砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

出走馬チェックその4 マイルCS予想

5枠10番マジックタイム シュタルケ

 ハーツクライ牝馬の好配合。サンデー×ブライアンズタイム×Sadler's Wellsはディーマジェスティと同じ。靭やかさをブライアンズタイムに託しすぎたきらいがあり、名血統のナスキロラトロを加えなかったところに弱点がある。例えばSadler's Wellsではなく、Nureyev+Mill ReefRiverman)を加えた方が配合は格好よくあって、それをやったのがヌーヴォレコルト。シュンドルボンの様にBold ReasonNever Bendを取るのも良いだろう。

 折り合いに難がなく、動きが鈍い馬なので距離に融通が効く。折り合いの上手い騎手よりも動かす騎手の方が似合っていて、その点に於いてシュタルケというのは絶妙かと。あくまでも牝馬というくくりで比較すればの話だが、ダービー卿CTのときと同じなら楽しみ。

 G1に印を打つにはちょっと変な靭やかさがあって、関屋記念を33秒1で突っ込める脚があるのは納得がいかない。ハーツクライが本格化したならば登坂でゴリゴリ競り勝つ様な競馬をすべきであるし、実際にダービー卿では中山マイル最強(笑)のロゴタイプに勝っているのだ。

 なのに関屋記念でジワジワ伸びるし、ヴィクトリアマイルでもスマートレイアーを交わせない。ああいう風にジリジリと並びかけたなら入線間際に交わすのがトニービンというものであり、たとえ早めに仕掛けようとも逆に踏ん張られてしまうなんてことはあってならないのだ。ショウナンパンドラミッキークイーンルージュバックに差されても構わないが、目標としたスマートレイアーに突き放されるなんてことがあってはならない。

 つまり格が違うという内容であり、スマートレイアーに出来ないことは本馬にも出来ない。古馬G1、それも混合G1で争うことは考えられない。仮に予想外のことが起こったのならば、その時には後付けで「実はこういう仕組みだったんじゃね!」とネタにしてやる!

6枠11番テイエムタイホー 幸英明

 五代血統表に見られる著名な血統通りの馬。Danzig×Buckpaser×Secretariat×Ribot×Riverman×Thatch・・・京都外でナスキロ柔く押し切るイメージそのまんま。Generalという不思議異系がいい味を出していて、これはまぁBurghclereがあるようなもんだと考えたら楽であり、これがDanzigのスピードをよりよく引き出しているのだろう。しかも「Northern Dancer+Fair Trial×ナスキロ×Tom Fool」とも好相性。だから渋く走るディープ牡馬みたいな側面もあって道悪は得意。

 イギリス血脈のクロスもうるさいから馬群の前から粘り込む方が味があるし、それもまた実績通りかと。このメンツを相手にするなら道悪であったほうがいいし、あるいは大逃げで展開利食べ放題の押し切りを図るくらいしかないかと。前が薄いわけじゃないから厳しい話かな。

 また衰えが伺える走りをここ数戦で見せていて、また叩き良化するタイプだから2走目で買うのは難しいかな。人気薄の幸ならいたずらしてくるかもしれないが、ナスキロ柔いタイプで気性の難しさもないからハイペースはないだろう。逃げの馬に従って流れ込むだけかな。

7枠13番ダコール 小牧太

 分かりやすい平坦巧者で母がUnbridled's Songの全妹だから小回りの方が利く。中距離血統の配合であるから中距離馬であろうが、ディープにしては末脚の範囲が実に広い点において非凡と言えて、34秒弱~36秒とは米血統主体ディープには非凡な数値。

 それだけ位置にとらわれない末脚特化の競馬をしていたと言えるし、平坦小回りにばかりこだわって走っていたとも言える。ここも今まで通りに末脚特化だろうが、果たしてマイルの展開にどれだけついていけるものか。1分32秒半ばまでなら対応出来ると思うがそれ以上の速さになると流石に怪しそう。

