新潟2歳ステークスへの出走を予定しているサンライズソアがタイトルの配合形。
2代母がスワンSやセントウルSなどを勝った名牝ビハインドザマスクで、これがホワイトマズル産駒の千四馬だった。セントウルSで破った相手はブラックホークにスギノハヤカゼ、マイネルラヴと名だたるメンバーである。（けれどスギノハヤカゼとマイネルラヴはピークが過ぎた時期）
ビハインドザマスク自身はそのくらいの能力があるわけで、母としてオメガヴェンデッタを輩出するに至った。サンライズソアも配合としての間違いは限りなく少なく、これなら外回りの芝で切れる短距離馬に出てもおかしくない。
問題はダンシングブレーヴというLyphardの最高傑作を引くことで、これはちょっとボリクリスペの配合と相性が悪い。
LyphardはFair Trialの観点から英国のスタミナと相性がよく、また2代母BarraがTourbillonとニアリーの関係であることからフランス血統と相性が良い。ビハインドザマスクはそのあたりの処理が見事であるが、母父Mr. Prospectorが強烈な立ち位置にあった。おおよそ距離適性はミスプロに委ねられた感があるし、千四馬としての武器もまたBold Rulerに依るものだろう。
またダンシングブレーヴという血は特殊な差し脚を伝え、場合によっては軽いスピードとして表現されがちである。近親にダンシングブレーヴを引くG1馬はここ数年現れておらず、これはサンデーサイレンス直視種牡馬の持つ軽さと相性が悪いからだと予想できる。
そのあたりのバランスはなかなか難しく、例えばダンシングブレーヴとニアリーの関係にあるAlzaoもBurghclereとかいう「アホなの？」と問いかけたくなるほどの大スタミナ配合繁殖を相手にウインドインハーヘアを輩出した。そしてウインドインハーヘアはディープインパクトを輩出する。
軽い重いの話をすればシンボリクリスエスとは父として軽い。それは「スペシャルウィーク✕Sadler's Wells」の繁殖からエピファネイアとかいうドッカンターボが産まれたことからも想像が出来る。あの切れはシンボリクリスエス由来だろう。
Sadler's Wellsに比べるとホワイトマズルは全く以て軽い部類に入るし、その次代にMr. Prospectorが入るのも胡散臭い。ただ軽いスピードなりにLa Troienneの血統を丹念に組み込んでいることは褒めるべき。
これを踏まえてレース内容を見てみると・・・実に手先の強そうな走りをする馬だ。全兄がダートで勝ち上がっているのだからそんなもんだろうが。Tom Foolの影響が強そうな前駆。
エピファネイアはKris S.≒Habitatの影響により前駆がスッと伸びる綺麗なフォームだった。またスッと伸びるくせにグバっと広がるストライドが変態的で、シーザリオという「ジャパニーズスーパースター」を母に持つのは伊達ではない。
新馬戦の勝ち方はエピファネイアを理想像としたボリクリ✕スペ配合に沿ったものと言える。シンボリクリスエスの通りに平凡に弾け、それを前で行う。あとはハイペース耐性に頼むところが大きく、ホワイトマズルの気性を受け継ぐのであれば逃げてもいいのかも。
何度も繰り返すエピファネイア。彼の素晴らしさはスタミナ的Blandfordを多角的に持ち込んだこで、それはエピファネイアの素晴らしさというよりもシーザリオの素晴らしさ、引いてはスペシャルウィークの素晴らしさである。
Aureoleを経由してDonatello、セントクレスピンを経由してHarina、ヒンドスタンからのUdaipur、シラオキからのプリメロ、Le FabuleuxからのWild Risk。ハイインローの粘り腰ではなくもっと別のところ、長距離馬としての素質をBlandfordの名血から叩き出していた。これはサンデーサイレンスの瞬発力（≒Mahmoud的瞬発力）とは別個のものであるが、脈絡をする。
対してビハインドザマスクの持つスタミナとはハイインローベースであり、またAlycidonやハイハットというLyphard✕Turn-toのスピードへ脈絡しやすいハイインロー。限りなく中距離的なHyperionと言うべきで、レディーシラオキのスタミナとは相容れないもの。
つまり母アメーリアの配合はBlandford的スタミナを緩和している。それにボリクリさんが入るとレディーシラオキのスタミナは手付かずのまま遠ざかることになり、これではスペシャルウィークである甲斐がない。サクラプレジデントでもいいレベル。
配合は決まっているが最重要項目が満たされていない半端さが傷。シンボリクリスエス✕ヴァインゴールド✕マルゼンスキーは綺麗な形で、配合だけを見れば重賞で馬券になるくらいは可能だろう。ただ素質馬が集まったこの舞台では底力に欠ける。スローの前受けが望ましい。
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