨーホーレイクとは逆のパターンで、彼はダービーまでの成長曲線でアドバンテージを取れるという考えだった。

素質だけでクラシックを走り抜くなんて指名は大変にロマンチックだ。やりたい気持ちは盛りだくさん。非社台からの三冠馬指名というロマンチックを二度も逃した手前、こういう機会を逃したくはない・・・。

特にデアリングタクトはエピカメサンデーの一本釣りを決めていた年だった。なんで私はスカイグルーヴに日和ったのか。(今でも同じ判断をすると思う)

駄目なら駄目だと言える根拠を提示したいし、それが逆となっても構わない。この馬については後悔したくないなぁ。

 

コーステッドの2020 牝

https://db.netkeiba.com/horse/2020103372/

距離の関係でPOG期間は辛いか。4歳時5歳時のエリ女が本命になる。

Giant's Causeway的な要素で締め上げながら、Tiznow的な要素で緩めて来た配合。これは間違いなく中距離馬であり、京都外がベストだ。

母コーステッドはダノンベルーガの通りに母系のBlushing Groom×Nijinskyの影響を伝える繁殖牝馬で、本馬にもそれは伺える。エリ女を前受けからしぶとく粘り込む姿は想像しやすい。

牝馬が期間中に要求されるスピード能力については疑問符がつく。逆に決め手については問題ないだろう。もちろんそれはスロー前提の話となるし、ヨーイドンなら素質上位を食うことも出来そう。

ただそれも重賞を勝ち負けというレベルではない。血統表から見るイメージとは少しズレがあるなぁ。

 

グルーヴァーの2020 牝

https://db.netkeiba.com/horse/2020103357/

グルーヴァーは一昨年に狙おうかと思った繁殖牝馬。でも昨年にセールへ出されちゃった。本馬は後継繁殖ということに、おそらくは、なるだろう。

エアグルーヴの一族は晩成傾向で間違いないが、ドレフォンが父であるとデシエルトなどの完成度が高い馬が出てくる。奥はあるだろうが、ルーラーシップなどには比べようもない。ドレフォン×エアグルーヴはPOGにおいて良い成長曲線をしている。

本馬も完成は早そうだが、母がダート。ダートの牝馬をPOGで指名するのはいささか恐ろしい。またエアグルーヴの良い表現は芝傾向で、ドレフォンのこういう馬は徹底したレース選びが難しくなるかもしれない。芝もダートもそこそこ走るってなると、POG期間中はレース選択の幅が狭くなる。

POGにおけるドレフォン産駒は母が芝じゃないときついんじゃないか。

 

アンフィデルマールの2020 牡

https://db.netkeiba.com/horse/2020103229/

本馬はノーザンファーム生産だが、母アンフィデルマールは2021年に950万で売却されている。本馬自身も高額馬でなく、育成はノースヒルズだ。

初仔の走りを見る前に未出走のアンフィデルマールは売却されてしまった。ゴレラはネオウィズダムを出したものの、特たる馬は出せずじまい。この血筋はほとんどが売却済みで、ノーザンファームに残っている直仔はゼンノロブロイの仔であるエルゴレアのみ。

母系自体はなかなか優秀だがゴレラの繁殖実績で切られた格好か。しかし劣等であるという意味合いは薄いだろう。中央より地方の色が強そうなので、それならノーザンの色には合わないと。地方ダートを主戦場にする分にはゴレラの娘たちはいい仕事すると思う。

そんなゴレラの娘アンフィデルマールの仔を前田さんちがご購入。ゴレラは平坦とパワーの血とも言えるので、ドレフォンと似たところは多い。配合面でけなすところが少ないが、やはり芝もダートも走りそうな配合。

配合的には、やはり平坦のダートが似合う。ゴレラの一家は良い配合であるほどに平坦ダートに傾くはず。一変しそうなのがブラックダンサーの仔の世代で、彼女はクラシック路線の馬を出せそうだ。

 

クルミナルの2020 牡

https://db.netkeiba.com/horse/2020103343/

ククナとアライバルの下。母クルミナルは桜花賞2着とオークス3着。

クルミナルは血統背景から有望視されていたし、実際に繁殖牝馬として好成績をあげている。活躍した上の2頭は配合的にどうかと思っていたが、レースからそれぞれ父の良さを感じさせる。