 ただペース耐性は想像よりずっと高いし、末脚特化と言っても上がり競馬以外でも突っ込んでいる。それでも勝ち味が強いのは外回りのスロー瞬発戦であるが、この2つの相反する要素が噛み合う舞台がマイルだとするならば面白い話ではある。それならそれで昨年に挑戦して欲しかったが・・・。流石にハイペースマイルでの順応は難しいからマイルなりのスローからの勝負だろうし、つまりそれは瞬発戦の類であって、8歳馬にそれを託すというのは難しそうである。

7枠15番ネオリアリズム ライアン・ムーア

 Northern Dancerを一本も引かず、しかもNasrullah≒Royal Chagerも2本しか引かないレベルの高い配合。Mahmoudならもう少し数えられるのだけれども、それにしたってすごいことになっている。よくぞここまで流行血統を蹴っ飛ばしてG2制覇まで辿り着いたものだ。リアルインパクトはまだディープインパクト産駒のぶんだけ流行を取り入れていたからな。

 ネオユニの黄金配合とは全く言えず、配合ばかりを見ればスプリントでも走っていそう。だがHail to Reasonのスタミナを伺わせる動きを見せて札幌記念を押し切った実績があり、そこがオンになっているのであれば二千はこなしそうなもの。

 札幌記念を押し切るならボトムスピードに優れた馬であり、そういった馬は溜めてから末脚を伸ばす競馬をすると中山外や札幌なんかのヘンテコな条件でないと走らないタイプが多い。これは瞬間の速さではなく持続力で差すからで、しかもコーナーのゆるい札幌で好走したということは靭やかさもオンになっていなきゃ難しいのだ。靭やかだけど持続力に富むというわけだから、京都外や東京、阪神外なんかの条件だと脚が足りない。小回りだと大まくりに突っ込む羽目になって真の小回り巧者に敗れてしまう。

 この靭やかさはPrince JohnとEight ThirtyからHerodiasを引いていることが原因だろう。さり気なくHaloのしなやかさをオンにしているからネオユニ配合の肝ばかりは抑えている。トキオリアリティーの配合はHaloスピードを芝適応出来るギリギリの線まで頑強に高めていくチキンレースじみたものだから・・・。

 京都外のストレートを入線まできっちり伸びる配合ではないだろう。安田記念の方がまだ説得力があるし、更に言えば中山マイルの方が本命を打ちやすい。

8枠18番サンライズメジャー 四位洋文

 スピードばかりを補完したタイプのダイワメジャーだがこれがなかなか侮れない存在。Vice RegentノーザンテーストThe MinstrelかつRed God≒Haloでやるべきことはやっていて、その上で微妙な小技が効いているし、しかもナスキロである分だけ靭やかさがない。これは良し悪しではあるが先行する分には悪くないものかと。京王杯SCで見せた32秒4の末脚は圧巻で、ナスキロで突っ込んだサトノアラジンには最後の最後詰め寄る様な脚を見せた。ノーザンテーストニアリーのナスペリオンクロスらしい末脚と言えて、これはどう見ても東京で光る脚色。

 京都で勝負をかけるならば先行がマストであって、これは前の競馬にこだわった四位のおっさんなら理解しているところかと。四位+京都の逃げ先行は未勝利と条件含めて5戦中4戦で、前に行かなかった未勝利戦も5番手から押し切った5-1の通過順。新馬戦からBlushing Groomの自在性を活かして阪神は差しにまわり、京都では積極的に前を狙うほど深い理解を持つ。

 ただ今回は浜中も勝負をかけた一戦で、下手なスローに引っかかるくらいなら交わしにいくはず。マイラーズの様にスローに落とすことは難しいし、また大外枠ということもあって脚を使わなければ前へは行けない。となるとマイペースに進んで中段の外に構えそう。元より浜中のペースとは相性が良い馬でもあり、それはそれで構わないことだろう。

 スロー瞬発でなければ足りないと思うし、また大舞台で争うには一味足りないダイワメジャーだとも思う。ガチのダイワメジャーは後方を潰す逃げを打つものだ。そこに必要なのは米血統の速さではなく、フランスのスタミナ≒瞬発だろう。

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