砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

安田記念回顧

モーリスかよ。


32秒きっかしでの決着に「へっ、こんなもんかよ」と。俺は何様?

ウチパクが逃げることでスローに落ち込むとは考えていたけれど、まさか4角での機動力がここまで結果を変えるとは思いもよらない。モーリスだけがスルッと加速して行った行ったの形。多分馬場は速いんだろう。スローで内回り巧者が制した、という形。

ヴァンセンヌはどこから引っ張ってきたか分からぬ加速力によって京王杯も追い込んできたのだからこの結果に驚きはない。クラレントもまぁスローで前受けしてりゃこのくらい出来る馬で、ペース自体を考えるとヴァンセンヌの抜け出し方が非凡過ぎるくらい。

フィエロは流れのまんまに競馬をしていたのだからこのくらいしか走らないだろう。ケイアイエレガントはピンク帽からの競馬と考えれば頑張りすぎたくらいなんだけど、前走の競馬を考えると不満が残る。

ミッキーアイルは発汗がすごかった。一頭だけピッカピカに光っているんだからねぇ・・・あれはもう競馬にならないだろう。今回は度外視だわ。

ん?別にスローペースというわけでもないのか。もちろん早くもないけれども。でも終い1Fが12秒2だから・・・もっと差し届く馬がいてもいいはずなんだよなぁ・・・。切れる馬がいないから仕方ないんだけども、この展開でクラレントを残してしまうというメンツの不甲斐なさよ。スローなら納得だったけどこのペースで外から先行したクラレントが残るってのはね。

ウチパクさんにしても少し溜めがなかったなぁ・・・。逃げを狙ったというよりも流れて行ったら先頭に追いついたのだろうか。内回りならともかく東京でこの競馬をするというのはリアルインパクトにとってあまり意味のあることじゃないと思うんだよねぇ。

なんとも言えずシラケたG1になったぜ。このラップで抜けだした内回り巧者を捕まえられないなんてアホくさいレースだ。リアルスティールと同じようにもう少し前で競馬をすればヴァンセンヌは勝てていたと思うんだけども・・・枠が枠だから水掛け論にしかならねぇな。

・・・ヴァンセンヌってのは母系の何がオンになっているのかが分からないから困るよ。ディープの柔らかさがオンになっているわりには加速が鋭すぎる。かといってニホンピロウィナーの頑強さがオンになっているわりには柔らかく伸びる。Hyperionベースだけあって粘り強く伸びるんだが鋭すぎるし柔らかすぎる。このナタ切れ俊敏はノーザンテーストのイメージかもしれん。サンデー×ノーザンテーストHyperion増し増しという風に考えた方が納得しやすい。ダイワメジャーみたいな感じ?根っこはやっぱり先行馬なんじゃねぇかなぁ・・・。

Hyperion×Son-in-lawとかHyperion×Swinfordの組み合わせがめちゃくちゃ多いくせにNasrullahやMahmoudが少ない。ディープの好配合馬はワールドクラスの良血統繁殖が相手のことが多いし、こういう代替的な繁殖を相手にヴァンセンヌの様な馬が出るというのは面白い。そりゃフラワーパークは名スプリンターだけどもプリンセスオリビアとかの名繁殖とは比べ物にならん。

Sir Gaylordクロスの柔らかさをHyperionベースで頑強に作りなおす・・・、ってのはディープの基本ではあるし、配合形はよくよく見てみりゃ綺麗なもんだ。けれどディープのSir Gaylordクロス持ちがマイルを先行押し切りするというのはあまりにも難しい話だから前傾ペースを差し切りに動くという戦術はベター。少し厳しいペースの秋天を先行してどこまで走れるかを見てみたい。

にしても・・・スピルバーグみたいな差し方が出来るマイラーがいれば勝てたレースだったのになぁ。ダノンシャークは溜めた分だけ弾ける様なタイプじゃないからもう少し積極的に前へ出して欲しかった。岩田のイン差しって外からジワジワと逃げに行く馬がいるといつの間にか位置取りが後ろへシフトしてしまうんだわな。ミッキーアイルがポンと出てそれを抑えた分だけ内の馬はジワジワと下がっていった。対して外枠がガーッと追っていったから結果的に前が塞がったんだわなぁ・・・。内差しを早々に諦めて外へ出すためにもたもたしちまった。マイルであれをやって伸びる脚をダノンシャークは持たない、ということなのだろうか。

ん?

12.4-10.8-11.1-11.6-11.4-11.2-11.3-12.2だろ?後ろの馬は前半を楽に走り過ぎていたな。11.6秒の緩みを作ったことで後ろの馬は11.4-11.2-11.3からさらに11秒前半の脚を使わなきゃならなくなっている。ヴァンセンヌは33.7秒で上がっているわけだからそれを実現した少ない馬だ。他にサトノギャラントが33.8秒で上がっているけど位置取りが位置取りだからなぁ。

どっちかと言えば後傾ペース的な淀みないロングスパート型のラップ・・・?いや前傾なんだけども。ラップの性格としてはウチパクさんらしい後傾ロンスパ後方殺しだよなぁ。それをモーリスが一気の加速で勝負をつけて、終い1Fはまぁなんとかもたせたぞ、というレースだ。

今の短距離戦線はサンデー血統を脇に立たせて、代わりに何を主張させているのかってのが大切だろう。だからモーリスがダイナアクトレスで走り(モチジュン先生説)、ヴァンセンヌがフラワーパークで走ったことには何の問題もない。そんでフィエロロックオブジブラルタルの全妹ルビーで走ったことにも問題はない。

けれどクラレントエリモピクシーダンシングキイの両刃でネバネバと残ったのが釈然としないよなぁ。ダンスインザダークダンシングキイ)はやっぱりスタミナ血統で、それを脇道的にスピードを抽出した形となるクラレントがG1で馬券になるのが気に入らない。

ダークシャドウクラレントも好きな馬だ。だからG1を勝って種牡馬入りすりゃいいなぁ、と思う。けれどなんか予想が見当違いに終わった中でケイアイエレガントという分かりやすい馬が掲示板に乗り、クラレントが馬券になったことで「こんなのG1じゃないやい!」と逆切れしたくなるんだわなぁ・・・。

クラレントって展開利で馬券になるタイプだ。だから自分で展開を作って馬券になったならば不満も何もなく爽快な競馬だと言える。けれども今回はウチパクさんの流れに上手に乗っただけだから・・・「何?G1レースに出走してきて何をしたかったの?」「その流れで勝ち切れると思うわけ?」と思うのさ。馬の能力を出しきっての3着だけど、何か収穫があるわけでも見応えがあるわけでもない3着よ。田辺の完璧過ぎる騎乗で拾った3着だけど・・・。

弟さんは一番きつい区間で脚を使っただけに最後は足が残らなかったわなぁ・・・。川須と田辺の差が歴然とした内容だった。なんでレッドアリオンって変な脚の使われ方をしてG1で崩れてしまうんだろうなぁ・・・。マイルCSの時も速いラップ区間で前へ動いていたし。それだけ鋭い脚があるんだろうけども鞍上の時計感覚が優れていなきゃすぐに使いきっちゃうよ。

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