クルミナルは激しい気性だったと記憶しているが、それが強く遺伝している様子はなし。特にアライバルは緩やかに伸びる中長距離馬然としたところがあり、母に見た危うさを感じさせない。

ラストランとなったオークスで見せた彼女の走りは相当にハイレベルで、2400mを使って17頭を抜かしに行った内容だった。あの時に見せた名刺通りに仕事をしているかといえばその通りだが、まだ上を期待して良いはずだ。

だが、それをPOGで・・・というのが難しい。上2頭は血統的にも案の定というスピード不足に悩んでいる。本馬の父はエピファネイアで、母の父がディープインパクト。祖母クルソラは2000mで戴冠した中距離馬だ。スピードの担保が不足している。

クルミナルは桜花賞2着だが、あの桜花賞はマイルのスピードを証明するレースにならなかった。ディープもオルフェも晩成した馬だが、4分の1にスピードを持った配合である。「4分の1シンボリクリスエス、4分の1シーザリオ、4分の1ディープインパクト、4分の1クルソラ」は・・・。

キンカメの父Kingmamboはマイラーで、ハービンジャーの父Dansiliもマイラー。ククナやアライバルの方がPOGにおける説得力は高い、というべきだろう。

 

レツィーナの2020 牝

https://db.netkeiba.com/horse/2020103698/

最強古馬の類をつけられてきたが、2020の産駒は父ミッキーアイル。ハーツクライと基本的に成功しているから同牝系のミッキーアイルは悪くない。

ハーツイストワールに春天で印を打ったことが良く見える理由かも。レツィーナの仔はNashuaのスタミナやBold Rulerの機動力で走る仔が多くて、芝というよりかはダートの匂いが強い。

ミッキーアイル産駒の傾向を言うと、走っている牝馬の母は大体芝ダート二刀流。純粋に芝血統なのはシャーレイポピーくらいか。兄や姉がダート走ってたり、メイケイエールなんかは2代母ユキチャンが一流ダート。

ダートで成功云々ではなく馬にダート適性を見出すかどうか。一回試してみよう、くらいの適性を持つ馬が近親にいるのが、シャーレイポピー以外に共通するところだ。より具体的にいうと、牡馬だとダートっぽいみたいな。

本馬は牝馬だから芝を走るミッキーアイル産駒だろう。同じくらい走る全弟が出たとすれば、それはダートを主戦場にするんでないかと。

とは言え、ミッキーアイル産駒だから距離はマイルまでだろう。レツィーナの晩成は薄れるにしても、2歳戦でアドバンテージを取るのは難しい。晩成するBold Rulerを早熟へシフトさせるならば、Mr. Prospectorに絡むところをイジるんがベター。

またブライアンズタイムにDamascusに・・・というのは牡馬の匂いがする。Robertoのラインを言えば、牝馬ならばクロフネかKris S.から引きたい。ブライアンズタイムというのは牡馬的であり、姉アシャカダイキの様にダートを本領とした方が格好はつくだろう。

 

シュピッツェの2020 牝

https://db.netkeiba.com/horse/2020102877/

キャロット×社台ファームの早期入厩馬。ディープやハーツこそつけられていないが、シュピッツェはヴィクトワールピサ、キズナ、ドゥラメンテと上級の種牡馬を配されてきた繁殖牝馬だ。

祖母シャピーラはドイツ生産馬だが、牝系をたどればテスコボーイやSurumuらを輩出したJuryの妹Pelerineが枝の始まり。

この直仔からまだ枝が分かれ、Justiceの枝からはEginaが誕生。Eginaの直孫からドイツで種牡馬入りしたElektrantが誕生し、その後Eginaの一族はドイツを主戦場として大きく枝を広げた。

本馬の枝は英国に残ったStella Polarisの枝で、父Borealis。Stella Polarisは英オークスと愛オークスを3着した馬だが、彼女を起点とした一族はタイトルに恵まれていない。netkeibaの掲示板では彼女の直孫であるSarah Siddonsを愛1000ギニー勝ち馬と書いているが、これは同名の仏生産馬と混同している。1歳年長の仏生産G1勝ち馬は繁殖牝馬として成功したが、本馬の4代母にあたる英国産のSarah Siddonsは特たる結果を出せなかった。

