砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

高松宮記念回顧

エイシンブルズアイダッシュがつかずに、その上アースソニックに寄られて進路を失った。

最も鋭くゲートを出たのはハクサンムーンだったが、この馬を強く意識した中田裕二のローレルベローチェが1F目で全てを捨てるが如き大暴走。ミッキーアイルも制してハナを切った。前3Fは32秒7の高速タイムで、栗山求先生の回顧で「史上◯番目」の言葉が踊るに違いない。

これより速いタイムは旧中京で行われた99年の高松宮記念で記録した32秒6、他に同タイムでは12年のスプリンターズSなどがある。しかし前4F目でまとめてみると

99年高松宮記念

 11.7-10.1-10.8-11.8-11.7-11.9 前3F32.6 前4F44.4

12年スプリンターズS

 12.0-10.1-10.6-11.2-11.3-11.5 前3F32.7 前4F43.9

16年高松宮記念

 11.7-10.1-10.9-10.8-11.1-12.1 前3F32.7 前4F43.5

今年はとことん速い。これほど前のめりに騎手が思いきれるほど今日の中京馬場は特異な高速前残り馬場だった。

この特徴は馬場改修後の中山にも見られるものだ。マイネルコスモが前のめりに時計を刻んで残ったりするが・・・小回り急坂の中山なのに靭やかな馬がじっくりと詰めて差しきることも多い。つまりディープインパクト産駒の好走が目立つ。

前の2頭は2F目の10.1秒が響いたという後退具合。ミッキーアイルはその超ラップに付き合わなかったことが大きく、結果的には3番手4番手で決着したのだから松山弘平のささやかなファインプレー。馬なみの酒井学中井裕二を冷ややかに見据えて事実上の「好位」を取ってみせた。

内枠から五分に出して二の脚もついたビッグアーサーの競馬ぶりは王者の証左にして王者への足がかり。ナスペリオン的に柔らかくTourbillon的に靭やか、その様な快速馬がこの最速の世界で正真正銘の「好位」から撫斬ってしまったのだから文句なしの勝利である。

藤岡康太で勝って欲しかった気持ちもあるが福永祐一への乗り替わりは自然なことでもある。こと短距離戦においては福永は藤岡の上位互換なんだわ。しかも覚醒福永は牡馬を動かすイメージを持っているからナスペリオンを動かす技術は断然こちらが上。アクティブミノルで差しに動いた様にまだ藤岡は切れる脚で競馬をしている。

アルビアーノエイシンブルズアイには時計が速すぎた。速い流れを好位から突き抜けるという純粋で高度な戦いの勝ち馬に対して完成度や適性に差があった。6秒台の高速決着においてエイシンブルズアイは力っぽいのだろうし、アルビアーノはピュアスプリンターというほどの頑強さを未だ得ていないのだろう。

ミッキーアイルは国内で適切なレースを持たないのかもしれない。かなり特殊なディープ産駒であるからね・・・小倉記念をまくって勝ったりとかそういったヘンテコなキャリアの始まりが待ってるかもしれない。

音無調教師も折り合いに難があるならルメールや戸崎なんかの名手を起用するのが筋なのにどうして若手~中堅ばかりを起用するのかね。アンビシャスにはルメールを乗せたべさ。

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