そのSarah Siddonsの後継繁殖として成功したのが本馬の3代母Sempliceであり、その後継繁殖として有望視されていたであろう独1000ギニー勝ち馬がシャピーラ。本馬の2代母である。輸入されてから5頭の仔を産み、4頭が中央で勝ち上がった。そのうちセウアズールとフュージョンロックが4勝馬である。

母系は決して悪くない。シュピッツェ自身も3頭の仔を産んで、2頭が中央で勝ち上がった。平地で勝ち上がれなかった初仔のトップアスリートも障害で勝ち上がっている。相手種牡馬を選り好みする様な血統ではないだろう。

それでもジャストフィットはあるはずで、それがモーリスかはわからない。好みの配合だし、好位から差し込めるなら相当走るんじゃないかと思う。しかし兄貴たちはまくったり先行したりの競馬で、この適性は覆らないか。

どちらかと言えば牡馬の方が格好がつくのではないか。しかし牝馬でもやれそうな気はしている。判断の決め手がない。

 

シックスイスの2020 牡

https://db.netkeiba.com/horse/2020103133/

母はマカヒキの近親。リアルナンバーは大きく枝を広げてウィキウィキ以外にもジュントップヒトミがジュンブルースカイ(東スポ2歳3着)などを出したが、ウィキウィキの特別感は覆らないか。

ドゥラメンテ×フォーティナイナーは悪くない数字だが、フォーティナイナーの仔、本馬の母の父にあたるLuhukはヘクタープロテクターの近親である。キングストンボーイを除けばエンドスウィープを絡むパターンが大半で、フォーティナイナーがニックスと断じるのはイマイチ納得がしづらい。結局はPersian Maidじゃん、という。

実際にドゥラメンテはトニービンのHyperion×Son-in-Law×Fair Trial(Lady Juror)×Pretty PollyやPrince Bioに当たりをつけるのが基本。そこの弄りが足りない本馬は配合面で褒めづらい。

芝の中距離を走るにははっきりとした根拠がなく、スタミナとスピードの融合が弱い。走ればイメージが変わると思うが、血統表に納得はない。

 

ミスドバウィの2020 牡

https://db.netkeiba.com/horse/2020103639/

母の父Dubawiで、母は案の定のスプリンター。母母父Indian Ridgeは激気性の短距離馬で、それをよく伝える。もっとも、ディクタスの例からして、激気性持ちの短距離馬は、その距離的スピードを強固に伝えない。

脚質が読みづらく、母スプリンターの逃げ先行ともSir Gaylordの差し追い込みとも。ウォーターナビレラなんかのようにHaloのインクロスがありませんが、Sir IvorもDroneもあるのがDubawiで。しかしそれらはSir Gaylord直仔であり、本馬はBustedのインクロス。SomethingroyalとBustedの組み合わせはどっちか分からない。

この2血統は牝系が同じで、Indian Ridgeの4代母父Ballyoganもそう。父ロードカナロア(母レディブラッサムがSecretariat=Syriansea3×4)の兄ソウテンは差し込みをメインとするが、1600mで逃げてもいる。

母父Dubawiはこの方向でも成功していて、Allegedとの組み合わせも散見される。配合としては小綺麗で面白い。ただ、シルバーステート産駒として素晴らしいのではなく、ミスドバウィの受けの広さが素晴らしいと言うべきだ。

これはロードカナロアでもシルバーステートでもドゥラメンテでもオルフェーヴルでもOKな繁殖牝馬。そう考えると、配合というよりかは、ミスドバウィの最適解を探さなくてはならない。

クロウキャニオンと同じで、「馬格がある牡馬だから」みたいな理由で指名出来るタイプの繁殖牝馬だ。本馬は血統背景からしても丁度よい馬格の牡馬といえる。いいんでは?

 

ピラミマの2020 牝

https://db.netkeiba.com/horse/2020103553/

表現としてはこれで良いと思う。と言ってもピラミマの仔は大体ピラミマの仔で、おそらく内面の問題が大きい。Unbridled's Songの孫は気性で走る。その点だけクリアできているのであれば、指名の対象足りえるだろう。

あとは牝馬である点。母父Unbridled's Songの牝馬はスロー巧者で短距離傾向。牡馬の方が当たりは大きい。桜花賞の先が読みづらく、桜花賞で本命を打てる配合かと言うと、厳しさを感じる。

 

クロノロジストの2020 牝

https://db.netkeiba.com/horse/2020103348/

全兄クルークは指名馬。牝馬に出るともなると、なおさら厳しい。

モーリスの牝馬は末脚身上の繁殖牝馬との仔である方が好ましく思う。クロノロジストはノームコアとクロノジェネシスの牝馬を輩出したが、いずれも強靭さを武器にしている。モーリスとクロノロジストの武器は同種のものであるから、高度な融合が行われればきっと、と。

それを望むならば牡馬である方が良いと思う。牡馬ならば。

 

クイーンズリングの2020 牡

https://db.netkeiba.com/horse/2020102832/

今年のロードカナロア産駒も母が中距離~中長距離が多い。一番の当たりは金子オーナーの高額馬である本馬か?

ドイツのニュアンスを持つ繁殖牝馬をKingmamboに取られているのが今年の傾向で、リアルスティール(Kingmamboの近親)もよく配合されている。この類の表現は成功すればエイシンフラッシュが出るものの、基本的には鈍重となりやすい。世代の遠近があるので一概には言えないが。(この先駆けとなったのが牝馬二冠スターズオンアース)

本馬はRivermanの牡馬でもあり、鈍重であるくらいの方が良いかもしれない。父ロードカナロアの牡馬だから晩成的によくなるタイプだろう。もちろん、いい馬であることが前提だが。

祖母アクアリングはヴィクトワールピサとの間にアクアミラビリスを出し、マンハッタンカフェとの間にクイーンズリングを出した。BustedやAllegedで上手くいった、という見方をするのであればロードカナロアによるF2-s牝系の継続は良いのではないか。

ただし、とやはり言わさるが、この継続はキングオブコージやパンサラッサに通じるものだ。POG期間で彼らは優秀を示していない。サートゥルナーリアの例もあるが・・・。

傑物であれば才を示すだろうが、母と同じようにG1で一時の頭打ちを味わうかもしれない。本格化は古馬となってから。これは揺るがない。ただ、完全な晩成タイプとは言わない。

 

ラフォルジュルネの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020102721/

シャルールやアーデントの甥。従兄弟にシュペルミエール、従甥にヴェローナシチー。使い詰めが効く一方で勝ち味に薄い血統と言える。

繊細な血統とは相性が微妙で、ダート的なパワーを併せ持つアウトブリーダーと成功しがちだ。使い潰しとも受け取られかねないローテを組む平田調教師とは相性が良さそうで、大物ではないが地味に稼げそうな気配。

しかしドレフォン×スペシャルウィークというのは微妙で、どちらかと言えばダートの雰囲気。本馬の母は芝を走っていたことから芝だと思うが、瞬発力という点において、担保が不在であるのは間違いない。

前受けベターの読みで間違いないと思うが、それはそれでどこまで戦えるか疑問が生じる。グレイトフィーヴァーにいわゆる「底力」ってものがあれば、酒井学が涙をのむことはなかったろう。

まっこと、トーホウジャッカルにそれがあったってのも面白い話だが。配合的に納得の行く話でもある。

 

 

 

 

非社台枠

 

ヨウヨウの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020101337/

好配合。ダートに行きそうだが、配合のベストを引けば芝中距離を走られそう。

ゴールドアクターに近いタイプだと思うし、晩成の感は否めない。3年後にG3を走られれば成功か。これだけダートの匂いが強い配合で、母系にGrey Flightを持つ。芝のG1を走るには不安要素が多いというべき。

ダートを走る方が順当と言うべきだが、このマルゼンスキー5×4にはロマンが詰まっている。ゴールドアリュール×マルゼンスキーに近いなにかだ。

 

シャンスイの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020105562/

近親にアーネストリー、ギャロップダイナ。祖母ダイナチャイナはノーザンテーストの粘り強さとBold Rulerのスタミナ&機動力をよく伝える。この点はキタサンブラックと良く似ていて、好印象。

全姉は期間内にギリギリのデビューウィン。サクラハゴロモ(=アンバーシャダイ)×スウェプトオーヴァーボードのニックスという根拠もある。父母相似配合に近いが、基本的にはシュガーハートへの弄りが目立つ。

グローリーヴェイズで再び脚光を浴びたニックスだが、そのニックスとしたメジロツボネは短距離馬。ガチガチの中長距離馬であるキタサンブラックを短い距離に寄せる意味合いが強く、1800mを勝った全姉の様な表現が常とはいえない。

どちらかと言えばマイラーに寄った方が格好がつき、「父キタサンブラックのマイラー」というのは魅力的な肩書だ。スウェプトオーヴァーボードのイメージ通りに晩成するだろう。

 

ミッドサマーフェアの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020110039/

Frankel×タニノギムレットはウオッカの仔にも見られた字面。

この配合ならばもう少し非力で柔らかくあってもよく、Graustarkのパワーが強そうだ。Frankel産駒は、少なくとも日本で走るならば、Nasrullah×Princequilloの雰囲気を大事にしたい。

またSummer Squallというのはダラダラした脚質であるため、Graustarkが強いとダートが似合う。GraustarkはパワーなHyperion血脈で、His Majestyの方がスタミナに振れたHyperion血脈と言える。フェノーメノやタップダンスシチー、シャフリヤールがHis Majestyのイメージ。

配合からして彼らの様な靭やかさを得ることは難しく、Graustarkで差し込むタイプだろう。ミッドサマーフェアと同じ系譜と言えるが、男馬で、父Frankelで、それをやるのはどうだろう。正味、チグハグ感は否めない。

 

アフロディシアスの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020103865/

いつでも狙いたくなるエイシンフラッシュ×トニービン。母系にMr. Prospectorを引くので、Mr. Prospector4×4である。これがちょっと疑問。

この母系で芝を走るならばHaloのインクロスが入った方が説得力が高い。ダート、もしくは芝の短距離を走るならばDanzigやLyphardを父から引く方が説得力が高い。ロージズインメイやアイルハヴアナザーという選択よりもエイシンフラッシュが優れているとは思えず。

エイシンフラッシュ×ジャングルポケットも、ダイワメジャー×ジャングルポケットも大好物だ。しかし、この母系ならばロージズインメイ×ジャングルポケットに一票かな。2021年の産駒がそうであるから、評判が良ければ指名したい。

 

エイシンフェアリーの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020106261/

祖母にタイキトゥインクル、近親にヒットジャポットという血統。母は繁殖牝馬としてふるっていないが、母の全姉タイキシャインは素晴らしい仔出しを見せている。ジャスタウェイとタイキシャインの仔ブライディールがあり、大井で華々しいデビューウィンを飾った。

タイキシャトル肌は突如として活躍馬を出すので、ある意味で信用ならず、ある意味で信用できる。エイシンフェアリーに期待を寄せるのはやぶさかではないが、ヴァーチェやネヴァーピリオドほど信用できるかどうか。

日本芝の重賞勝ち馬がいる系譜から選んだ方が期待しやすい。ダイヤモンドショールなどの近親であるし、In Realityと同じ一族であるが。

 

ブラックシンデレラの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020100793/

祖母ラブジュリエットはオースミハルカの全妹。母ブラックシンデレラはダートを主戦場とし、良いところを見せられず未勝利のまま引退となった。兄より高い価格での取引となったが、エピファネイアの産駒としては低価格である。

Sadler's Wells4×5のニュアンスが強く、母系の通りにダート寄りか。3代母ホッコーオウカはリンドシェーバーの仔であるが、オースミエルストにオースミハルカ、ローデッドなど芝の重賞級を輩出した。しかしラブジュリエットの仔はダートや短距離に寄る傾向があり、フサイチコンコルドの突進力が表現されやすい傾向。全姉オースミハルカも同様だ。

母父コンコルドと言えばジョーカプチーノとウキヨノカゼ。機動力とも瞬発力とも受け取りきれない突進力で踏破するタイプだ。マンハッタンカフェ×トニービンもそういった類の表現をよくとるだけに、ブラックシンデレラの表現はここに肝がありそう。

エピファネイアの仔としては王道の表現と言えるが、ブラックシンデレラとしては真っ向勝負に過ぎる感。ブラックシンデレラ自身はNorthern Dancer5×5・5の緊張ばかりであるが、表現としての緩和材料が欲しい。

短距離の名血を引かないということは、その強力な緩和を担う柔らかさを引かないのと同じだ。エピファネイア産駒のA級は説得力のある頑強を引き、その上で靭やかなのである。

 

シアージュの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020105732/

シアージュは重賞級こそ出していないがコンスタントに走る馬を出す当たり繁殖。Hero's Honor≒Sadler's Wells4×2を持ち、ここからのみNorthern Dancerを引く。

Raven's Passは「4分の3Nasrullah(≒Royal Charger)×Princequillo・4分の1Lord at War」で、その仔シアージュは「4分の3Nasrullah(≒Royal Charger)×Princequillo・4分の1Sadler's Wells」。Mr. Prospector的Natalma的スピードを強化し続けた配合と言え、頑なに短距離を出す繁殖牝馬としての説得力は高い。

その遺伝に異を唱えたのが父ラニのフリューゲルホルンで、シアージュの仔としては初となる2000m勝ち。1800m以上のレースに使われることすらなかったシアージュの仔であるから、彼だけは表現が異なっている。(障害除く)

シアージュの強固な短距離適性を覆すならばSadler's WellsとMr. Prospector、Ribotから。配合通りと言えるのでシアージュは異次元から適性を引っ張ってきているわけではない。

であれば本馬は全姉マリスドランジュと大きく適性を違わないはずであり、最長でマイル、おおよそスプリント路線を戦う馬だ。総じて、Specialのインクロスが入った方が配合としては褒めやすいと思う。

 

ウートゥルメールの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020100815/

バゴ×マンカフェはロマンの塊。3代母がノースフライトで、母ウートゥルメールはマンハッタンカフェ×ノーザンテースト×トニービン。

マンカフェ×トニービンで推進力のある形だが、ノーザンテーストはいささかに靭やか。本馬は、割合、Haloの靭やかさが勝ちそうな配合だ。

であれば母父がマンハッタンカフェである必要はあるのか、という話となる。ここがダイワメジャーやハーツクライ、ステイゴールドであった方が説得力は高いというべきだろう。

もちろんそれは父がバゴであることが前提で・・・とまれ、配合の方向性にはいささかの疑問がある。母が阪神1400mや札幌1800mを差し切っているのであれば問題ないと考えるが、競争能力の方向性が定まらないまま未勝利で引退している。

配合形はきれいだし、名牝の枝というのも魅力的。だがバゴで正解というイメージもない。バゴ産駒はきれいな配合をしているものだ。

 

ダームドゥラックの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020105093/

エスポワールシチー×ボリクリ×Fairy KingでBest in Showの一族。函館2歳SとファンタジーSを3着したラヴケリーの半弟。

母母フェアリーテールタイムがFairy King×Sir Ivorで、ここのスピードが遺伝として強固。母ダームドゥラックはその傾向を継いだ速攻系のスプリンターであるから、配合の字面通りには走らないだろう。

エスポワールシチー×シンボリクリスエスのダートスプリンターというのは面白そうだが、配合としては中距離馬に出るべきか。いささか歪な表現と見えて、半径ラヴケリーの様にNorthern Dancer×Sir Ivorを積極的にイジる配合型の方が格好がつくのかもしれない。

 

ロードクロサイトの2020

https://db.netkeiba.com/horse/2020105657/

父ディープインパクトの偉大なる兄コントレイルより配合そのものは褒めやすい。兄は三冠馬らしい天性の表現が持ち味で、配合ばかりを見るならば、最も本命を打ちやすいのは菊花賞だった。

ハーツクライに父が変わり、ジャパンカップで本命を打ちやすい配合となった。父ディープの三冠馬における天性とはスピード能力に他ならない。母ロードクロサイトからスピードの調達が行いやすいのはディープよりハーツであろうから、順当に走って不思議はない。三冠馬の全弟全妹よりもアベレージは高いと見る。

王道のハーツ産駒であるから晩成が基本。そもそもロードクロサイト自体が晩成すべき遺伝であるから、コントレイルという成功はノイズに等しい。天性のスピードで二冠をもぎ取り、母系通りの表現で菊花賞とジャパンカップを制した・・・というのが私の考えである。

コントレイルというよりかはシュヴァルグランを目指すべき配合であるから、POG指名は控えたい。

 

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